笑顔を呼ぶ魔法石
古い石畳の道が続く、周りは昔ながらの家が立ち並んでいる。
カイル
「ここら辺のはずなんだがな。
赤い屋根と綺麗なアーチ状の門が目印だ。」
ルシアンが立ち止まる。
「ここじゃないか。」
そこには綺麗に手入れされている垣根と
綺麗なアーチの門がある家だった。
カイル
「そうかもな。屋根も赤いしな」
カイルたちは門をくぐり玄関のベルを鳴らす。
パタパタ
ガチャ、ドアが開いて女性が出てきた。
女性
「あら。どなたですか。何か御用ですか?」
カイル
「突然、すみません。
俺は、カイル・ローレスっていいます。
魔法教室をやってる。エレノア・ローレスの孫です。
トビーくんに話したいことがあるんですがいいですか}
女性
「ああ。エレノア先生のお孫さん。
うちのカイルがまた教室でご迷惑をおかけしたんでしょうか?」
ルシアン
「いいえ。ちょっと今日の魔法教室の授業のことで
話をききたいことがあるんです。」
女性
「少しお待ちください。
いまトビーを呼んできます。」
しばらくするとトビーが出てきた。
女性
「今日は天気もよいので
庭のベンチを使ってください。」
カイル
「ありがとうございます。
トビーくんをちょっとかります」
トビー
「・・・」
カイルとルシアン、トビーは庭のベンチに座る。
ルシアン
「トビーくん。単刀直入に聞くけど
今日の魔法教室で使った魔導書と魔法石を
持ち出したのは、君じゃないかい?」
トビーは落ち着かなそうに首を横に振る。
ルシアン
「ごめん。責めているわけじゃないんだ。」
カイル
「俺たちは犯人捜しに来たんじゃない。
魔導書と魔法石を持ち出した理由が知りたいだ」
トビーがルシアン達を見る
「理由・・・。
怒ってないの?」
カイル
「怒ってないさ。何か特別な理由があったんだろ」
トビー
「・・・。あいつにノアにあの魔法を見せたかったんだ。
授業中言っていたじゃないか。
この魔法を見れば元気になるって!」
ルシアン
「やっぱり、ノアくんに見せるためだったんだね。
君の友達を思う気持ちは間違ってないよ。
ただ、黙って教室から魔導書と魔法石を持ち出したのは
だめだよ。」
トビーが泣きそうになりながら
「ごめんなさい。どうしても見せたくて」
カイルがトビーの頭をなでる。
「大丈夫だ。俺も一緒にばあちゃん、
エレノア先生に謝るから
いまから魔導書と魔法石を返しに行こう」
トビーが不安そうにしながらも
「うん。わかった。
ちょっと待ってて今取ってくる」
トビーは自分の部屋から魔導書と魔法石を取って現れた。
カイルの家に戻る途中、トビーがエレノアは怒ると怖いから
どうしようと怯えているのをカイルたちは励ましながら戻る。
ーー魔法教室
エレノア
「・・・」
エレノアの前には椅子に座った
カイル、トビー、ルシアンがいる。
机の上には魔導書と魔法石が置かれている。
トビー
「エレノア先生、ごめんなさい。
俺、勝手に魔導書と魔法石を持ち出しました。」
カイル
「ばあちゃん、トビーは持ち出した理由があるだ。
聞いてやってくれ」
エレノアがカイルを見る
「エレノア先生とお呼びと何回言えばわかるんだい。
それに、どんな理由があろうとこの魔法教室のルールを
破ることはいけないことだ。」
トビー
「本当にごめんなさい。
でも、俺どうしてもあの魔法をノアに見せたかったんだ!
