第13話 就活終了!次回から何しよう!
赤は部屋から出ると心の中で笑みを浮かべながら青達が待つロビーへと向かった。ロビーには自由に寛いでいる青達二人と受付の近くで何かをしている鈴仙の姿があった。赤が近づくと三人共赤に視線を向ける。
「待たせた。」
「大丈夫だよ、兄さん。」
「用事は済みましたか。兄さん。」
「ああ、問題なく終了したぞ。」
赤が声をかけると黄と青が返事をする。鈴仙は赤達の方を気にしながらも受付の近くで何かを記入していた。
「兄さん、この後はどうしますか?」
「星熊達の誘いに乗るっていうのが唯一の予定だがまだ時間が早いからな。」
「兄さん、そろそろ、、、」
赤と青が次の予定の話をしていると黄が話しかけて来たが、黄が話し終わる前に何処からかクゥゥゥと言った空腹を知らせる音が聞こえて来た。青と赤は即座に黄を見るが黄は顔を横に振る。赤と青も顔を見合わせるがお互いに首を振る。三人はこの場に居るもう一人の方向を見ると、その人は俯き耳も垂れ下がり少し小刻みに体を震わしていた。それを見た空気を読める男の三人は視線を先ほどと同じところまで戻し話を続けようとして、、その人がついに口を開いた。
「あの、、、えっと、、お昼の休憩が取れなかったので、、、、」
羞恥に耐えられなくなった鈴仙は誰も聞いていないにも関わらず言い訳を始めた。それを見て可哀想に思えて来た赤は鈴仙に優し気に声をかける。
「実は俺達も飯を食べれてないんだ。よかったら、調理場を貸してくれ。お礼と言っては何だが優曇華院達の分も作ろう。」
「え?あっ、私は構わないんですが、師匠が何と言うか分からないので聞いてきますね。」
鈴仙はそう言い残すとサァァッと永琳がいる病室に向かって行った。赤はそんな鈴仙の姿を見送りながら鈴仙の異様な行動の速さに小首を傾げていた。すると、黄が
「実は、入院中に鈴仙と話す事が多くてその時に世間話程度に兄さんの料理が美味しいって伝えたら食べてみたいって言ってたんだよ。」
「そうなのか。そう言う事なら、いつもより張り切って作るか。」
赤たちがそんな話をしていると鈴仙が向かった方向から二人分の足音が聞こえて来た。赤達はそちらに顔を向けるとそこには鈴仙と永琳の姿が見えた。ロビーまで来た永琳は赤に声を掛けた。
「赤、昼食を作ってくれるって本当?」
「ああ、八意達さえ良ければな。」
「もちろんいいわよ。鈴仙、赤を調理室に案内して頂戴。」
「はい!師匠。」
「青達は私について来て。居間に案内するわ。」
永琳の言葉に従い赤は鈴仙に青達は永琳について行った。居間に着いた青達は各々寛ぎ始めた。調理室に着いた赤は鈴仙に簡単な説明を聞き調理を始めた。
数分後、赤は調理を終え近くで待っていた鈴仙と一緒に料理を居間に運び込んだ。赤は昼食を食べ始める前に永琳に対し、
「もう一人分を料理室に置いておいた。」
と、声をかけ昼食を食べ始めた。数分で全員食べ終わり鈴仙は片づけを青達は竹林に住む兎達と戯る為に席を外し居間には永琳と赤の二人しか残っていなかった。二人は対面に座り食後のお茶を飲んでいた。赤は黙ったままお茶を啜り、永琳は何かを気にしながら喋り始めずにお茶を啜っていた。何分かの沈黙が続きようやく永琳が口を開いた。
「赤、貴方は私達の正体に気づいているの?」
「、、、推測はしている。」
「聞いても?」
「月の住民。」
「、、、、正解よ。何故、分かったの。」
二人は先程まで持っていた湯呑を置きお互いに視線を逸らさず話していた。居間は二人の静かで重い声のみ響きその他の音は聞こえてこない。赤は少しの間永琳の質問に答えず黙っていたが小さく溜息を吐き視線を永琳から湯呑に移すと一口お茶を飲みゆっくりと答えた。
