第十六話
三日後。訓練が終わり、帰ろうとした時、テッドが駆け寄ってきた。
「おい、どういうことだよ」
「賢者が、来たのか」
大きく首を縦に振る。
「びっくりしたよ。いきなり現れて、俺の名前を知っているんだぞ。オルスという者から聞いたって。で、魔法研究所の近くに引っ越してきた」
帰り道、オルスはこの前の出来事を話した。
「じゃあ、勇者から訓練を受けるのか?」
「隊長にお願いをして、人目がつかない家を紹介してもらったよ。昨日、一日がかりで引っ越しの手伝いをした。その代わり、剣術を教えてくれる。とりあえず俺だけ。今の訓練だけでは、駄目だからね。もっと強くならないと」
夕食を終えると、オルスは家を出て、勇者の家へと向かった。
職人街を通り抜ける。あまり使われない、日当たりの悪い西門へ。左に曲がる。家の灯が見えた。勇者の家の前に来ると、玄関に男性が立っていた。
「とっと始めるぞ」
「はい。よろしくお願いします」
「まず第一に、全身の力を抜け。そして突く、斬る。見ていろ」
勇者はロングソードを両手で持った。右足を少し前に出した瞬間、剣先が前を向いていた。オルスは目を見張る。
剣先が前から一気に上を向く。足は動いていない。左足が動いた。次の瞬間には、横切りを終えていた。
「どうやって」
「これが基本だ。今のお前たちの教え方を、見せてみろ」
オルスはロングソードを両手で持つ。勇者の前で、基本の型を見せた。一で前足を踏み込む。二で縦に斬る。
「本当に、そんな教え方なのか?」
勇者は唖然としていた。
「はい」
「教えがどこかで途絶えたのか、それとも親切丁寧に教えすぎたのか。とにかく、今みたいに二拍ではない、すべて一拍で終えるんだ。やれ」
言われて、オルスもやってみた。だが、以前に教わったことが身に染みており、なかなか上手くいかない。
「当分は、一拍の振り方を覚えるんだな」
勇者の前で何度も行った。
「疲れたからって、満足するな。時々、心も体も休ませろ」
「はい」
「足元、どうなっている」
踏み込んだ足元をどける。足跡がはっきり残っている。
「それではだめだ。足に力が入りすぎだ。こうだ」
勇者が剣を振り抜く。足をどける。足跡の外側だけが、ぼんやりとだけ残っている。
「力はすべて、剣に集中させるんだ。他の所に力は入れるな」
「はい」
再び始めた。その日から、オルスは毎日来た。一週間後、いつものように、振り抜いた時、オルスは立ち止まる。そして、剣先を見つめる。
「気づいたか?」
「……何か、頭の中でバチンと、体が、こう」
「始めろ」
オルスは振り抜いた。勇者が頷く。
「動きが自然になったな。それを体に染み込ませろ」
「はい」
オルスの口元が自然と緩んだ。勇者もつられて微笑んだ。
とうとう、勇者から剣術を教えてもらう事になった、主人公。
さて今回、少々頭を悩ませたのが、「レベルアップ」
RPGですと、敵を倒せば経験値が増え、レベルが上がるのですが、それをどうやって物語で出そうかと……
で、参考にさせてもらったのが、「ゲームの極意が、武術の秘伝」という本がございます。
これが、めちゃくちゃ面白い。素人の人がいかにして強くなるのか、それが具体的に書かれているのです。
よければ評価、ブックマークをお願いします。