ノア最近調子が良くなくて病院に入院してるんだ。
俺、早くノアに元気になってほしいいんだ」
エレノア
「ふう。トビー、友達を大切にする気持ちは大変大切だけど
それがルールを破っていいことにはならないよ。
でも今回だけはノアのためにも魔導書の持ち出しを許可します」
トビー
「本当!?」
エレノア
「ただし、魔法石は自分で作ってもらうよ。
ノアが楽しくなって病気が吹き飛ぶような
すごい魔法石をね。」
ルシアン
「僕たちも手伝っていいですか?」
トビー
「いいの?」
エレノア
「そうだね。二人にも手伝ってもらおうかね。
じゃあまずは、二人は庭から花びらを集めてきておくれ。
トビーは私と一緒に特別な仕掛けを用意しようじゃないか」
トビー
「特別?難しい?」
エレノア
「大丈夫さね。私も手伝うから」
トビー
「わかった!俺頑張るよ」
ルシアンとカイルは庭で咲いている花を摘んで花びらを集める
ルシアンはカゴ一杯に色とりどりの花びらを見せながら
「カイル、このくらいでいいか」
カイル
「お、いいんじゃないか
俺も大分ある待った、
それじゃあ、この花びらたちを魔法石に入るように
縮めなくちゃな。」
ルシアン
「均等に一瞬で乾燥させて組織が壊れないようにする必要があるな」
カイル
「任せてくれ、その魔法は得意だ。
小さいころからやってるからな。」
ルシアンが笑う。
「わかった。任せた。」
ルシアンはテーブルの上に花びらを並べる。
カイルは魔導書を左手に持ち魔法式を発動
花びらは一斉に浮いたと思った瞬間、
一瞬で乾燥し、小さな塊になった。
ルシアン
「やるじゃないか、カイル
そんな繊細な魔法も使えたんだな」
カイルが睨む
「お前なあ。一言多いぞ」
ルシアンは視線をそらして
「そろそろ、教室に戻らないか」
カイル
「ごまかしたな。」
ルシアンは花びらの塊を持って教室に向かい始める。
カイルがその後を追う。
ーー教室
トビーが真剣な表情で魔法を発動している。
周りには細い紙がいくつも落ちている。
トビー
「うー。」
エレノア
「トビー、集中して思い描くんだ。
そうすれば魔法も安定する。」
トビーは魔導書を左手に持ち一生懸命念じる。
すると紙が舞い上がり光輝きはじめる。
それは蝶の姿をしていた。
トビー
「やった。できた!」
カイル
「どうやらこっちも完成したみたいだな。」
ルシアン
「トビーくん。よく頑張ったね。
こっちも花びらの準備はできたよ」
エレノア
「そうかい。それじゃあ。
花びらと紙を魔法石に封印しようかね。」
エレノアはそう言うと右手に持っていた魔法石を掲げて
魔法式が見る間に広がりあっという間に花びらと
紙の蝶たちが魔法石に入った。
カイル
「相変わらず、早いな。
さすがエレノア先生」
エレノア
「おだてても何も出ないよ。
今からならまだ面会時間に間に合う。
2人はトビーについて行っておやり」
ルシアン
「はい、わかりました。
トビーくん、行こう」
トビーは大事そうに魔導書と魔法石を抱えると走りだす。
カイル
「待てって走るな」
ルシアン達はトビーを追いかける。
ーー病院
病院の廊下を歩きながら
ルシアン
「何とかぎりぎり間に合ったな」
カイル
「ああ、後はトビーに任せよう」
トビーは不安そうに
「ノア喜ぶかな?」
カイル
「喜ぶさ。魔法はイメージが大切だ。
ノアの喜ぶ顔を思い浮かべながらやるんだ」
トビー
「わかった!」
病室のドアを開ける。
トビー
「ノア!来たよ」
ノアはベットで本を読んでいたが
トビーを見ると嬉しそうに笑う。
「トビー!今日は来ないかと思った」
トビー
「ごめん。ノアに見せたいものがあって準備してたら
遅くなっちゃたんだ。」
ノア
「見せたいもの?」
トビー
「うん。見てて!」
トビは魔導書を持ち魔法石に向かって魔法を発動
トビー
「まずは封印解除」
魔法石に徐々にヒビが入り、割れる。
トビー
「次は水で花びらを復活!」
花びらがみるみるよみがえる。
ルシアン(心の声)
『いいぞ。その調子だ」
トビー
「最後はとびっきりの光る魔法!」
紙に蝶が舞い上がり光輝いて飛び回る。
カイルはそっと手をかざし風魔法を発動させる
ビュー、
花びらと蝶が部屋一面に舞い上がり
幻想的な風景が広がる。
ノアは驚きの表情を受かべながら
「わああ。綺麗!
