34話S 朝のトラブルと私の本音
注意事項。
【R15/性的描写あり】
女性同士の親密な描写を含みます。
苦手な方はすみません。
これは夢だと思う。
彼女はこんな風に人を求めてくるはずがないから。
ベッドの上で、私は綾さんと熱く抱き合っていた。
「栞、私を幸せにして……貴女で頭をいっぱいにして」
綾さんは甘く掠れた声で囁きながら、私の頭を優しく胸に押し付けてきた。
柔らかくて温かい膨らみが顔全体を包み込む。
少し熱を帯びた肌の感触と、甘い香りに頭がぼうっとする。
私は彼女の望むままに、その豊かな胸を舌で優しく舐め、時折そっと吸った。
綾さんの身体が小さく震え、喉の奥から甘い吐息が漏れるたび、私の身体も熱く火照っていく。
夢だろうか。構わない。
このまま彼女のすべてを感じて、苦しい過去を忘れさせてあげたい。
「栞……来て……」
その言葉に、身体中に電気が、走ったような感覚が広がった。
私はゆっくりと手を伸ばし、彼女の秘部に指をそっと当てた。
熱く潤んだそこは、私の指を優しく包み込んできた。
軽く動かすと、綾さんが抑えきれない甘い声を上げた。
「ん……あっ……!」
「綾さん……もっと感じて。私をいっぱいに感じて……」
私はもう一本指を重ね、優しく中を探るように動かした。
綾さんの腰が小さく揺れ、銀色の長い髪がシーツの上で乱れる。
潤んだ赤い瞳が私を見つめてきて、胸が熱くなる。
「栞……いい……もっと……」
その声に導かれるまま、私は指の動きを少し速めた。
もう片方の手で彼女の腰を抱きしめながら、おっぱいにキスをした。
綾さんの身体が弓なりに反り、甘い喘ぎがどんどん大きくなっていく。
「あっ……あんっ……! 栞、だめ……もう……」
綾さんの全身が、びくびくと震え、熱い波が彼女を包んだ。
私もその余韻で、頭が真っ白になりそうだった。
その瞬間、急に頭がズキンと痛くなって、視界が白く染まった。
目が覚めた。
「う……うん。綾さん酷いよ……朝起こすのに叩くなんて~」
私が寝ぼけながらそう言いながら、右手が何だか暖かく包み込まれていることに気づいた。
中指が少し動くと、柔らかくて熱い感触が指先に伝わってくる。
綾さんがびくりと身体を震わせ、慌てて声を抑えながら掠れた声を出した。
「っあ……! 起きたの……なら……手を、どけて……お願い……」
その声で一気に目が覚めた。
私は自分の体勢を理解して、背筋が凍りつくような感覚に襲われた。
あわわわ……!
夢だと思って寝ぼけながら……!?
慌てて指を引き抜くと、綾さんが小さく息を詰めた。
私は飛び起きて正座になり、勢いよく頭を下げた。
「綾さん、ごめんなさい……! ワザとじゃなくて」
顔も耳も首も、全身が熱くなって真っ赤になっていくのが自分でもわかった。
せっかく昨日、綾さんが、添い寝をゆるしてくれたのに。
私は何てことをしてしまったんだろう……!
「わかってる。でも……着替えるから、少し出て行って」
綾さんの声はまだ少し震えていて、頬もほんのり赤かった。
銀色の髪が乱れて肩に掛かっている姿が、妙に色っぽくて、私はますます視線を逸らした。
「う……うん……ごめんなさい……」
私は這うようにしてベッドから降り、自分の部屋に戻った。
ドアを閉めた瞬間、両手で顔を覆って蹲り込んだ。
心臓がまだバクバク鳴っている。
指先に残る、綾さんの熱と柔らかさが離れない。
夢と現実が混ざって、頭の中がぐちゃぐちゃになっていた。
でも、綾さんが怒ってなかったことだけが、せめてもの救いだった。
部屋に戻って、私は朝の準備を始めた。
今日から1週間、地方ロケがあるから荷物もそこそこ多い。着替えや化粧品をスーツケースに詰め込みながら、さっきの夢のことが頭から離れない。
……あんな夢まで見てしまうなんて、私の中で綾さんの存在がどれだけ大きくなっているのか、改めて思い知らされた。
でも、この気持ちは絶対に隠さなければいけない。
私のキャリアにも関わるし、何より綾さんに迷惑をかけてしまう。
そう自分に言い聞かせながら準備を終え、リビングへ向かった。
部屋に入ると、綾さんはもう朝食の準備をしていた。
彼女の顔を見た瞬間、夢の中の熱い吐息や柔らかい感触がフラッシュバックして、頬が一気に熱くなり、慌てて目を逸らしてしまった。
食事中も、何か話そうと思って、綾さんの顔をチラチラ見てしまうのに、恥ずかしさが勝ってしまって結局下を向くことしかできなかった。
「わざとじゃないんでしょ。寝てるときに起きたことだよ。気にしなくていいから」
