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星の大河 -漆黒が誘う白銀への道標-  作者: アレの様な何か
第2章:Imperial Codex  太古の掟と宙ノ僕
40/43

第八節 宣戦布告

いやー、3節ほどぶっ飛ばして書きますが

書きたいんだから仕方ない!

って、まだ戦う前の準備段階でしかない…

クライドにとっては、穏やかな時間が続いた…


…続いた?


ともあれ、クライドが住むアルフォーレシードは

恒星間跳躍の為のエネルギー補給をする為に

太陽近辺に張り付いて続けていたのだった。

アルフォーレシードの巨体から、

何日も前に発進させた大量の工作艦によって

小惑星やらなんやら、沢山の物質を恒星内から運んで来させては

スターゲートが、物質をγ線エネルギーに逆変換して

自分のリング内にエネルギー補給をするのとまったく同じ要領で

シードの船体である半リングを自身から分離し、

それを小惑星を中心に回転させる事によって

スターゲートの回転リングと同じ効果を作っては

小惑星の質量エネルギーを内蔵エネルギーに変えるという作業を

行っていたのであった。


シード曰く

『G2V系太陽放射のエネルギー程度では、

 私を跳躍させるエネルギー補給が年単位になるので

 急ぐ理由もあるので、物質エネルギーを吸収させて貰うのです』

だ、そうだ。


その物質エネルギーの吸収という

巨大な小天体運動を間近に見て、絶句するクライド。

スターゲートの様な、一種のオーバーテクノロジー建造物と

同じ事を自分自身で出来るという光景は、恐怖に近かった。


最初に知ったときからおかしな船だとは思っていたが

やる事為す事、クライドの常識の遙かに外の事ばかりで

「ああ、古代帝国の最高遺産って、こうなのかな…」

という、1つの思考停止にまで追い込まれた。


またクライドとプリメーラの生活居住区というか

生活用の「島」は、リングでの物質変換に使われるときは

回転の邪魔なので、分離されて、シードの本体近くに寄せられ

クライド達は、そこで生活を続けた。


一応、「艦長」に任命されたので…

1日に1回は、艦長席にも律儀に通ったのであるが…


『今は、起動の為のエネルギー補給と、

 1000年の時間の経過による錆落としのメンテ中なんで

 艦長が出来る仕事無いですよ…』


とシードに言われて、追い返される毎日だったのだ。


なので、嫁と遊ぶしかないクライド。

待望のMBCキッチンを作って貰い、食材レシピで試行錯誤し

食事を作っては、嫁が憑依して毎日二人で食事を食べ、

日課の肉体トレーニングをし(たまに嫁が興味を持って憑依してくるが)

定期的に、海に行って遊んだり、森や山で散策したり

また、肉体同化の訓練で、プリメーラの感覚訓練も続けた。

まぁ二人で入る風呂…ただし憑依状態ではともかく…

毎日、難しい気分になるのは、就寝時間であった。


メーラちゃん人形を枕に…

メーラちゃん抱き枕と、クライド君抱き枕を両手に抱え

嫁に憑依されて眠る。


そんな、端から見たら、異様な光景が続いた。


しかし、少しでも抗議しようとすれば

『私がこういう格好をしてクライドに纏わり付く方が

 私的には嬉しいんですが、でも、土下座で拒絶されるんですよね!

