進路選択
「ルー、夜、話があるんだけど。」
半年前の秋口の夜、ルーの過去を知って以来、人生左右するような選択を計画しているときはどちらともなく話を持ちかけてきた。
選ぶ進路によって生活スタイルは変化するし、それに合わせてお互いに助け合わないと公私のバランスは取れないと思う。
「ごめんね。ルーの予定は終わった?」
学校の課題も終わらせて、勉強のために受注していた仕事にもあらかた目処はついた。
先に入れてくれたお茶をカップに注いでくれる。
テーブルの隅にはまとめられたいくつかの資料とレポートをまとめていたのだろう痕跡。
「勉強してたのならきりがいいところまで…。」
ちょうどそこまで目処がついて休憩してたのよ。
目の前に出された皿に乗せられたのはいつもの小さめの試作品。
試作品でお茶をしながら話をしようという意思表示だ。
「遅くにごめんね。話したいことがあって…。」
資料を広げながら前置きをする。
近隣にある製菓専門学校の入試案内が2セット。
未来Projectの仮親たちはほとんどの場合、4年制大学に進むことが多い。
国との契約の制約は大きい。
一応、4年の前後1年は猶予期間として卒業して1年社会人になったり、はたまた留年をしてProjectの赴任地に残ることは許されているけど。
「専門学校、どちらも2年制の学校だね。」
この話をする前にシンさんに相談をして下調べをしてきた。
私たち仮親は国が指定する教育機関のみ進学が可能だ。
その殆どが3年制もしくは4年制の教育機関である。
そこにルーは不信感を感じたのであろう。
「うん。その点もシンさんに協力してもらって調べたんだけど。」
向かって左前の資料の学校は、経営学や飲食店に必要な法令、実際の手続き等に特化している学校になる。
対して右側の資料の学校は、技術面の基礎的なことに特化している学校だ。
どちらも必要とする基礎スキルは変わりなく学べるカリキュラムではあるが…。
「経営学に特化してる学校の方は望めば自分のお店を開店するための準備も学習として含まれるの。」
つまり、マチルダの望み次第では、パティスリーパッパのオープン準備ができるってことで間違いない?
さすがに理解が早いのは助かる。
これぞ機械のゆりかご出身が成せる技なのだろうか。
「シンさんのアイデアで、どちらにも進学する手も使えるんじゃないかって。」
調べたら、指定されてる2年制の専門学校を立て続けで合計して4年ないし5年での卒業とみなされるんだって。
だから、私。この進路でパティシエを目指そうと思うの。
「ルーには開店準備で迷惑かけちゃうかも…。」
育英都市ロカルノと2拠点の生活になることは間違いないだろう。
そうなってくると、ルーへの負担も増えてくる。
マチルダの夢を応援することは、和音さんが望んでたことだと思うから。
マチルダが進みたい道を応援するって伝えた___。




