8 おっぱい談義
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「おっぱいって、コレのこと?」
リエさんが、無造作に自分の胸を下からすくい上げるようにして揺すってみせたので、隣の席でコーヒーを飲んでいたおじさんが、ぎょっとしてリエさんを見た。
私のほうが慌てながら、「ちょっと、リエさん! こんなところで!」と言って、リエさんの手を降ろさせた。
「え~、いいじゃん別に。減るもんでもなし」
リエさんは平気な顔でアイスコーヒーを飲む。
私は「リエさんって、とっても優しい良い先輩だけど、ちょっとデリカシーに欠ける」と思った。
「でもまぁ、確かに『それ』のことでお聞きしたいんですけど……」
私が小声になると、リエさんは「うんうん、それで?」と言って、身を乗り出した。
リエさんの豊かなバストが目の前に迫り、目のやり場に困りつつ、「その、私も自分のおっぱいが欲しいんですけど、手術した後って、痛いですか?」と聞いた。
すぐに答えが返ってくるかと思ったら、意外なことに、リエさんは「うーん」と唸って考え込んでしまった。
「実はねぇ、おっぱいを入れた後の痛み具合は、人それぞれなのよ」
「人それぞれ…… ですか」
「うん。ちなみに、私は超絶痛くてね。風が吹いても痛みを感じるっていうか」
私がよくわからないような顔をしていると、リエさんは「たとえば」と言って、両手の親指と人差し指を使って、直径20センチぐらいの輪を作ってみせた。
「これぐらいの太さのタバコがあるとするじゃない」
こんどは私にもイメージできたので、うんうんとうなずいた。
「そしたら、そのタバコに火をつけて……」
リエさんは、目に見えない巨大タバコを抱えて、先端を火にあぶるようなジェスチャーをしてみせた。
「胸に押しつけられたような痛さよ」
私は、全身に鳥肌が立ち、血の気が引くのを感じた。
「まあ、これは私の、痛みがMAXだった時の話ね。もちろん時間がたつと楽になるし、馴染んじゃえばもう痛くないんだけど」
笑いながら言うリエさんに、「私、一時的でもその痛み無理そうです~」と泣きごとを言った。
「いや、ホント、おどかすつもりはなかったんだけどね。それに、個人差があるみたいなのよ。痛みの感じ方に。メルママなんかは、『そんな大げさに言うほどのもんじゃない』って言ってたし」
私の顔色が青いのを見て、リエさんは必死にフォローしてくれた。しかし、あんな衝撃的なたとえを聞かされた後では、どうしても考えが悪いほうに向いてしまう。
「それで、エリカちゃん、いつ頃おっぱい入れるつもりなの?」
落ち込む私に、リエさんが聞いた。
「できれば、早いうちに…… 夏休みとかに、と思ったんですけど……」
今はすっかり気持ちが萎えてますよ、リエさん。
リエさんは、「そっかぁ。うん、早いほうがいいよ、どうせなら」と言って笑った。