 なら、これで私は妥協するしかないじゃないですか!!』

と、前のように怒り出すので、この状況を受け入れるしかなかった。

こんな抱き枕に描かれている様な絵と同じ姿で抱きつかれても、

色々と悶絶するだけなので、クライド的にはやむを得ない措置だった。


そこら辺の、意識的な齟齬が何処かで折り合いが付くのは

陛下の方の赤メーラが、無意識の微調整をしてくれているらしく

何故、魅惑的な姿で纏わり付いては駄目なのかに関して、

幾らかの時間に緑のメーラが、ぷんすか怒って問責をした後には

『まぁ良いでしょう…ここら辺で妥協しましょう…』

で、憤りを納めてくれるのだった。



「この夫婦生活、思ってた以上に大変だー!!」



クライドはそんな奇妙な夫婦生活に、心の中で率直な感想を抱いていた。


それでも緑メーラの心が空くような笑顔や仕草に触れていると

クライドの心持ちは救われた。


何より、これから皇室典範の法典に従って

クリークス帝国に、惑星デコンダ母星への核攻撃への制裁として

赤メーラ自らが、

クリークス帝国国民を処刑しに行かなければならないのだ。

地球に行く目的とは、今は完全にズレてしまったが、やむを得ない。

行きがけの突発的な遭遇事件という奴である。

皇室典範の法典、あるいは色連邦帝国憲章でも同じらしいが、

重度の法典違反か憲章違反が、

核兵器及び殲滅兵器の母星への使用であるという。

それを行った者は、問答無用で制裁を行わなければならないのが

汎銀河帝国や色帝の帝国連邦議会の姿勢という話だ。

そして、これを速やかに実行しなければ、皇帝職務の怠慢と見なされ

法典から皇帝位の退位を要求される、とあっては、やらざる終えない。


自分が皇帝だったら、

こんな話を要求されたら眩暈を起こしている事だろう。


そんな眩暈のする様な仕事をどうしても「しなければならない」のなら

皇帝である赤メーラが、自分では無い自分の、緑メーラを見て見たかった

という気持ちは痛いほど分かってしまうのだった。

少なくとも制裁をする側の参加者になるクライドには、である。

だからクライドにとっても、緑メーラは癒しであり『心の嫁』であった。



そして1日に1回程度の艦長席に座っての「仕事の様な何か」をして

今、クライド達に求められている事を思い出して溜息もつく。

サファナム宙域の宇宙図を見るクライド。


挿絵(By みてみん)


