第十節 女の子はエレガントに
いや、ここ、次のパートと本来は合体した1節分なんですが
連続すると長いのと、次の節の挿絵を作るツールが
ここの挿絵を作ってるツールと違うんで、キリがいいので分割で
『ま゛っ!?ちょ何あれ!?』
クライドは概念艦長席に展開されていた
スクリーンウィンドウの様なモノ
そこに映っていたプリメーラの勇姿を見て、発声が難しい奇声を上げた。
ちなみに、スクリーンに何故プリメーラの勇姿が映っているのかは
プリメーラを追うために小型の極亜光速観測衛星が出されていたのと
それらが深々度重力波通信で映像を船に伝送していた為である。
『何あれ…と言われましても…貴方の嫁の勇姿ですが…』
そんな予想された艦長の反応を楽しみながら
煽るように言葉を添えるシード。
『光の速度で移動して、光の物凄く長い刃で斬ったよ!?
無人航宙艇を!』
物凄い勢いと形相で、
プリメーラがあっさりと実行した行為を反芻して、叫ぶクライド。
『だって、全ての電磁気を支配できる光子の姫君ですよ?
光の速度で動いて、物を壊せる光子密度の刃作って
それで斬るとか、出来て当たり前じゃないですか…』
そんなクライドの絶叫に、この銀河で全く当たり前ではない話を
まるで当たり前の様に説明するシード。
そのシードの何時もの態度に、クライドは何時もの様に粟立った。
『いやいやいやっ!
こんな能力だって知らなかったわ!!
っていうか、何ぞあれ!!』
と、斬られた熱エネルギーで
無人航宙艇は直ぐ後に誘爆して爆発したのだが…
にも関わらず、その爆発の中から何事も無く出てきては
周囲を見回しているプリメーラ。
その様をスクリーン越しで見て、その”無敵っぷり”に、
両手をワナワナと震わせる。
自分も触れ合えない事で知ったプリメーラの不可干渉の性質。
その長所を、彼女は、今、宇宙の中で謳歌していたのであった。
『光子への互いの絶対不干渉、ゲージ…つまり尺度粒子
故の、いわゆる”無敵”です…
姫の物理状態での存在安否なんて、元々するほうがおかしいんですよ。
元々あの体は人類の外側の先兵達を殲滅するために
副産物的に生まれたのですから…』
と、シードはクライドがまだよく分からない事も含めて
溜息混じりにそう言った。
『人類の外側の先兵達を殲滅する為の体?
それはどういう意味だ?』
そんなシードの独り言に近いモノをクライドは聞き逃さなかった。
異常事態とは言え、ともかくスクリーンに映っているプリメーラの
まぁ、良くも悪くも元気な姿を見れば、驚きを止めようは無いが
心配の方はどうもしなくていいらしい。
だからこそ、少しだけの心の余裕が生まれて、
シードの気になる言葉に反応したのだった。
『まぁ姫様は今、13光秒向こうに居ますんで、
ここで、雑談混じりに話合いますと、
あの複素光子存在というのは
S級人類を倒すため、殲滅するために作ったのではないのです…
厳密には、S級人類も敵になれば抹殺する為に必要な能力ですが
それよりも、もっと厄介な奴等と全面決戦になった時に
絶対不可侵性が必要だったから、あの体を作った…という所ですか…』
クライドがシードの独り言を聞き逃さず、質問をしてきた事に
やや思考空間で肩を上げて、シードはプリメーラの存在が
那辺を目的に生み出されたのかを、ボツボツと語ってみた。
『S級人類よりも、もっと厄介な存在?
人類の外側ってのは、そんなに凄い能力者なのか?』
クライドはシードが語る言葉の曖昧さに首を捻り
1500年の雌伏を以てまで、時間切れの勝利を目指そうとした相手
人類の外側という本当の敵に俄然興味が沸いた。
いや、この15日の間、思考停止をしては嫁と遊んでばかりだったわけで
何故そんな重要な事をこの時になるまで聞かなかったのか?
その迂闊さを呪うべき所だった。
『いや、人類の外側ってのは、
寿命の限界が無くなった
不老不死者の集団の事ですからね…
彼等自身は、B級人類からS級人類まで、
幅広い人類形態で存在している方々なんで、
戦力的な強さと見れば、対した事はないんですが…』
とシードが言いかけた時に、
クライドはその概念空間の艦長席を物凄い勢いで立ち上がる。
『はぁ!?人類の外側ってのは
寿命限界が無くなった不老不死者の集団!?
馬鹿な!! 不老不死など存在しない!!
