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相棒の知らない過去

カイル

 「トビーと話した方がよさそうだな。

  ばあちゃんトビーの家の住所教えてほしい。」

エレノア

 「あまり大事にしたくないんだがね。」

ルシアン

 「大丈夫です。もしトビーくんが魔導書と魔法石を持ち出した

  としていても責めたりしません。」

エレノア

 「そうかい?

  トビーの家の住所は母屋の生徒名簿にあるから

  母屋のおじいさんに聞いておくれ。

  私は教室の掃除をしてから帰るよ。」

カイル

 「わかった。ルシアン、母屋はこっちから行けるから

  ついてきてくれ。」

ルシアンがうなずく。

カイルは庭を横切り木の扉を開ける。母屋の玄関が見える。

カイルが玄関のドアを開ける

カイル

 「ただいま。じいちゃんいる?」

ドタドタ、ぴょん、ガバ

カイルに大きな白いもふもふした生き物が飛びつく

挿絵(By みてみん)

カイル

 「わ!?」

カイルがもふもふを抱き上げる。

カイル

 「久しぶりだな。ラッキー元気そうだな」

ラッキーは勢いよく尻尾を振っている。嬉しそうだ。

カイルがラッキーを下ろして頭をなでる。

ルシアンがそれを興味深げに見ていると

ラッキーと目があった。

ラッキーはじっとルシアンを見る。

しばらくするとルシアンにすり寄って来た。

ルシアンは頭をなでながら

 「よしよし。お前かわいいなあ」

カイルが驚きの表情を見せる

 「嘘だろ。お前、いつも俺たち家族以外の人間には

  怖がって近づかないだろ。なんでだ?」

ルシアン

 「そうなのか?こんなに可愛いのにな」

男性の声

 「誰かと思えばカイルじゃないか。」

カイル

 「あ、じいちゃん。居て良かった。

  魔法教室の生徒名簿を見せてほしいんだけど。

  トビーの家を知りたいんだ。」

グレイス

 「トビーの家?」

カイル

 「ああ。ちょっとトビーと話さなくちゃいけないことがあるんだ。」

グレイス

 「そうか。生徒名簿なら2階のエレノアの研究室にあるぞ

  そう言えば、そちらの方は誰だ?」

ルシアンは慌てて

 「すみません。勝手にお邪魔してしまって

  僕はルシアン・櫻塚です。

  カイルさんにはいろいろお世話になってます。

  よろしくお願いします。」

グレイス

 「櫻塚?・・・」

カイル

 「じいちゃんどうした?」

グレイス

 「いや、何でもない。

  ルシアンくん君のことはカイルから聞いてるよ。

  会えて嬉しいよ。

  わたしはグレイス・ローレスだよろしく。」

カイル

 「じいちゃん。俺は2階から名簿取ってくるから

  ルシアンの相手を頼む」

カイルが階段を昇っていく一緒にラッキーも付いていった。

グレイス

 「わかった。ルシアンくん。

  リビングでお茶でもしようか。

  コーヒーと紅茶どちらにする?」

ルシアン

 「コーヒーでお願いします。」

グレイスの後ろについていくと大きな窓から庭が良く見える

リビングに案内された。

グレイス

 「今、飲み物を持ってくるから

  適当に座って待っていてくれるかい」

ルシアン

 「ありがとうございます。」

ルシアンはリビングの壁や棚に沢山の写真が飾られているに気づいた。

写真は小さな赤毛の男の子とその両親だと思われる若い夫婦が笑って

写っている写真が多い。他には小学生くらいの子がエレノアとグレイスの写真、

中学、高校、今より少し若い警察の制服姿のカイルの写真も飾ってあった。

グレイス

 「ルシアンくん。お待たせしてすまんね。

  コーヒーとばあさん特性のスコーンだ

  良かったらどうぞ。」

ルシアン

 「ありがとうございます。いただきます。」

ルシアンがコーヒーとスコーンを食べながら

写真を眺めていると

グレイス

 「写真が気になるかい?」

ルシアン

 「すみません。じろじろ見てしまって」

グレイス

 「いやかまわんよ。

  両親との写真が小さい時しかないのが気になるじゃろ。

  カイルから聞いているかわからんがあいつの両親はあいつが

  小さいときに交通事故で亡くなってしまったんじゃよ。

  仲のいい気のいい二人じゃったんだがな・・・」

ルシアンはどう言葉をかけたらいいか迷いながら

 「・・・。そうだったんですね。

  写真を見たら両親どちらにもカイルは似てると思いました。