今になってみれば、

クライド達がやってきたヘボな戦争も原因ではあるが

現在の燦々たる有様の宙域図を眺めて溜息をつく。


今は亡きハルト共和国とクリークス帝国が戦争を始め

開戦時にボルドバス星系で激しい消耗戦が起きた。

その長年の戦いの後にバルドバス星系が遂に陥落。

(のち)に、後方のハルネシオ星系で絶対防衛戦が起きて

クライドも戦艦に乗ってまで徹底抗戦をしたのだが…

その奮戦が災いして、戦争への不参加を決め込んでいた

アルザイル王国のギミンゾ星系をクリークス帝国が奇襲。

電撃戦でのスターゲートのみの占拠で、

ハルト共和国ハルトディア星系、

首都惑星デコンダにクリークス帝国は急激進駐し

宣告も無いまま、無差別核ミサイル攻撃でデコンダを強行陥落した。

ネルフィン連合が全面的協力を惜しんだせいで、

デコンダの防衛が手薄になった結果がこれであり

首都を失ったハルト共和国は、各地で抗戦意欲が途絶え

事実上の全面降伏と国家滅亡になったのだった。


そんな流れで宇宙図を見れば、このサファナム宙域の半分は

クリークス帝国の版図になっている。


これらを法典の定めに従って、クリークス帝国国民もろとも

全殲滅をしなければならないというのだ…

今のクリークス帝国の国民は全員で28億人程度のハズなので

28億人の抹殺をしなければならない…と…。


28億人の抹殺、等という背筋の凍る様な話ではあるが

法律に書いてある刑罰というのは基本原則であり

威嚇の為の非常に重い量刑を書き記す、という習わしらしいので

これから『情状酌量計算』なる、法廷での会議が開かれ

思考天体ナレッジ・フォレスト内にある『法務意識集合』なる

人間と複素結晶の真ん中の存在、

元々は人間であったけれども、思考天体のシステムに融合し

コンピューター的な意識になった0.75存在が

この案件に関して、フォレストの法廷で

適正な量刑を議論で最終的に決めるという…。


その沙汰を待つというのも、エネルギー補給の待機と同時に

イートリオ星系にシードが駐屯している理由であった。


少なくとも国民28億人の殲滅などというのは

どう考えても法務の報復としてはやり過ぎなので、

シード曰くは、「法廷の裁量で妥当な所で折り合いが付くだろう」

という事だった。


何よりシードが、

これだけ広がっている版図を殲滅するなどという、

面倒な事を物凄く嫌がっていた。

本来の目的が地球への進路を取る、であるのに

宙域制圧の為に、恒星間を跳躍しまくる等、本末転倒であった。

1跳躍するだけで、これだけの補給活動が必要な彼からしてみれば、

自身でそれをやろうとすると「年単位の仕事ではないか!」

という事らしく、1跳躍程度で決着が付く「最終的な妥当な制裁」を

望んでいたのだった。


そんなこんなで15日ほど、待機生活していた、ある日だった。

日課のように、緑メーラと一緒に

艦長席に艦長服を着ては座りに来たのだが…。


『艦長…今日から、仕事をしてもらわないと

 いけないかもしれません…』


とシードが突然言い出したのだった。


「仕事?

 仕事って何だ?」


シードが突然そう切り出して来たので、それを確認するクライド。


『これを見て下さい。

 私の探知系で、定期探知波を出していましたが

 ポストン星系に繋がるスターゲートに

 (くだん)のクリークス帝国艦隊が

 ゲートアウトした反応が探知されました』


挿絵(By みてみん)


シードはそう言って立体スクリーンに、イートリオ恒星系の宇宙図と、

自分達、及び、クリークス帝国の艦隊のマーカーを表示させた。


「…は?

 何で、クリークス帝国の艦隊が

 ゲートアウトしたのかなんて、そんな事、分かるの?」


そこでクライドは、あまりにもあっさりと

シードがクリークス帝国の艦隊が、

スターゲートからゲートアウトしてきた事を伝えた事に

口をポカンと開ける。

ここはクリークス帝国の領内なので、前線での緊張感とは別の話だが

何時、相手がゲートアウトしてくるか分からない状況で

何十日もスターゲート前で布陣して待ち構えるのが

クライド的な艦隊戦のセオリーであり、前線兵達は交替制度で

後方基地と前線を循環するというのが普通だった。


この恒星系という、だだっ広い宇宙の中で、

10~40天文単位軌道に普通は配置されるスターゲートに対して

一度でも相手の艦隊を見失えば、互いに電波探知でも光学探知でも

相手を再捕捉するのは至難なのである。


まして、ここは相手の領土内。


安心して2天文単位等という近場にスターゲートが置かれている

攻められる事は絶対に無いと慢心されまくっている場所だ。

スターゲートの付近には、クリークス帝国の艦隊駐屯ステーションもある。

そんな敵地のど真ん中で、それも恒星の直ぐ側に居るのに

2天文単位も向こうでゲートアウトした敵艦隊を捕捉した!?


