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魔法教室の小さな事件

ルシアンは午後の講義が終わり鞄に資料を入れているときだった

スマホが揺れる。画面を見るとカイルからチャットが入っていた。

ルシアン

 「珍しいな。こんな時間に」

チャット

 カイル:急で悪いんだがちょっと手伝ってほしいことがある

ルシアン

 「今日はもう授業もないし、まあいいか」

チャット

 ルシアン:いいぞ。何をするんだ?

 カイル :それは会ってから話す、お前、今大学か?

 ルシアン:そうだ。今授業が終わったところだ。

 カイル :ちょうどよかった。

      今、大学の西門にいるから来てくれ?

 ルシアン:了解、すぐ行く。

ルシアンは足早に正門に向かって歩きはじめる。

 

ーー 大学 西門

ルシアンは西門を出るとあたりを見渡す。

カイル

 「こっちだ、ルシアン」

ルシアンに向かって普段の警察の制服ではなく

私服姿のカイルが歩いてきたのを見ながら

挿絵(By みてみん)

 「なんだ。今日は非番だったのか?」

カイル

 「ああ。今日から3連休なんだ」

ルシアン

 「3連休・・・。何で俺に会いに来るんだよ」

カイル

 「つれないこと言うなよ。相棒だろ」

ルシアン

 「はあ。はいはい。そうだったな

  それで俺に何を手伝ってほしいんだ」

カイル

 「お。話が早くて助かる。

  手伝いは俺のばあちゃんがやってる教室の手伝いだ」

ルシアン

 「教室の手伝い?」

カイル

 「ああ。俺のばあちゃんは主に小学生向けの魔法教室を開いてるんだが

  いつも手伝ってくれてる人が家族で旅行に行くそうで

  しばらく休むそうで急遽、俺に手伝えって連絡があったんだよ。」

ルシアン

 「具体的に何を手伝うんだ」

カイル

 「実技の時に魔法が暴発しないように補助だそうだ」

ルシアン

 「俺は魔法を教えたことなんてないぞ

  それでもいいのか」

カイル

 「ああ。大丈夫だ。

  ばあちゃん教えるの上手いけど

  厳しいからふざける生徒はいないはずだから

  見守ってればいい。」

ルシアン

 「まあ。そのくらいなら俺でもできそうだ」

ルシアンとカイルは歩きながらカイルの実家(祖父母の家)に向かう。


ーー カイルの実家(祖父母の家)

昔ながらの煉瓦造り家の隣に教室用の建物が併設されている。

ルシアン

 「生徒はどのくらいいるんだ?」

カイル

 「40人くらいだな。

  クラスは初級、中級、上級の3クラスで

  1クラスは12,3人ってとこだ年齢じゃなくて魔法のレベルでクラス分けしてる

  今、ちょうど上級クラスが授業中みたいだから少し見学しよう」

ルシアン達は廊下から部屋の中を覗く

教室には黒板の前に60代くらいの女性が立って授業をしている。

隣り合った男子生徒二人がコソコソ話す声が聞こえてきた。

教壇の女性がふりかえりも右手を一振りするとそこに突然魔法石が現れ

話していた生徒の頭の上に勢いよく移動して止る。

パーン。クラッカーのような音がして中から雪が舞い散る

生徒の頭の上に乗る。

男子生徒

 「わーー!!冷たい!!」

女性

 「今の魔法石に魔法を込める例です。

  授業中は私語をやめるように」

生徒たち

 「はーい。エレノア先生」

ルシアン

 「・・・。今の魔法石に、魔法を込めただけじゃない。

  机の上に会った魔法石を引き寄せてる。

  それを一振りで詠唱なしで行ってる。

  カイル、お前のおばあさんは何者なんだ?」

カイル

 「さすが。ルシアン気づいたか。

  俺のばあちゃんは昔は宮廷魔導士もしていて

  先の大戦で活躍したらしい。

  平和になってからは王族や高位の貴族に魔法を教えていたそうだ。」

ルシアン

 「そうなのか。

  お前の魔法展開が早いのが納得した。」

カイル

 「まあな。昔からスパルタで魔法を教わったからな。。。」

エレノア

 「ではみなさん。今日の授業はここまでです。

  使った魔道具や魔導書は元の場所に戻してから

  帰ってください。」

生徒たち

 「はーい。ありがとうございました。」

ガタガタ、ガヤガヤ

生徒たちが道具を片付け始める。

カイル

 「ルシアン、行こう。ばあちゃんに紹介する」

カイルが教室に入っていくルシアンもそれに続く

カイル

 「ばあちゃん。手伝いに来たぜ」

エレノア

 「はあ。カイル、教室ではエレノア先生と呼ぶようにいつも

  言っているだろ。」

カイル

 「ごめん、ごめん。そうだった。」

エレノア

 「ん?後ろにいるのはもしかして

  いつもお前が話しているルシアンくんかい?」

カイル

 「そうだよ。教室の手伝いを一緒にしてくれる」

ルシアンはエレノアの前に進み出る。

ルシアン(心の声)

 『なんだか、緊張するな。

  そして正面から見たらなんだかすごい迫力が

  あるのは気のせいじゃなさそうだ』

ルシアン

 「初めまして。

  僕はルシアン・櫻塚と言います。

  カイルさんにはいつもお世話になっています。

  よろしくお願いします。」

エレノアは一瞬驚きの表情を見せる。

挿絵(By みてみん)