すごいや、トビーいつの間にこんな魔法できるようになったの?」
トビー
「俺、ノアに早く元気になってもらいたくて
一生懸命、エレノア先生と練習したんだ!」
ノアは嬉しそうに
「ありがとう。トビー!」
ルシアン達はそんな二人を優しく見守っていた。
病院の面会時間も終わり、トビーを家まで送る。
ーートビーの家の前
トビー
「兄ちゃんたち、ありがとう!
ノア凄く喜んでもらえたし、本当に元気になったみただった」
カイルがトビーの頭をなでる
「どういたしまして。ノアが喜んでくれて良かったな」
ルシアン
「トビー、これからは一人で悩まず
エレノア先生たちにまずは相談しような?
きっとトビーを助けてくれるから」
トビー
「うん。そうする!
ありがとう。」
トビーに手を振られながらエレノアへの報告のため
カイルの実家に戻った二人を待っていたのは
大量の羊料理を中心とした家庭料理だった。
グレイス
「おかえり、二人とも!
今日は腕を存分に振るったからな
たくさん食べてくれ」
ルシアン
「おお!凄いですね。
これ全部、グレイスさんが作ったんですか?」
グレイス
「そうじゃよ。」
カイル
「じいちゃん、ばあちゃんより料理上手なんだよ・・・」
バシ、
カイル
「痛、ばあちゃん居たのか」
エレノア
「居たのかじゃないよ。トビーたちはどうだった」
カイル
「大成功だったよ、ノアも喜んでくれた」
ルシアン
「ええ、特に光る蝶と花びらは凄く素敵でした。
あの蝶って切り絵ですよね?」
エレノアは目を細めてルシアンを見る
「そうだよ。あの魔法は昔の友人が得意でね。
よく見せてくれたんだよ。
とても幻想的で見る者を楽しませてくれたんだ」
ルシアン
「そうなんですか、
僕もよく兄が同じように見せてくれていました。」
エレノア
「そうかい。。。」
カイル
「・・・」
ワン、ワン!
カイル
「なんだ、ラッキーお腹空いたのか
俺も腹減った。」
グレイス
「さあ、さあ、食事を始めようじゃないか。
せっかくの料理が冷めてしまう。」
4人と1匹は楽しく夕飯を過ごす。
楽しい時間はあっという間に過ぎ
ルシアン
「あ、もうこんな時間だ。そろそろ、失礼します。」
エレノア
「なんだい、今日は泊まっていくといいよ」
グレイス
「そうじゃよ。部屋は余っておるからの遠慮はいらんよ」
ルシアン
「はあ、いいんですか?」
カイル
「気にするなって、お前いつも俺ん家には
勝手に泊まっていくじゃないか」
ルシアン
「まあな。それじゃあお言葉に甘えて泊まらせてもらいます」
ーーウッドデッキ
ルシアンが風呂上り涼んでいると後ろからカイルが近づいてくる。
カイルの手には瓶に入った炭酸飲料が2本あった。
カイルがその1本をルシアンに渡す。
ルシアン
「サンキュ」
カイル
「今日は悪かったな。いろいろ付き合わせちまって」
ルシアン
「別にいいよ。いろいろ勉強にもなったし、
お前のこといろいろ知れたしな」
カイルが頭をかく
「・・・」
ルシアン
「なんだ、照れてるのか?らしくないな」
カイル
「悪かったな。俺は繊細なんだよ」
ルシアンは笑う
「ハハハ」
カイルがルシアンの肩を突く
「笑うところじゃないだろ」
ドタ、ドタ、ドタ、バフ
ルシアン
「わ!?」
ルシアンが後ろを振り向くとラッキーがいた
ルシアン
「ラッキー!」
わしわし、ルシアンがラッキーをなでる。
カイルはそれを見ながら
「本当にラッキーに好かれてるな」
そんな2匹と1匹を優しく月明りが照らしている。
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この話は霧都の捜査録の番外編になります。
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