精霊
あれからしばらく歩いてようやくテオは『神聖なる領域』と呼ばれる森に到着した。
森からはテオにもわかるくらいの魔力が溢れている。たしかにこれほどの魔力があれば精霊も沢山いるよな、とそうテオは思った。
精霊とは強い意思を持った『何か』が魔力により、精霊という形を示せるようになった物のことを指す。
何かとは特に決まっておらず、その土地で神様として崇められた神石や神木が精霊になる時もあれば、ただの草木や年老いた犬などの動物が精霊になることもある。
ようするに魔力が強い所なら精霊が生まれやすいのだ。
昔話の中には深い憎しみを抱いた人間が精霊になったという話も存在していて(あくまでも昔話であり、実際のところはわからないが…)強い意思と魔力があれば精霊が生まれるということになる。
それらの理由もあり、精霊契約の場として定められているこの森は精霊が沢山存在するに値する魔力が溢れているのだ。
森に着いてもテオはすぐに足を踏み入れず、まずは契約に必要な物の準備をしっかりと済ませておく。
精霊との契約に必要な物とは、その精霊との契約の証として使う『装飾品』のことであり、一般的には指輪やネックレスタイプが多く、少し変わったところでチョーカーやアンクレットなどもある。
ちなみにテオが準備した装飾品はブレスレットだ。
選択した理由はいたって簡単。指輪だと剣などを握る時に感触が違ってくるし、ネックレスだと動きまわるほうなので邪魔になってくる。
チョーカーも考えてみたが、少し気が引ける…なのでテオは装飾品をブレスレットに決めた。
装飾品がないと精霊に魔力を借り受ける際に魔力の通り道となる物がないことになり、魔力供給が非効率的になってしまう。そのために必要な装飾品は、いわば魔力の伝導体である。
一応、装飾品が無くても契約は可能なのだが今回に限ってはそうもいかない。なにせこれは精霊と契約を交わしてくりいわば試験なのだ、契約を交わして来てもそれを証明する物が無ければ失格になってしまう。
装飾品に精霊の魔力を通してもらい、その装飾品に連れ帰った精霊の魔力が通っていることが合格の条件なのだ。
そうしてテオは自分が忘れずに装飾品を持ってきていることを確認し、その他の準備も済ませると覚悟を決めて森に足を踏み入れた。