「月は魔力を放っている。古より人々を魅了する程の魔力をな。それは断じて眉唾では無いというのが一部の学者の説だ。俺も賛成する。何故なら月夜は昔から魔導の儀式において重要なものとされていたからだ。多くの魔力を受けた物は変質する。それは生物も例外じゃない。月に住んでいる者が居るのなら月と同じ様な魔力を帯びていても不思議では無いという説を聞いたことが居るからだ。まあ、その分野は俺よりも青の方が得意としているがな。」
赤は永琳の質問に答えるとまたお茶を飲み永遠亭の診療所がある場所と反対の方向、永遠亭の奥の方を見て言葉を続けた。
「それに、竹取物語のかぐや姫。伝承とは言え月の住民を暗示する様なモノも多くあるしな。」
「、、、、そう。」
永琳は赤と同じように永遠亭の奥の方を見つめると、息を吐き赤に視線を再び向け言葉を重ねた。
「この事は他言無用でお願いするわ。」
「良いぞ。言って得するような奴は知り合いにいないしな。」
「ありがとう。ところで、話は変わるんだけど良い?」
「良いぞ?」
永琳は赤との会話の議題を突然変えた。赤は不思議に思いながらも勝手に納得し了承する。永琳は赤の了承を聞くと先程とは別の真剣さのある表情を浮かべ口を開いた。
「さっきは助かったわ。ありがとう。」
「あの程度、手間にもなら無いから気にするな。」
「応急処置の腕を見込んでお願いがあるの。」
「?」
赤は永琳の一段と引き締まった表情の理由に心当たりがなく疑問符が多く頭の中を駆け巡った。少しの間を開け永琳はお願いを口にした。
「赤、貴方をこの永遠亭で雇わして欲しいの。」
「はっ?」
永琳の言葉に赤は意外感を露わにし間抜けな声を漏らした。その声を永琳は勘違いしたのか言葉を捲し立てる。
「もちろん、給料は出すわ。出勤は最低でも週三回、それ以外は好きにして貰って構わない。出勤時間は要相談だけどゆっくりめでも良いわ。どうかしら?」
「、、、、」
赤は完全に呆けていた。雇用に関しては赤にとって喜んでしたいほどだ。条件も破格。しかし、自分に対しそれほど条件を出す程永遠亭に余裕が無いとは思えない。そして何よりこの程度の話にあれほどの真剣な表情を浮かべていたことに肩透かしを食らった気分だった。少しの沈黙が居間を満たし、ようやく再起動を遂げた赤が口を開く。
「俺も喜んで雇われよう。ただ、条件はもう少し考えよう。俺に対して破格過ぎる。」
「本当?ありがとう。」
永琳は赤の言葉を聞き心底安心したような声を漏らした。赤は永琳と雇用条件について数十分話し合いお互いに満足できる条件で雇用契約を結んだ。話が終わると二人は居間を後にし、青達を迎えに行った。青達はそれほど遠くに行って居らずすぐに見つかった。
「兄さん、長話でしたね。」
「ああ、雇用条件で少しな。」
「え?兄さんは永遠亭で働くの?」
「ああ、そうだがどうかしたのか?」
「いや、少し意外だっただけ。」
「流石に二人に働けと言いながら俺が働かない訳には行かないだろ。」
黄の疑問に答えた赤は永琳の方を向くと永琳に声を掛けた。
「後日、仕事内容は聞きに来る。今日はこの辺で帰る。」
「ええ、分かったわ。また。」
「ああ。」
赤達は永琳に声をかけ終わると迷いの竹林に足を踏み入れた。今回は迷うことなく竹林を抜けた。三人は勇儀の誘いに乗るため再び地底へと向かった。
お久しぶりです。白黒原色と申します。この作品は東方projectの二次創作です。原作をご存じの皆様方からすれば見過ごせない点が多くあると思われます。そう言った場合は作品を読むのを止めるか感想等で指摘いただけると助かります。さて、三人の就活が終わりました。次回はどうしましょう。異変を始めるには赤達は新米過ぎますし、日常パートをするにはネタがありません。どうすしましょうか。まっそれは次回を執筆する自分にマルっとサクっと投げつけましょう。