クライドはシードが何を言っているのか理解できなかった。


『いやぁ…そこはそれ…

 色帝って地方豪族より技術が乖離している超帝国の…

 更に上の、汎銀河帝国の皇帝旗艦ですぞ…私は…

 色帝でも、これぐらいやれる探知機持ってるんですから

 私が出来ないわけがないじゃないですか…』


とシードはクライドの言葉に苦笑する。

しかしシードは正確な情報は伝えなかった。

次元(ディメンジョン)探針波(ソナー)を、打ちっぱなしにしている様な

エネルギー使いまくりの探知システムが運用できるのは

色帝でも要塞級ぐらいしかないという事を。

背に太陽を配置した機動要塞なら『太陽動力炉(サン・イーター)』で

エネルギーを捕獲しまくれて、エネルギー切れの心配も無く

幾らでも次元(ディメンジョン)探針波(ソナー)が打ちまくれるのだという

それは、色帝から見ても、かなりのインチキ技術を使っているという事は…。


「お、おそろしいんだな…色帝以上って…

 そりゃ、象と蟻の喧嘩って言われるわ…

 で、クリークス帝国の艦隊が来たって事で…どうするわけ?」


クライドはシードの解説に苦い顔になりながら、

これからの方針を尋ねる。


『まぁ普通に考えて、相手は迎撃に来てるんでしょうけれど…

 礼儀的な所で警告を通信して、

 出方を見ようかな…と考えていますが?』


クライドの質問にシードは淡々と答える。


「なるほどな…

 まぁ、前の様に無警告で抹殺されたら、たまらんしな…

 やる側のこっちも、あれは心臓に悪いよ…

 前回のは現行犯的な意味合いだったんだろうが…

 今は太陽の周りなんだし、ここに核攻撃されても

 問答無用で抹殺って話じゃないんだろ?」


とクライドはシードの言葉に法典的な考え方を尋ねる。


『そうですねぇ…

 何より太陽が自発的な核融合爆発してる放射性天体なんですし

 ここにちょっとの核爆弾投げたからって、反物質爆弾投げたからって

 質量的にそれでどうにかなる様なモンじゃないですしね…

 法典的には、太陽を壊せるモンなら壊してみやがれ!

 って所ですかね…』


「デスヨネー」


そんなシードの解説を聞いて妙に納得するクライド。

惑星と恒星では、天体としても根本的な大きさの規模が違うのだ。

人の扱える力でどうにかできるのは、精々、居住惑星レベル。

巨大ガス惑星級になると、どうにかする云々の話がナンセンスであり

それよりも更に巨大な恒星など、考える事そのものが論外であった。


『まぁともあれ…

 何らかの対応をしたいんで…許可を求めますが?』


とシードはしれっとそう言って来た。


「許可?許可なんか要るのか?」


シードの言葉に首を傾げるクライド。


『まぁ別に今回に関しては、艦長の許可があろうが無かろうが

 法務機関の命令の方が優先権があるんで、

 無許可でもやりますけれど…

 船って言うのは、本能的に艦長の指示で動きたいモノなんですよ!』


とクライドの言葉にシードは自分でも苦笑しながら

「船の矜持」なる不思議な言葉を語った。


「はー、意志を持った船って言うのは

 難儀な存在になるんだなぁ…

 まー、許可が無かろうが、法務権限の方が上で

 無理にでもするっていうんなら、気持ちの問題って事かね?

 いいよ、許可、許可、で…

 警告を与えて、どうにかなるほど、頭のいい奴等なら

 熱核兵器をバカスカと人の母星に撃たないだろうし

 警告を与えて引いてくれるなら、尚よしって所だし…」


そうクライドは、おざなりに警告への許可を与える。


『それじゃ、艦長の許可も得た事ですので

 クリークス帝国の艦隊の皆さんに警告通信を与えますね…』


「はいはい、どーぞ…」


と、適当に流したクライド。

そしてこれ以降、銀河全土を震撼させる警告通信が

その時、おもむろに始まったのだった。


『クリークス帝国なる政治体制の参加民全てに宣戦布告する。

 我々は華帝国特務部隊である。

 任務の秘匿性からα部隊と仮称する。

 現在、我々は華帝国皇帝特務の任務に従事中なるも

 クリークス帝国なる貴政治体制の執行に関して

 色連邦帝国共通憲章、重特記事項への抵触を確認した。

 それは、ハルト共和国なる政治体制を絶息せしめん為に

 ハルト共和国なる政治体制の首都母星デコンダに対して

 熱核兵器を使用し

 3億人の非戦闘員たる市民を無差別殺戮した事案である。

 これらの事実の現地確認、映像確認、

 更には被害者国民からの告発を受理しており、

 調査の結果、事実であると確認した。

 また、別件であるが貴国の工作により、

 華帝国皇族皇太子への暗殺未遂も起き

 華帝国皇族に対する重篤な敵対行為を直接確認している。

 これらの敵対行為と罪科は、原則として、連邦憲章に従えば

 国家政体の武力解体と帰属国民の殲滅浄化と規定されている。

 最終量刑は現在、法務機関により裁定中であるが、

 量刑が決定しない期間においての敵対行為は、即時殲滅が原則である。

 貴国がこれ以上の攻撃行動を態度として示すのなら

 裁定期間中の特例により、無条件抹殺とする事を、ここに警告する

 留意されたし』


シードはそう特殊な通信システムを使い、2天文単位向こうの

スターゲートからゲートアウトしてきた迎撃艦隊に

警告通信を送ったのであった。


「…は?」


そのシードが淡々と行った警告と宣戦布告を聞いて、

ポカンと口を開けるクライド。


「ちょ!お前、何言ってるの!?