何故なら、処刑人が不老不死者を殺しに来るから!!
それを突破する為の体が、陛下の為の、複素光子存在だって
そう陛下自身が!!』
シードの言葉に反応して、
クライドは陛下の方の赤メーラから聞かされていた話を叫ぶ。
『うーん、まぁ、あの時は、私が人類の外側と
全面戦争する様な流れになるとは思ってませんでしたからね…
だから陛下も、少しだけ曖昧に話したんですよ…
本当の事情という奴は、言わなくても良いだろう的に…ね…
しかし、今は事情が変わってしまいました…
私は目覚めてしまった…
だから、前に少し言った様に、
最早、人類の外側との全面戦争は不可避になりました。
なので、ボツボツとではありますが、
本当の事も、これからゆっくりと話さなければなりません。
ただ、そう…、まず今、話してしまえる事を語りましょうか…
艦長の仰る通り、確かに、不老不死者は、
この銀河で、存在する事を許されていません…
処刑人が、
技術的に体をそう改造しようとする者を殺しに来ますからね…
だから、不老不死者という者は表向きは存在しません…』
『ん!?表向きは存在しない!?』
そこでシードが淡々とではあるが、凄みのある言葉を使ったので
その言葉にクライドの顔は強ばった。
『いや、むしろ不思議に思いませんか?
MBCで分子原子構造が任意に構築できる、この現代で…
B級人類の肉体を、若い肉体に”造り替える事”さえ
出来ないなんて…』
『!?
…確かに、そう言われてみれば…
宇宙戦艦から食料品まで作れる装置があって…
体を再構築できないってのは…』
『…でしょう?
いや、理論的にも実行的にも、それは出来るんですよ…実はね…
じゃなければ、任意の有機物的な食物構造物を作るとか
分子原子再構築が出来ているという現実の方が相反しますから…
肉体のMBCによる再構築…
それが不老不死化の行為という奴なんです…
出来るんですよ…DNA情報の構造データーの読み取りと
それに対する原子分子の配列情報さえ分かれば…
ただ、にもかかわらず、それが現実に実現できないのは…
処刑人が、寿命を越えた者達を監視して
寿命の破壊をした場合においてのみ、寿命超越者を抹殺してるから…
それだけの事です…』
とシードは淡々と、クライドの背筋が凍る事を語る。
『不老不死は技術的には出来て…
それでも、それを処刑人が監視していて
それを実行した者を抹殺している!?
そ、それは…都市伝説的だが…
現実に起こっている事でもあるな…
不老不死の実験をした者達は、皆、殺されている…
たまにそういうニュースを見るしな…
でも、だったら、人類の外側も不老不死者なら
処刑人が抹殺しに来るって事に…』
とクライドが自分でその矛盾を口にした時に、
意識的にも無意識的にも、そこにどういう関係があるのか
不意に分かってしまった。
それを思いついて、思わず「あっ」と声を上げる。
『だって、人類の外側の不老不死を独占しているあの老人達が、
処刑人を操って
この銀河で、不老不死を実現しようとしている者達を抹殺してるんですよ?
処刑人の支配者階級が、何で部下に殺されるんですか?』
そこでシードは嫌らしく、クライドが話の流れで気付いた事の思考内容を
全て言葉にして、人類の外側という存在の概要を語ったのだった。
『処刑人が人類の外側の部下っ!?
じゃぁ、この銀河は、不老不死を独占している人類の外側と
その実行者である処刑人によって
不老不死を封印されているって事なのか!?』
そんなシードの言葉で、クライドはようやくこの銀河の歪な世界感を理解した。
逆に、何故、そんな簡単な発想を思いつかなかったのか?という事を呪う。
考えてみれば、処刑人等と言う、
荒唐無稽に思える存在が、現実に存在しているのなら
何故、そんなモノが存在しているのか?
