9 キャンパスライフ
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「冴木君は、部活どこにしたの?」
一般教養の講義が終わった後、クラスメイトから声をかけられた。
「え? いや…… バイトがちょっと忙しくて……」
私が言葉を濁すと、「え? バイトしてるの?」と、意外そうに聞き返された。
医学部の学生は、経済的に余裕のある家庭の子供が多いので、ほかの学部の学生がバイトに精を出すのに対し、部活に熱心に取り組む学生が多い。
「うん。一応接客業なんで、社会勉強にもなるし……」
まさかニューハーフショーパブで働いているとは言えない。
「そうなんだ。なんか大変そうだね。頑張ってね」
私はほっとして胸をなでおろした。いろいろと詮索されると、ちょっと面倒なことになる。医学部の同級生は、100人足らずと割と少ないので、誰とも干渉しないで学生生活を送るのが困難なのだ。
ほどほどの距離感をつかむまでは、私のことをどこまでぶっちゃけたものか、測りかねる。
※※※
ゴールデンウイークが明けて、だんだんキャンパスライフのリズムがつかめてきた。
夕方講義が終わると、一旦アパートに帰ってメイクをしながら勉強し、夕食を摂ってマスカレードに出勤。21時から24時まで働いて、終電でアパートに帰ってきてシャワーを浴びて寝る。
朝は8時ごろ起きて、朝食を摂って大学へ。講義を受けて、学食で昼食、以降繰り返し、である。
マスカレードは、日曜・祝日が定休日なので、一気に睡眠不足を解消する。よって、遊びに行ったりとか、趣味の活動などは、すべて後回しだ。
まあ、私の場合、幸いバイトの半分ぐらいは趣味といえなくもないが。
メイクをして、かわいい服装でいられることが、とにかくうれしくて、楽しかった。
……あの事件が起きるまでは。