 っていうか、華帝国特務部隊って何!?

 宣戦布告!?

 ちょ! どっから突っ込んで良いのかだけど!!

 というか色連邦帝国を騙るって、駄目だろ!?おい!!」


クライドは、何処をどう突っ込んでいいのか

いや、全てが全てツッコミ所しかないシードの自称警告に

両手を振って慌てる。

一緒に居たプリメーラも、意味が分からず眉をひそめていた。


『だって、汎銀河帝国皇帝旗艦なんて普通に言って

 それが、何にも知らない銀河市民に知れ渡ったら、

 1000年前の革命戦争と同じノリで銀河大戦勃発しますよ?

 まぁ、やってもいいですけど…

 我々が汎銀河帝国の正統後継者だなんて言ったら、

 本気でこっちは100億人は軽く死ぬ様な

 措置を取らないといけなくなるんですから

 そこら辺は、融通効かせる所でしょう?』


と、クライドが大慌てでシードに抗議していた所に

シードは冷静な言葉で、上手い事を言った事に解説を入れる。


「いや、そりゃ、汎銀河帝国皇帝旗艦とか言ったら

 それだけで銀河大戦争起きるけど!!

 それはそうですけれど!!

 だからって、勝手に華帝国の名前騙るのは駄目だろ!?

 これじゃ、華帝国にバレたら、華帝国と戦争になるじゃん!!」


シードの言葉にある程度の納得をしたものの

しかし、立場を騙って恫喝するのは、そことの戦争になる話である。

それも超帝国とかいう、象の方にである。


『何で騙りなんですか?

 拡大解釈ですけど、嘘は言ってないんですが…』


そんなクライドの言葉に、そう返すシード。


「いやいや嘘じゃん!華帝国特務部隊って大嘘じゃん!!」


シードの言葉に両腕を上げ下げしながら抗議するクライド。


『いや、嘘じゃないですよ…

 プリメーラ様は…

 ……あーーえーっと、プリメーラ様のお母様の血筋は

 華帝国皇帝陛下から、白色皇帝に推挙されたので

 白色皇帝は、汎銀河帝国皇帝であり、

 尚且つ、華帝国皇帝でもあるのです。

 また、白色皇帝を排出した色帝は、

 白色皇帝を守る守護帝国に就任する決まりがあります。

 この制度により、白色皇帝が必要と判断した場合には

 元々の皇帝国であった守護帝国の皇帝の名前を使って良い、

 という事後承諾がありますので

 我々は、華帝国特務部隊と名乗っても、問題ありません。

 汎銀河帝国皇帝の勅命は、

 守護帝国は有り難く拝命しないといかんのです…』


そうシードは、今まで秘密にしていた事を、そこで語った。


「はぁ!?プリメーラの血筋は、華帝国の皇族!?」


クライドは初めて聞くプリメーラの…

この時は流石に陛下の方の赤メーラだとは気付いたが

ともあれ、彼女が華帝国皇帝だという事を知って愕然と成った。


『ええ、そうですよ…

 言ったじゃないですか…

 汎銀河帝国皇帝は、六色皇帝からの推挙方式だって…

 だから1000年前に、汎銀河帝国皇帝に推挙されたのは

 その当時の華帝国の皇帝だったんですよ…』


「えええええ!!!!!!」


『いやまぁ…本当は…正式な推挙で皇帝になったのは

 海帝国の皇帝で…、汎銀河帝国の皇帝となった後に

 華帝国の姫との間に子をもうけた、その子が当時の華帝国皇帝になり、

 戦争のドサクサに紛れて、特例で白色皇帝を継いだんですけどね…

 それがいわゆる暴君に認定されている末代皇帝って奴で

 プリメーラ”姫”様の祖先にあたる方なんですが…』


「はぁぁぁぁ!?」


『だから、プリメーラ様は、華帝国皇帝の直系子孫なので

 全然、騙りじゃないし、その夫であるクライド艦長が

 DNAウィルス爆弾で死にかけたんで、

 皇太子暗殺未遂ってのも、話が前後しますけど、嘘じゃないですから…

 ちょっと拡大解釈なだけで…

 ギリギリ、グレーの本当の事言ってますから…』


と、クライドが、のほほんと15日プリメーラと遊んでいた間

聞けば知る事の出来た重要な情報を、

この様な緊急の場で知る事になったのだった。


『知らなかった…私、華帝国皇帝の子孫だったんだ…』


と、当の本人も、そんは感じでショックを受けていたが…。


「いや、でも、そんなの1000年前の話だろ!?

