これが家族と言うのなら
前回までのあらすじ
地に足つけたい主人公、歩くタイプのゾンビになれるかも怪しかった。
「何よこの鼻血、真っ黒じゃない!」
そう叫びながら、主人公の元に駆け寄ってくる女性がいた。
ケロックの母、ルナリア・クロムハーツである。
緩やかなウェーブのかかった長い茶髪。その前髪の一部を三つ編みにして耳の後ろに提げている。
表情に幼い雰囲気を残した、大きなタレ目の女性だったが、怒った時の顔は怖い。
恐怖心が芽生えたのは、他でもない『ケロック』の母親だからだろう。肉体に刻まれた記憶から主人公も、彼女に母性を感じざるを得なかった。
「大丈夫? 熱はない……って冷たっ!! なによこれっ、本当に大丈夫なの!?」
死体なのでもちろん体温はない。よほど心配だったのだろうか、やり場のない怒りからキレ気味の口調になっている。
「ルシルったら、『もう大丈夫だ』とか適当なこと言って! ファランだって、高熱出して寝込んでる息子ほっぽって、そんなに騎士の仕事が大事かしら! こんな、ケロちゃん、を・・・・・」
愛称なのだろうか。名前をつぶやいたことで、改めてケロックをまじまじと見つめたルナリア。
無理もない。目の前で元気そう(?)に鼻血を吹く彼は、さっき息を引き取ったはずの我が子なのだ。
彼女の顔から一気に血の気が引き、喉の奥から何かがこみ上げてきて・・・・・。
「うっ、ひぐっ、うわぁぁあああああんんケロちゃぁあああああああああああ」
息子の冷えきった体を抱きしめて、ルナリアは子供のように泣きじゃくるのだった。
結局、彼女を追って部屋に入ったルシルが止めようとするも、ルナリアはケロックをデレデレした顔で決して離さなかった。
ルシルはあきれて途中で帰ってしまい、ケロックもうんざりしていた。
ケロックの妹らしき女の子は、何かに怯えるように、彼のことを遠巻きに見ているだけだった。
状況が変わったのは、それから2時間後のことだ。
「今帰ったぞ! 無事かケロック!!!!!!」
さすがに血まみれの鎧騎士が玄関から乱入してきた時、ケロックはめんどくささで死にたくなった。もう死んでるけど。