という事を最初に疑問に思うべきだったのだ。
そして、それが存在しているのなら、それの上に存在している者が居る…
という事も考えて然るべき話であった。
『簡単に言えば、そういう事です…
人類の外側…
彼等がこの銀河に対して、不老不死になろうとする思想を封印しているのです。
そして、我々の本質的な敵は、人類の外側ですが…
彼等はそんなに多く居るわけではなく、人数としてはあまりにも小数存在…
ただし…彼等の持つ戦力は、銀河の全てに寿命を与える仕事をしている
特S級結晶行動体、処刑人の全個体…
あの姫様の、複素光子体存在という特別な体は…
銀河中全ての処刑人と戦って、
その全てを、やろうと思えば殲滅できるだけの
能力を得る為に作られた体なのです…』
『プリメーラの、複素光子体存在は…
処刑人を全て殲滅する為の体…』
シードに語られた言葉に蒼白になって、
クライドはスクリーンをボンヤリと見つめた。
容姿だけなら可愛らしい彼女…。
だが、その体は…不老不死で銀河を跋扈している者達と
それを守る為の従事者を討ち滅ぼすために作り出されたという。
それを知って彼女の可憐な姿と課せられた要求のギャップに
クライドは眩暈を覚えた。
それは何という過酷な運命なのだろう…。
いや、その過酷な運命を背負ったのは、今の緑の髪のプリメーラではなく
汎銀河帝国の皇帝である赤い髪のプリメーラの方ではあったが…。
と、そんな風に蒼白になっていたのだが、
次には別の事でクライドには眩暈が生まれたのだった。
プリメーラが何を思ったのか、
自分の手の平に大きな光球を作りだしていた。
そしてそれが、十分な大きさ、あるいは光子量になると判断するや
それを前に向けて、楽しそうに叫んだのであった。
『レーザービーム、発射-!』
とスクリーンに映っている光景に
何故か彼女の言葉も概念艦長席の中に鳴り響いて伝わるや
彼女が作りだした光球から、一直線のレーザーが
何故か光の軌跡さえ見えながら、発射されたのだった。
『ちょ!なんかあれ、俺の知ってるレーザーと違う!!』
プリメーラが自称で言ったレーザーの様な何か…
それも何故かレーザー軌跡が見えているそれをスクリーンで見て
クライドは反射的に絶叫した。
『ああ、味気ないんで、レーザー軌跡の周囲から
球面波の発光もさせて、こんな感じでレーザー出てますよって
空間操作してます…
まぁこの距離なら、うん、まだ出来る…まだ…
エネルギー的には視覚効果の為とはいえエネルギーの無駄使いですが…』
とか、そういう事を聞きたいんじゃない所をフォローするシード。
ともかく、プリメーラは何か良く分からない方法で光子を作り
それをレーザーにして、無人航宙艇に放ったのだった。
そして、そのレーザーの様な何かに貫かれる無人航宙艇。
多層膜装甲の鏡面部分が激しくレーザーに抵抗し、
それを反射させようと頑張っていたが、無駄な抵抗の様だった。
プリメーラのレーザーの圧力に押し切られ貫かれ
搭載している核ミサイルやら反物質ミサイルに誘爆し
無人航宙艇は、その場で激しく爆発する。
その光景をスクリーンが追跡して映していた。
『えーっと、今のはですね…
いくら鏡面構造でレーザーを反射しようが
反射率100%の鏡なんて、鏡面場でもない限り
作れるわけがないんで、レーザーパワー密度の高さに
吸収率の方がどんどん熱を溜めて鏡が熱融解して
結果的に鏡面装甲を壊して貫いた、と…』
等とシードはスクリーンに映った光景を解説する。
『いや、鏡を焼き切るレーザーパワー密度って何だよ!?
どんな大型レーザーと同じ様なレーザー撃ったんだよ!
俺の嫁は!!!
それも、なんか妙に簡単に宇宙から光子集めてさ!!』
クライドはシードのズレた解説に、
微妙にまたズレた所に反応して絶叫する。
最早、どこら辺を驚けばいいのか、それすら分からなく成っていた。
『700艇とか多いなぁ…
ええいっ!ホーミングレーザー!!』
そんな風にクライドが艦長席で絶叫している間にも、
プリメーラは認識できてしまう敵の数に渋い顔になり、
両手に同じ光球を作っては、けったいな言葉と共に
その2つの光球から10本のレーザーを発射させたのだった。
そしてそのレーザーは、『何故か』曲がっては
回避運動のランダム噴射に入っていた無人戦闘艇を追尾して
それらを完全に撃ち抜いたのであった。
そして僅かな時間の後、撃ち抜かれたそれらは誘爆で閃光を上げる。
その光景もスクリーンに映されて、クライドは口をポカンと開けた。
『レーザー曲がったぁぁぁぁ!!!』
曲がる事が無い直進性あるいは貫通性と
完全単波長である事がレーザーの特徴であるが、
(なのでプリメーラの使った光線は厳密にはレーザーではなく
広帯域波長高密度光子群超狭角ビームというべきモノだったのだが)
それが曲がって無人航宙艇を10艇撃ち抜いた光景を見て
いつもの様に絶叫するクライド。
『いやぁ、結構、あれ、面倒なんですけれど…
宇宙の空間誘電率と空間透磁率を分布関数として変動させて
誘電濃度揺らぎを作って光線を曲げるんですよー
連続屈折率変化を空間場に作ると言った方がいいですか…
いやいや、これってエネルギー食いなんで
あんまり、使って欲しくないんですけどねー』
とか、どうやってそれをしたのかを解説するシード。
クライドの混乱に対してシードも何か色々な所が完全にズレていた。
この用に、その場の3者は、
3者が3様にして意識がズレていたのだった。
『ぬぅ…思ったより面倒ね…これ…
あと700隻もこの周辺に居るし、
右に左に揺れながら動いてるし…
光の速度で接近して1つ1つ斬って…
って…うーーそれ面倒っ!!
