第十一話
翌日、訓練を終えたオルス達は、その場にとどまる様に命令された。そこへ、重装兵、弓兵達もやってきた。違う部隊が集まるのがわかり、雑談が減っていく。逆に一気に緊張感が増した。
「こんな集まり、今まであったか?」
「いや、全くない」
檀上に、隊長が現れた。
「プラッカー王国、軍事最高指揮官、ウラシュ様から通達がある。みな正面を向くように」
気をつけの姿勢で正面を向いた。入れ替わり、ウラシュが兵士達の前に立つ。
ウラシュは、全員が集まっている事を確認する。
「マイクを」
その隣にはテッドがいた。右手に向かって、呪文を唱える。
緑色の光り輝く玉が現れた。テッドは、それをウラシュの口元に持っていった。
「一番後ろの者よ。聞こえるか」
一人の兵士が、手を挙げた。
ウラシュはうなずき、咳払いをする。
「昨日、この先の十字路で、ガイコツ兵とガイコツ騎士が現れた。先発隊と護衛隊の活躍によって、国王の命は守れた。だが、君たちが今まで戦った事がない相手が、すぐそこまで侵攻している可能性が高い」
ウラシュは、兵士の顔を眺めた。皆、視線を下に向けている。
「明日から、訓練を一段と厳しく行う事を決めた。最悪、死人が出るかもしれない。覚悟するように。以上」
それだけ言うと、ウラシュはその場から去っていった。
兵舎に戻ってきたオルスと仲間達は、大きなため息をついた。
「オルス、さっきの話、本当なのか? 沢山の死人が出たのは聞いてたけどよ」
「一日で、何十人も死ぬなんて、今までなかったもんな。おかしいと思ったよ」
仲間が続々と、オルスに聞いてくる。
「ガイコツ騎士、相当強かったのか。どんな攻撃方法なんだ?」
「勇者があの場にいなかったら、全滅していた」
「えっ」
仲間たちは絶句した。
「すぐに訓練して、勝てる相手じゃない。俺たちはガイコツ騎士、一体にも勝てない。ガイコツ兵よりも下だ」
オルスは苦い顔をした。
「でも、十字路に現れたんだろ?」
オルスは頷く。
「勇者は、一人で戦ったのか?」
「一人で、その場にいる魔物を全てを倒した。あんな剣さばき、見たことない」
「今、どこにいるんだ?」
仲間は悲しい顔をしながら、
「人里離れた所で暮らしているらしい。人間嫌いになったようだ。そりゃそうさ。魔王を倒すまでは、二人とも崇められていた。勇者は他の兵士より圧倒的に強かった。賢者は、誰よりも早く呪文を唱え、威力が強かった。だから、この二人なら倒せると、国王も国民も信じていた」
「だけど、倒せなかった。あと一歩だったんだよな」
仲間は頷いた。
「あの時代、クレチア王国と合同で、魔王城へ攻め込んだって教えられたよな。もう少しで、魔王を倒せそうだったけど、月が真上にきてしまった。月が真上にきたら、倒した魔物は復活してしまう。逃げる判断をしたんだ。仲間は多く殺された。被害は甚大。帰ってきたら、国民に手の平を返されたんだよな」
「伝説の臆病者、勇者。そう言われ続けた」
「俺たちは、死んで当たり前って思われているからな」
オルスと仲間達は、深いため息をついた。
少しずつ、読者が増えて有り難く思っています。
さて、この物語に登場する魔法ですが、超強力や究極などと言った類いは出てきません。
現代に身近にある物を、「魔法」として入れています。
どうしてかって? それは後ほど。
そして、勇者の過去が出てきましたね。この後の展開を、お楽しみ。
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