・・・

カイルが怪訝そうに

 「ばあ、いや、エレノア先生どうした?」

エレノアははっとしたように

 「すまないね。

  昔の知り合いに似ていたものだから

  少し驚いてしまった。

  改めて、ようこそ。ルシアンくん。

  悪いが早速次の授業から手伝ってもらえると

  助かるんだがどうかね。」

ルシアン

 「はい。大丈夫です。

  カイルからは実技で魔法が暴走しないように

  見ている手伝いだと聞いたんですがそれで

  合っていますか」

エレノア

 「ああ、その認識で合っている。

  と言っても今回の授業は攻撃魔法ではないので

  危険性は低いがね」

カイル

 「どんな授業?」

エレノア

 「魔法石の中に閉じ込めた乾燥させて小さくなっている花びらに対して

  開封魔法、水魔法を発動させて花びらを元に戻す授業だ。」

カイル

 「あ。それ母さんが好きだった魔法じゃないか」

エレノア

 「ふふ。そうだったね。

  あの子はこの魔法が好きで小さいお前に

  いろんな花を見せていたね。」

カイル

 「懐かしいな。。。

  おっと授業の準備をしなきゃな。」

エレノア

 「それじゃあ。魔法石と魔導書を運んでくれるかい。

  実技は今日は天気もいいし、庭でするよ。」

カイル

 「了解。

  ルシアン、魔法石と魔導書は隣の部屋にあるから

  ちょっと来てくれ」

ルシアン

 「わかった。」

ルシアン達は魔導書と魔法石をかごに入れて庭に運ぶ。

魔道書は手帳くらいの大きさの子供用のものだった。

手のひらサイズ魔法石には花が既に埋め込まれている。

エレノア

 「さて、授業を始めようかね。

  二人とも魔法石と魔道具を生徒たちに配ってくれるかい?」

ルシアン達は生徒たちに魔法石と魔導書を配る。

ルシアン

 「あれ、1組ずつ余ってる。数間違えたか?」

エレノア

 「いや。合っているよ。

  今日一人休んでいる生徒がいるからその子の分が余ったのさ」

エレノア

 「皆、今日は魔法石の開封魔法と水魔法による花を再生させる魔法を

  試してもらう。まずは私が見本を見せるからよく見ているように」

エレノアが魔導書を開き開封魔法を魔法石に対して発動、魔法石が割れる

そしてページをめくり今度は水魔法を発動させる。

中のしわくちゃだった花がみるみる色鮮やかな花びらに変わっていく。

生徒たち

 「わー。綺麗」

エレノア

 「じゃあ。皆集中して開始!」

ガヤガヤ

生徒たちは一斉に魔導書と魔法石を交互に見ながら魔法を発動させようと頑張る。

男子生徒

 「ううーん。魔法石が割れない」

カイルが近づいて声をかける。

 「ドアを鍵で開けるイメージをしながら

  解除魔法を唱えるんだ」

男子生徒

 「わかった。やってみる。」

ピキピキ、魔法石にヒビが入る。

カイル

 「その調子、もう一息だ」

パリン、魔法石が割れて萎んだ花びらが出てくる。

カイル

 「次は花びらに水をかけよう」

ルシアン

 「魔導書の3ページ目を開いて

  そこに水魔法が書かれてる」

男子生徒は魔導書をめくると水魔法の式を発動させる。

ドバー、水が勢いよく飛び出す。

咄嗟にルシアンが制御魔法を発動させる。

男子生徒

 「わああ。どうしよう。」

カイル

 「大丈夫だ。落ち着いて

  花に水を少しずつ注ぐイメージしながら

  ゆっくり、そうだ。上手いぞ」

花がどんどん色鮮やかになり綺麗な花びらが舞い散る。

男子生徒

 「出来た!」

カイル

 「綺麗にできたな。

  昔、俺も落ち込んだときでもこれを見ると元気になったもんだ」

男子生徒

 「え!元気に?」

カイル

 「ああ。綺麗なものを見るのは楽しいだろ?」

男子生徒

 「・・・。そうだね。」

他の生徒も苦戦しながらも綺麗な花びらが風で舞い散る。

ルシアンはまぶしそうにそれを見ている

 「綺麗だな。。。」

カイル

 「いい魔法だろ」

ルシアン

 「ああ。そうだな」

エレノア

 「皆さん。大変上手にできましたね。

  今日の授業はこれでおしまいです。

  魔法石と魔導書をかごに戻してください」

生徒たちがカゴに魔導書と魔法石を入れて

エレノアに挨拶しながら帰っていく。

ルシアンは最後の1人が入れ終わるのを見て

中身を確認する。

 「あれ、魔道書が足りない。」

カイル

 「こっちも使っていないはずの魔法石がない」

ルシアン達は庭に落ちていないか周辺を探す。

ルシアン

 「やっぱりないな・・・」

カイル

 「生徒が持ち出したのか?」

生徒たちを見送りに行っていたエレノアが帰ってくる

 「どうしたんだい。」

カイル

 「ばあちゃん。魔導書と魔法石が1つずつ足りないんだ」

エレノアが厳しい顔つきになり

 「なんだって。魔道具類の無断持ち出しは

  この教室の規則違反だよ。」

ルシアン

 「何かいつもと様子が違う生徒などはいませんでしたか?」

エレノアは少し考えると

 「そう言えば今日はトビーが最初元気がなかったけど

  帰るとき元気に駆け出していったね。」

カイル

 「トビー?」

エレノア

 「お前たちが魔法を教えていた子だよ」

ルシアン

 「ああ、あの子ですか」

エレノア

 「最近あの子の親友が学校も教室も休みがちで

  元気がなかったんだがね」

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