何かこう、一発で全滅するような攻撃って無いのかなぁ…』
と、”彼女の感覚”で認識できている
敵の量の多さに頭を抱えるプリメーラ。
その悩んでいる様子と、何故か音声も含めて、
概念艦長席のスクリーンに映っていた。
そう彼女が頭を抱えて逡巡し、そして僅かな時間が経過すると、
ぱっと、何かを思いついた様に彼女は顔を上げたのだった。
そして満面の笑みと共に、言葉を発するプリメーラ。
『そう!
これを使えば全部薙ぎ払える気がする!
ええっと、きっとこうやって…』
と言いながら、彼女は右手を高らかに挙げ
その手に光を集める…様な雰囲気は一瞬だけで
その後、右手の輝きは反転し、
何よりも黒い漆黒の粒子が生まれ、
それを右手の全てに纏わせて始めたのだった。
そして先ほど使った光子刀の様に形作ろうとしていった。
プリメーラは右腕にどんどんと黒い粒子を纏わせ
それはやがて、黒刀の様なモノになる。
『えっ! 何してるんですか姫様っ!!
ちょっと!!姫様っ!! それは駄目ですっ!!
それは使っちゃ駄目っ!!』
その黒刀をプリメーラが生んだ瞬間、
余裕でクライドをからかって遊んでいたシードが
突然、大慌てになって、
本気の絶叫でプリメーラが作り上げた黒刀の使用に
静止を呼びかけたのだった。
『もう、これくらいでいいかな?
んじゃぁ…
ええい!裂宙ぅぅーーーー』
とプリメーラが言いかけて
その腕を勢いよく振り下ろそうとした、その時だった。
その瞬間、緑髪の彼女の姿は歪んでいき、
その後に赤い髪のプリメーラが入れ替わるように現れて
シードと同じ様に物凄い形相になって
振り下ろそうとした黒刀を左手を添えて
止めようとしたのだった。
『この馬鹿娘はっ!!
よりにもよって、何てモノを使おうとしてんですか!
それも、こんな未開拓文明レベルの無人機相手に!!
シード!!ペイオースのエネルギーも
私に回しなさいっ!!本体から遠すぎて
この場での、私だけでの中和は厳しいです!!』
と添えた左腕と纏っている黒刀の右腕に
何かの強い場の揺らめきを作りながら、赤メーラはそう叫んだ。
『もうやっていますがっ!
凄い勢いでペイオースのエネルギーが
無くなっていくんですが!!!
これ、ペイオース・フェルミオンですよ!!
何でこんな凄い船のエネルギーがこんな勢いでっ!!』
『馬鹿娘が”何となく出来るハズ”の本能無意識で
作ったモノが”モノ”過ぎだからですっ!!
アルフォーレシード付近での中和ならともかく
1000光秒近くのここでの中和なら
ペイオースのエネルギーが空になっても厳しいっ!』
『陛下、こうなってはコア開けてもいいですか!?
ここから空間操作をするには、高階エネルギーが足りません。
コアを開けて、エネルギー補充しないと
”それ”が僅かでも空間に漏る可能性があります!!』
『駄目です!!何言っているんですかシード!!
コアを開けるだけでも論外なのに、
貴方の本体は、今、何処に居るか分かってるんですか!!
そこでコアを開けたらどうなるかなんて、
貴方が一番分かって居るでしょう!』
『それは分かって居ますがっ!!
ああ、姫様、怖ぇぇ!!!
出来そうだからって、だから、やろうとしますかねっ!?
こんな危ない空間操作っ!!』
『あの子は、私の映し身だから、私の出来る事は
全部、あの子も出来るようにしようと思ったのは大失敗でした!!
あの子が使える力には、これからは制限が必要ですね!!
こんな恒星系の大部分が歪む様な攻撃、
見境無くされたら、たまったもんじゃないわ!!