綾さんが、いつもの少しクールな声で言ってくれた。
きっと平静を装ってくれているんだろう。
周囲からは冷たいとか、何を考えているかわからないと言われることもあるらしいけど、私の知る綾さんはとても優しくて、思いやりがある人だ。
それでも、彼女のトラウマを刺激してしまったんじゃないかと、申し訳なさが胸を締め付ける。
「でも……許可なく、綾さんの……」
「私が良いって言ってるんだから、気にしないの。気にされる方が……困るから」
その言葉に、少しだけ胸が軽くなった。
私は「ううう……」と小さく唸りながら、下を向いたまま、でもほっとしたように小さく頷いた。
綾さんの指先が、テーブルの上で少し震えていた気がした。
夢の中の熱い感触が、まだ私の指に残っている。
食事を終え綾さんがキャリーケースを引いて玄関へ向かう音が聞こえた。
私は自分の部屋を飛び出し、慌てて後を追った。
玄関でようやく追いつき、私は声をかけた。
「なんか変だね、綾さん」
「なにが?」
綾さんが自分自身をキョロキョロと見回す姿が可愛くて、私はくすっと楽しそうに笑ってしまった。
「違う違うって……綾さん自身に可笑しいところなんてないよ。いつもと反対だなぁって思って。私が綾さんを見送ることなんて、基本ないからね」
「そういえばそうだね……」
普段は、私が仕事やロケへ行くのを見送ってもらうのが普通だった。
綾さんは、ハウスキーパーとして家の家事を完璧にこなしてくれるから、いつも安心して任せられる。
今日は綾さんが、渡英する時間が早いので、私が見送る番だった。
なんだか新鮮で、こういうのも悪くないな……と思ってしまった。
そう考えていると、なんだかすごく愛おしく感じちゃって、綾さんに飛び込んでしまった。
私の腕が綾さんの首に優しく回して、ぎゅっと綾さんの柔らかい体に押しつけた。
流石一流のアスリートだけあって、体幹を崩さずに、支えてくれた。
それでも綾さんの肩がピクリと震わせていたのを見逃さなかった。
「危ないでしょ!」
綾さんがそう言って注意をしてきたけど。
私は背伸びをして、綾さんの口のすぐ近くの頬に、ちゅっと軽いキスを落としてみた。
意外ともちもちな肌の感触が、じんわりと熱を感じさせていた。
「え……」
「イギリスだから、頬にキスするのは普通かなって思って。慣れないとパニックしちゃうかもね」
「まだここ日本だから……」
呆然とする綾さんに対して、私はにこっと笑ってしまった。
「綾さん、サッカー頑張ってね」
「栞もロケ頑張ってね」
「行ってらっしゃい。メールとかするから」
「行ってきます。面倒なことしなくていいから」
速攻で拒否された。
私が、こういうことがあったよってメールを送っても、綾さんの返信は基本的に業務連絡だった。
前にも「綾さん今日何してたの?」って送ってみたら。
『栞を見送って、掃除と洗濯。昼食を食べ、2時間ほどサッカーの練習。これから、お風呂掃除の後、夕ご飯の準備。洗濯物を取ってから夕ご飯を作る予定』
まるで家事スケジュールの報告書みたいな返事が来た。
「もうちょっと普通の会話っぽくしてよ~、業務連絡みたいじゃん」って言ったら、綾さんは少し困ったような顔をしていた。
その後で、「栞が何を求めているかよくわからない」と言われた。
……あのギャップはどうにかならないのかな?
何が、質が悪いって言ったら、本人無自覚なところが本当にダメだと思う。
クールで真面目なのに、急に恥ずかしくなったりするのはよくないと思う。
私は、ため息をつきながら、秋子さんが来るまでに残りの準備を終わらせた。
スーツケースの最終チェックをして、家の鍵をしっかりかける。
エレベーターで下り、駐車場に向かうと、秋子さんが車を停めて待っていた。
「栞、おはよう! 準備は大丈夫?」
秋子さんは、明るい笑顔で手を振ってきた。
私は小さく会釈を返しながら、助手席に荷物を積み込む。
「うん、大丈夫だよ。……綾さんはもう空港に向かったよ」
「知っているわ。唯も向かったしね、私たちも頑張りましょう。1週間のロケ!」
「秋子さんなんで知ってるの?」
「昨日は、唯の部屋で泊まったからね」
「なるほど」
車が動き出すのを感じながら、私は窓の外に視線を向けた。
まだ朝の柔らかい光が街を包んでいる。
私達も待ち合わせの場所迄向かった。
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