第十話
「いらっしゃい。オルス、肩どうしたんだ?」
「やられたよ。魔物に」
オルスは、壊れた革の鎧を、亭主に渡した。
「派手にやってくれたね」
右肩に空いた穴を見た途端、眉を顰める。
「おい、これは虫系の魔物じゃないだろ。この穴の空き方は……ランスだ。お前、まさか魔王城の城下街まで行ったのか。そこまで攻めなくちゃいけないのか? それとも……」
オルスは口を開いて、何か言おうとしたが、笑顔で、首を横に振る。
「近くの森に出現したカマキルと戦った。油断したら、これだよ」
「本当か? それならいいが」
オルスは防具屋に革の鎧を預け、兵舎へと帰っていった。
兵舎に戻り、新しい布の服に着替えると、隊長に報告をした。
「ご苦労だった」
「隊長、お話が……」
「今日の事か?」
「はい」
「上には俺が報告しておく。お前は今すぐ図書館に行き、報告しなさい」
「わかりました」
オルスは反対側にある、国立図書館へと向かった。
夕日は山間に隠れていく。緑のスタンレーローブを着た魔法使い二人組が、こちらへ歩いてくる。
少年と少女だった。右手に持っているステッキで、小さく弧を描いた。
「ライト」
そう呪文を唱えると、玄関前に吊されている丸いガラス玉に、白い光が灯される。二人は、次々と光を灯していく。
橋を渡る。国立図書館には、すでに大きな明かりが灯されていた。
テッドがいる魔法研究所を横切り、一番奥の国立図書館へ向かう。
「失礼します」
中に入ると、本棚が所狭しと置かれている。カウンターには、一人の女性が座っていた。
「ご用件は、何でしょうか?」
「新しい魔物の出現地域と、攻撃手順の報告です」
「では、こちらに名前を書いてください。こちらの用紙には、戦った魔物と出現地域を書いてください」
オルスは言われた通り、用紙に書いていく。そこへ、男性がやってきた。
「では、どんな攻撃をしてきたのか、お聞かせください」
別室に行き、オルスは覚えている限りの事を、身振り手振りで話していった。司書はガイコツ騎士の記録本を見ながら、時に質問をしながら、用紙に書いていく。
「そうですか。あの十字路に、ガイコツ兵とガイコツ騎士が出現されたんですね。そして、手の平から青い玉を発したと」
「はい、魔法だと思われます」
「新しい発見です。ありがとうございました」
図書館を出る頃、月が真上になっていた。見習い達が灯したライトは、衰えず光っている。
橋を渡り、繁華街から少し離れた所へ。反対側に向かって歩いて行く。先ほどとは違い、静まり帰っていた。
職人街に着くと、自分の家が見えた。あくびが出る。一気に眠気に襲われた。
静かにドアを開けると、居間に両親はいなかった。灯も消えている。足音を忍ばせ、自分の部屋に。手探りで自分のベットを探し、見つけると体を預けた。そして一気に深い眠りに落ちた。
以前、後書きにも書きました、ロマンシングサガ2のシステムを参考にさせてもらいました。
引き継ぎシステム。今でも斬新ですね。時代や人が変わっても、
技や術は覚えている。例え人だろうが、蜥蜴や人魚でも同じ。
夢や意思までも引き継ぐ。カッコいいですね。
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