 今の華帝国は、そんな話、知らないんじゃないのかよ!?

 だったら、こっちが幾ら言っても、やっぱり騙りになるだろ!?」


そう、1000年前の話と、今の話は違う事を問うクライド。


『ああ、華帝国、この話知ってるんですよ…

 ま、一番上の華帝国皇帝の周辺だけの話ですけど…

 っていうか、華帝国が200年前に

 サファナム宙域から戦力撤退したのも、

 華帝国が白帝がこの宙域に潜伏してるのに気付いたからですからねぇ…

 なので、華帝国の今の本家筋になってる元々の分家からは

 200年間、私達、遠くから監視されてたんですよ…

 今でも、監視衛星が遠くから、私達を監視してますし…』


「はぁぁぁぁ!?」


『まぁクライド艦長やハルト共和国の犠牲になった方々には

 申し訳ないんですけれど…

 サファナム宙域がこんなに荒れたのって、

 全部、分家の華帝国と本家の白帝の両家での気遣いを

 この宙域でしてしまったから、逆に荒れ放題になったんで…

 元々の華帝国守護領であったここを、再整地するなら

 本家の白帝の華帝国皇族か、分家の華帝国皇族か

 どっちかが、事実確認出来次第、しないといけないんですよねぇ。

 現華帝国皇帝のプレティナ・ミルシェーナ華帝国皇帝が

 サファナムのこの現状を放置していると銀河中に知られると

 分家の華帝国皇家の面子が悪くなるんで

 本家の華帝国皇家が、事案を始末しないといけないかなー的な…

 ま、分家に華を持たせてもいいんですけど

 原因が、元々は我々にあるので、なら本家の方がするべきかなーと』


「えええええ………」


次から次へと知らされる驚愕の事実に心が折れそうになるクライド。

思わず、己の頭を抱える。


そういえば、そうだった。

この問題は元々、200年前に「何故か」華帝国が

サファナムから戦力を撤収した事に全ての原因があったのだった。


それは何故だったのか?


その理由を考えてみて…、

華帝国にとって銀河支配が興味など無くなる事を知ってしまったら?

というよりも、汎銀河帝国皇帝が、華帝国出身だと

華帝国がずっと知っていたとしたら?


