第十五話
めずらしいな。私以外の客人とは。お前も生きていたようだな」
「賢者か。あんなのには、負けるわけないだろ」
「この青年は?」
「プラッカー王国の兵士だ」
「そうか。なあ、ちょっと話がしたい。外ではなんだから、中に入ろうか。あなたも入りなさい。国の状況を知りたいからな」
「おい、勝手にするな」
「いいじゃないか」
賢者は勇者の小屋へ入っていく。オルスも続いて中へと入る。質素だった。ベッド、テーブル。台所には食器が数枚並べられている。
部屋の隅に、鎧と剣が飾られてあった。
「これは……」
「その装備で、魔王と戦った。そして敗れた」
賢者が言った。勇者は苦い顔をする。
「とっと話をしろ。で、出ていけ」
「あの、剣術を教えてください。俺たちの弱さをご覧になったでしょ。今攻め込まれたら、俺たちの国は終わりです」
「なのに、いきなり魔王を倒したいだなんて。ふざけた事を」
「そうでもしないと」
「お前は教えられていたないのか。俺たちが失敗したから、さらに魔物が強くなった。ありえないほどの進化をする。そうはさせたくない。同じ過ちを犯したくない。守るしかないんだ」
無言の時間が過ぎていく。そこへ、二つのコップを持った賢者が現れた。二人に渡す。中は温かいスープだった。
「二人とも、自分の国が好きなんだな」
「お前はどうなんだ」
「私は、元々は流れ者。ここで運よく、魔法使いとして認められた。国からも、少し金を頂いているしな」
「えっ」
「二人ともだ。噂じゃ、自給自足と言われているが、国王が恵んでくれているんだ。ありがたいよ」
「余計な事を言って」
「俺たちも傷ついた。だが、国王もそうだ。贖罪なのかもしれん。で、話を変えるが、どうして魔物が現れた?」
「どういう事ですか?」
「ここら辺の魔物は、カマキルなどの虫系の魔物しか出現しない。なのに、今日はトンペイやタイガーンが出てきた。何かあったのか」
「……数日前、十字路でガイコツ兵とガイコツ騎士が出てきた。あれから全く出てこないから、たまたまだと思っていた。魔王が本格的に攻めて来るのかもな」
「なあ、ここも危ないかもしれない。プラッカー王国に帰って暮らさないか?」
勇者は何も答えなかった。
「次いでに、剣術を教えてあげればいいじゃなか。私は魔法を教えよう。明日、国へ行って、空き家があるか見てくる」
「あの、魔法研究所にテッドという者がいます。そいつに言えば、なんとかなるかもしれません」
「ありがとう。お前はどうする」
「……考えておくよ」
「あの、俺が隊長に掛け合います」
「……人目に触れない所だな。そこだったら、周りを気にせず、武器を振れるだろ」
「ありがとうございます」
オルスはホッとして、コップの中のスープを飲んでいった。
さて、出てきました賢者。もちろん魔法は使います。
色んな魔法の名前がありますが、大体は火、水、地、天、光、闇ですね。
これは大体神話からきているのかもしれません。
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