ええっと…
時空裁断面の中和は…何とか見込みが付いてきました…
スムージング化にもう少しエネルギーを下さい、シード!』
『ちょっと…、ペイオースの保有エネルギーの9割が
これで無くなる感じなんですけれど…陛下…』
『やむを得ません…
ハァ…皇帝旗艦を保険に持ってきてて良かったわ…
ペイオース級のエネルギーが無かったら
アレが飛んでいるところでした…』
という様な、物凄い形相と絶叫の応酬による”何らかの作業”で
赤い髪の方のプリメーラは、緑髪のプリメーラが
作りだした右手に纏った黒刀を
シードとのやり取りで何とか全て消し去ったのだった。
そんな二人の物凄い形相での応酬を
ポカンとした表情で見守るだけのクライド。
二人が何をそんなに焦っていたのか全く分からなかったが
その様子から緑メーラが作った右手の黒刀は、
相当にヤヴァいモノだったのだけは唯一分かったのだった。
と同時に、二人が今の様に必死で”それ”を止める事無く
あの黒刀を緑メーラが振り切っていたら、
何が起きたのだろう?…と、妙な興味も当然沸いていた。
ともかく、そんな大変な様子で赤メーラが黒刀を押さえ込んでは、
元の光体に戻り、息を切らした様な様子を暫く続けた。
本質的には疲れはないのだろうが、
それは精神疲労の反射だったのだろう。
そして暫くして、ようやく落ち着きを取り戻した時
彼女はとても深い溜息を付いたのだった。
『まったく、あの子は力の使い方が分かってませんね…
おかげでペイオースの9割もエネルギーの損失なんて…』
と赤メーラはぼやく。
『流石に、これでは本体に帰還できませんので
牽引船を、こちらで、今、出しました…
クライド艦長には、一緒に出した亜光速移動艇で
先に帰ってもらいましょう…
牽引用工作艦を500隻程、出しましたんで、
ペイオースは、その場から時間をかけて引っ張って戻すしかないですね』
とシードは事後処置の内容を赤メーラに報告する。
『分かりました…
ペイオースの事はお願いシード…』
とシードの言葉に返事をする赤メーラ。
と同時に、瞳を薄っすらと開けては周囲を”感じ”て
自分の周囲を移動している無人航宙艇を確認すると
肩を上げて別の溜息をまた付く。
『それと、あの子がやり残した無人機の殲滅も
私がやっておきましょう…
アレをもう一度使われたら、たまったものじゃありませんし…
まぁ、どれだけ彼等が頑張っても700隻の無人航宙艇が
分散している半径は、せいぜい0.1光秒程度なんですから
電磁気場を支配出来る者なら、
こうエレガントにやればいいんですよ…』
と、彼女がそう言って、瞬きを1つした後
ほんの僅かの間があったのだが、その後に
その空間周囲に700以上の爆発が生じたのだった。
『え!?何!?何の爆発!?』
スクリーンに映った、彼女の周辺で起きた
突然の多数の爆発を見て絶叫するクライド。
『これは無人航宙艇の爆発です』
スクリーンを見ているクライドが、逆に彼女にも見えているのか
クライドに向かってニッコリと微笑みながらそう言う赤メーラ。
『ちょっと、
な、何でいきなり、全部が爆発したんですか!?』
その光景が赤メーラが何かをしたから
起きたモノだとは理解出来たが、
何をすれば周囲の700隻以上の無人航宙艇が
突然、全滅する爆発が起きるのか?
それが分からなくて、それを彼女に問うクライド。
『だって、この航宙艇って、自身の機体の中に
核ミサイルや反物質ミサイルとか抱えているんですよ?
なら、そのミサイルの制御回路に電磁気干渉して
自爆させれば、それで終わりじゃないですか…
私の力は周囲空間の電磁気を全て支配下に置く力…
半径1光秒の空間の電磁現象を操る等
私には造作もない事です…』
と、少し悪戯っぽい微笑みを浮かべてウィンクする赤メーラ。
その返事にクライドは絶句した。
『女の子はこの様に
エレガントに戦わなければならないのです…』
彼女は少しだけ舌を出して、そう緩く笑ったのだった。
いやまぁ、分かってくれる人だけ笑ってくれたら
「懐かしいなwww」って
そう言ってクスっとしてくれたら嬉しいですww
本来は次の節と連続しているパートなので
サブタイトルも凄くいい加減な方向性で。
でも、地味に重要な情報をここで出しているという…
5節で先に説明入る様な気もするんですがね…
どーなんだろう?
書いた後に、再整理するかもしれません。