それならば、全ての辻褄がピタリと合ってしまう。


それにクライドは頭を抱えたのであった。


「つまり、華帝国のある一種の御家騒動に巻き込まれて

 サファナムはこんな動乱になったって事か…」


という事分かり、眩暈を覚えるクライド。

となると、考えようによっては自分の妹は、

華帝国に遠回しに殺された事にもなる。


まぁそこまで言い出したら、キリが無い話にもなるし

人類の外側(エクスターナル)との戦いでそうだったのだからと

本当の争乱の理由を聞いているので、

どうしようもない相手と戦っていたのなら、

やむを得ない犠牲なのかもしれない、とも思えたのだが…。


『ま、そんなわけで、

 原因を作った本家としては、勝手に育った雑草は

 自分達で刈り取らないと駄目かなって事で

 こうしたわけですよ…

 ああ、ちなみに、確かに華帝国の帝国会議は

 特務部隊なんて寝耳に水でしょうけれど

 その話を、一先ず棚上げにしたとしても、

 地方豪族星系国家間の争いで、母星への核兵器攻撃と

 住民の無差別虐殺が行われた…なんて…

 これだけの事実状況を帝国議会に報告したら、

 私が言上した内容と同じ言葉で、彼等も制裁に進駐してくるので

 関係認知の齟齬が取れていない以外は、

 同じ事を華帝国が警告して、宣戦布告になりますね。

 何処の色帝でも、この事実を確認して宙域進駐したら

 同じ事をし始めるんで、全体的には嘘は言ってません。

 色帝的な常識的行動してます』


と、シードはフォローする。


「でも、結局、宣戦布告はしたんだろ!?」


そこでクライドは、一番の問題を指摘した。


『まぁ帝国法典では、

 何処の色帝も、それしないといけませんからねぇ…

 言った様に白帝ですら、従わないと退位を要求されるんで

 色帝もしないと退位要求される法律ですから…

 なら、その中央である、汎銀河帝国の皇帝本家は

 模範として、しないと…』


事の大きさに目を回しているクライドに

シードは淡々と、色連邦帝国的常識を口にする。


そして、そんな会話をした間の、およそ1000秒後。


『馬鹿め!華帝国を騙れば我々が臆すると思ったか!

 何処の馬鹿が、200年以上も惑星の中に封印されていた

 謎の物体を、華帝国の所有物と考えるのだ!?

 恫喝するにしても、もっとマシな嘘を考えろ!

 我々は軍隊。宣戦布告なら上等だ!戦ってやる!』


という憤った返信が、電波通信で帰ってきたのだった。


『まぁ、普通は、そう考えるでしょうけれど…

 もう仕方在りませんね…

 これは戦争するしか無いですね…』


と、シードは淡々と返事を見て語る。

その言葉にクライドは頭を更に抱えるしかなかった。


「どうしてこうなった!?」


艦長席で頭を抱えて下を向いて呻くクライドだった。





挿絵(By みてみん)


『ふむ…敵の艦艇は、グレンドア級航宙母艦を主力に…』


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


『サルメール級哨戒駆逐艦…

 ボドルノ級補給輸送艦で…

 戦闘の主力は、母艦に艦載しているデービッツ無人航宙艇ですか…

 無人機を使った宙母艦隊ですねぇ…』


挿絵(By みてみん)


とシードはスクリーンにクリークス艦隊の資料を表示する。


「ちょっと待て…

 何でお前が、クリークス帝国の敵艦艇の事知ってるんだよ…

 っていうか宙母艦隊かよ…滅茶苦茶面倒な艦隊が来てるじゃん…」


その表示されている資料を見て、色々な意味で絶句するクライド。

しかし、一番気になったのは、良く知ったる敵艦隊の事を

シードが何故か資料レベルで知っている事だった。


『いやー、法務執行の裁定をする為にクリークス帝国の本土

 ジキスガルン星系に密偵を送ってる最中でしてねぇ…

 その道すがら、リャナクア星系に寄ってる時に

 クリークス帝国の現地基地にハッキングをかけて

 軍事情報を吸い出して、こっちに送らせているんですよ…

 だから、敵の能力は、もう結構わかってますよ…』


「おい、密偵って何だ!?

 何でそんな所に、密偵なんか出せるんだ!?」


シードが淡々と、相変わらずのトンデモを口にするので

その理由を唖然として尋ねるクライド。


『ああ、我々、汎銀河帝国の中枢、ナレッジ・フォレストは

 1000光年級を跳躍する最高位のスターゲート

 帝国街道(インペリアルゲート)を未だに支配下に置いてますんで

 トリシアン星系にある帝国街道(インペリアルゲート)から

 無人密偵艦隊出して、ジキスガルン星系に向かわせてるんですよ。

 帝国街道(インペリアルゲート)には、HDSTE能力もあるって

 今の人は色帝の人ですら誰も知らないんで、

 色帝だろうが、どこだろうが、スパイなんてし放題ですよ…。

 しっかし、一番小さいスターゲートを壊せば

 色帝も直ぐには恒星間跳躍できないとか思い込んでいるんですよね…

 クリークス帝国の人達って…

 リャナクア星系とトリシアン星系の恒星間1星系跳躍用のスターゲートを

 200年前くらいに壊してますから、これで当面は安心だーって

 よく分からない慢心してて…

 笑止な…

 帝国街道(インペリアルゲート)は、天体級のスターゲートなんだから

 HDSTEぐらい内蔵してるってのにねぇ…

 それに、華帝国だって、トリシアン星系に華帝国のHDSTEを

 常時置いているんだから、小型艇ならいつでも送り込めますしねぇ…

 まったく地方豪族ってのはこれだから…』


と、そこでシードは色帝を含む銀河全土が聞けば、

その人民の全てが凍り付く様な事を、

特に意気を込めたわけでもなく淡々と語った。


「は?あの噂の帝国街道(インペリアルゲート)