  それに3人ともいい笑顔の写真ばかりで良い家族だったんだと思いました。」

グレイス

 「どうだな、カイルの髪は父親似で瞳の色は母親似だな

  どうだね、ルシアンくん少し昔話を聞いてくれんかね」

ルシアン

 「僕で良かったらいくらでも」

グレイスはうなずくと

 「カイルの両親はあいつが7歳の時に旅行先で車の事故にあって亡くなってしまった。

  あいつも一緒に行くはずだったんじゃが風邪を引いてしまってな。

  両親は旅行を辞めると行ったんじゃがカイルが折角の二人そろった休みなんだから

  自分抜きで楽しんでほしいと言ってな、両親を送りだしたんじゃよ。

  それがあんなことになってな。当時は食事もほとんどできないし、

  声もショックで出なくなっていたんじゃよ」

ルシアン

 「そうなんですか。今のあいつからは想像できないですね。」

カイル

 「誰が想像できないって?俺は繊細なんだよ」

ルシアンが顔を上げるといつの間にかカイルが名簿を持って立っていた。

カイルはルシアンの横に座る。ラッキーもルシアンとカイルの間に座る。

ルシアンはちらりとカイルを見てから

 「グレイスさん、カイルはその後どうしたんですか」

カイルは何も言わないことを話してもいいと思ったのか

グレイスが口を開く

 「ああ。あれは気分転換にカイルと散歩をしているときじゃった。

  顔なじみに会ってわしが立ち話をしている間にカイルが消えたんじゃよ。

  わしは慌てて探して裏路地でカイルを見つけた時にはラッキーを抱えて

  不良どもに囲まれておった。あの時は肝が冷えたぞ。」

カイル

 「仕方がないだろ。あいつらがラッキーをいじめてたんだから。

  それにじいちゃんあいつらを一人で倒しちゃったじゃないか。」

グレイスが笑うと

 「それはお前が声を上げてくれたおかげじゃよ。」

ルシアン

 「え。声が出せるようになったんですか?」

カイル

 「じいちゃんの後ろから不良の1人がじいちゃんめがけて

  魔法を放ったのが見えたんだよ。それで咄嗟に叫んでた

  『じいちゃん、後ろ』てな。そしたらじいちゃん。素手で魔法を粉砕して

  相手に回し蹴りして倒して驚いた。」

ルシアン

 「凄い、グレイスさん。強いんですね。。。」

グレイス

 「そうでもないさ。

  まあ、当時はまだ現役の警察官じゃったからな」

ルシアン

 「グレイスさん。警察官だったんですね。」

グレイス

 「そう言えばそれからじゃったの。

  カイルが急に警察官になると言い出したのは。

  ばあさんは嫌がっておったがわしは嬉しかったなあ」

カイルが照れくさそうにしながらラッキーの尻尾を触っている。

ラッキーは嬉しそうにしながらなぜか隣のルシアンの膝に頭を載せる。

挿絵(By みてみん)

グレイスは面白そうにそれを見ながら

 「ラッキーがわしら以外にそんなに懐いたのはルシアンくんが初めてじゃよ。」

カイル

 「もう。俺の話はいいよ。

  それより、トビーのことだけど

  じいちゃんはトビーを知ってるよな」

グレイス

 「ああ、知っとるよ。

  少し乱暴な所があるがいつも親友のノアを気遣っている子で

  根はやさしい子じゃよ。」

ルシアン

 「まだ確証はないんですが今日の魔法教室で使った

  魔導書と魔法石が見つからないんです。

  それでトビーくんがもしかしたら持ち出したんじゃないかと。。。」

グレイス

 「うーむ。

  なぜルシアンくん達はトビーが持ち出したと思うんだね?」

カイル

 「授業では最初は元気がなかったのが終わるころには元気になって

  走って帰っていったんだよ。」

ルシアン

 「授業中、僕たちはトビーくんと一緒だったんですが

  今日の魔法を見たら元気になるって言ったら

  そのことを凄く気にしてたんです。

  それで誰かに魔法を見せたかったんじゃないかって思って」

グレイス

 「そうか。もしトビーが魔導書と魔法石を持ち出したんだとしたら

  悪意があってしたことではないじゃろ。

  カイル、トビーの話を聞いてやるんじゃ」

カイルは生徒名簿を見ながら

 「ああ。そのつもりだ。

  ルシアン、トビーの家はここから近い

  今から行ってみよう」

ルシアン

 「了解、すぐ向かおう」

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