 未だにお前等が支配下に置いている?」


それを聞いてクライドはクライドの分かるレベルで

その言葉の異様さと、おかしさに食いつく。


『ええ…

 帝国街道(インペリアルゲート)が中立ゲートなのは

 あれだけが、未だに汎銀河帝国の所有物で、

 臣下達に自由に使わせてやってる為ですから…

 もし、本当に汎銀河帝国を再興しようとか考えたら

 色帝と艦隊戦で雌雄を決するとか、面倒な事せずに

 帝国街道(インペリアルゲート)を使用不能にして道路封鎖すれば、

 それで終わりですからね…

 重要道路が寸断されて、色帝の連邦体制が崩壊するんで

 それで、色帝は無条件降伏してくるしかないでしょうねぇ…』


と、更にシードは銀河全土が凍り付く事を口にする。

それこそが、六色帝国が最も恐れ、銀河中枢にあると予想している

始祖の思考天体を奪取せんが為に、

互いに六色帝国戦争を行っている最大の理由であった。


銀河中枢の思考天体を抑えれば、完全中立で動く帝国街道(インペリアルゲート)

通行支配権が得れるのではないか?という予想と恐れ…


そしてその予想は、その通りだった。


「ぽぉわぁぁぁ!?」


クライドはシードの語った内容の自分で理解できる範囲において

しかし、たったそれだけの事で、確かに汎銀河帝国が

銀河の支配を取り戻せるだろう事が理解でき、奇声を上げる。


『まぁ、でもこれやったら、軽く400億人ほど

 道路封鎖の影響で、なんやかんやで死ぬでしょうから…

 やれても、やれないんですけどね…』


と、そこでシードは1000年前にも検討して

最初に出たアイデアで、出た瞬間に否決された理由を淡々と口にする。

一番、銀河市民全員に語れない、1000年前の戦いの本当の理由、

汎銀河帝国皇帝と人類の外側(エクスターナル)との抗争。

それを秘密にしなければ成らない都合の上では

道路閉鎖で400億人の臣民を殺してまで、

汎銀河連邦の支配体制を維持する理由が、当時は全く見つからなかった。

だから、偽装滅亡という手段を皇帝の方のプリメーラは選んだのだった。

しかし、実の所、最も重要なスターゲート

帝国街道(インペリアルゲート)の支配権を未だに持っている状態なので

汎銀河帝国は滅亡しているようで、そうでもない、という

微妙な立ち位置でもあった。


六色帝国の様な広大な空間を連邦体制で支配している組織には

重要宙域間の長距離航路が自分達の支配下に無いというのは

ほぼ致命傷に近い話であり、

だからこそ、色連邦帝国議会の何も知らない議員達は

声高に銀河中央突破と白色帝国首都の奪取を最優先課題として議論し、

六色帝国戦争を行っているのだった。


「ぱぁぁにゃぁぁぁーーーー!!!!」


クライドは今日一番のトンデモ情報を耳にして

遂にはまともな奇声さえ上げれなくなった。





いやー、もうDoGAでの規制パーツでデザインは限界だなー

とか

後ろのピクシブでの後方支援基地で、デザインやってて

限界感の塊なんですけれど

メタセコイアで、フルモデルデザインすると

湯水の様に時間がかかるんで、

雑魚敵なんかにそこまで時間のリソース割けないんですよねぇ…


そのせいで、「残念なデザイン」にしかならないんですけれど…


ただ、それよりももっと、速度計算とか射程とか

考えれば考える程、色んな矛盾が、2天文単位の距離で出てくるんで

今は、その矛盾に対して「必要な装備は何やねん?」的な

デザインを盛り込んで、考察してるのもあり

宇宙艦隊戦をするとは何か? というのの考察込みでの

試行錯誤実験という面があるので、当分、混乱制作が続くと思われます。



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