第二十九節 大地母神の誘い
うーん、こっちも大地母神なんだよなぁ…
カーチャンは偉いな…
念話空間に引き籠もりプリメーラは泣きはらしていた。
『どうして私なの!?
どうして私の方が求めてしまうの!?』
プリメーラは自分の瞳を両手で塞いで溢れる涙を堰き止めようとする。
『レアル様の夢なんか、クライドさんが見なければ!!
そうよ!あんな…あんな夢を彼が見なければ…』
そう叫んで、プリメーラは嗚咽を漏らす。
『それは八つ当たりです…陛下…』
レアルという大事な思い出に泥を投げられたような気持ちになり
流石に言い過ぎな言葉だと思えてそれを諫めるフォレスト。
『分かっていますっ!!
あの夢を見た事は、私があの子の記憶に残らないように遮断した!
だからクライドさんには何の関係もない事は!!
あの子は…この世界を…地球と同じ世界を感じた事で
自発的に、地球を求めてしまった!!
そんな事は…分かっているんです!!!』
フォレストの諫言を受け止めながら、それでも憤るプリメーラ。
クライドが言い出すのなら、まだ分からなくもなかった。
地球人になった彼なら、そう言い出すのは何の不思議もない。
だが、よりにもよって、自分の分身の方が、
先に濃密な地球人に変わってしまうなど…
その現実に、プリメーラは震えるしかなかった。
『姫は何も知りません…
何も知らないから、簡単に地球に行きたいと言われただけです!!
陛下の御心ではありません!』
そのプリメーラの言葉に諫めの言葉を贈るフォレスト。
だが、フォレストもアストラストも、プリメーラが泣きはらしている事
何より『地球に行く』等と言う頓狂なアイデアが出てきた事に
驚愕するしかなかった。
自分達の演算の中に、何一つ存在していなかった方法論。
そんな行動など予想する価値も無いと、最初から切り捨てていた話。
それを姫が望まれた事に心の底から焦る。
自分達の無意識的な演算装置が、そんな事を行った場合に
何が起きるのかを予想し続ける。
だが、計算する前から分かって居る事。それは人類の外側との全面衝突。
それだけは、絶対に回避する事が出来ない話だった。
『そう…あの子は何も知らない…
今の地球のあの姿を見れば、誰もが廃惑星だと思う…
もう価値の無い惑星だと思う…
そうとしか、思えない…
でも、あんな姿になってなお、
まだあの惑星には秘められた力がある事を、あの子は何も知らない…
それを知っている私達だからこそ、そんな事を発想をする事が出来ない…
それは分かっては居るのです!!』
言ってプリメーラは自分の体を強く抱きしめた。
『陛下…』
プリメーラの言葉に項垂れるフォレストとアストラスト。
誰もが何の価値も無いと思っている今の地球。
だが、真実を知っている彼等にとってはそうではなかった。
『でもあの子は何も知らなかったからこそ、そう思えたのではなくって?
私は皇帝位に戴冠して、その時に地球を知ってしまった…
だから、地球という聖域に
近付いては成らない事を最初から知ってしまった。
最初から知ってしまったから、
地球に行ってはならないのだと思い込んでいた!!
なのに、あの子は!!』
言って念話空間の中の床的な概念場を手で叩きつけるプリメーラ。
『何も知らない状態で、地球を見たからこそ…
あの子は地球を求めた…
ただ、あの地球の状態が我慢ならない気持ちを吐き出せた!!』
その事実を口にしてプリメーラの瞳が震える。
『きっと、あの子は私の本心ですっ!!
1000年前に、知識よりも先に、ただあの地球を見て思った感情…
私の中に1000年燻っていた感情…
それがあの子の言葉!!』
プリメーラはその念話空間の中で泣き続けて喘いだ。
そして自分の中の本音に出会う。
『私は…地球に…出会いたい…』
プリメーラは緑髪の自分の言葉を受けて
1000年前に抱いた気持ち、そして1000年経った今
本当に心から溢れている気持ちに対峙して、そう叫んだ。
『陛下…』
そんなプリメーラの本心を聞いて愕然とするフォレストとアストラスト。
互いに、ナレッジ・フォレストであったが故に、
地球に出会いたいという言葉に、より強い衝撃を受ける。
その言葉は思考天体の二人が、過去に何度も思いを巡らせた
過去の大切な記憶であったからこそ、何よりも強く作用する言葉だった。
自分の体の中にある過去の残骸が、その言葉に共鳴していく。
『分かって居ます!
それが愚かな願望だと言う事は!!
それを望めば、人類の外側とは全面戦争だという事は!
分かってはいるのです!!
でもっ!!』
プリメーラは自分の我が儘な物言いに、
それでも魂の底から沸き上がる渇望に抗えず絶叫を上げる。
『今の私は、月に眠るガイアに会いたい!!
地球に行って…月のガイアに会いたいの!!
私は、ガイアに出会いたい!!』
そこでプリメーラは床を何度も何度も叩いてそう叫んだ。
『陛下!!違います!!
ガイアは死にました!!ガイアはもう居ません!!
あそこにあるのは残響装置!!
ガイアの情報をかき集めて、確率論でガイアならばこう言うだろう…
と、思い込む為の残響装置なのです!!
ガイアは、命の尊厳を護る為に死にました!!
レアル様も、その意志をくみ取って死んだのです!!
残響装置に幻影を見て、どうしようというのですか!!』
フォレストはプリメーラの衝撃的な言葉に焦り、彼女を強く諫める。
『陛下!我が友の決意を軽んじないで下さい!!
本当のガイアは貴方の側にある!!
『ガイアの魂』
それこそが、我が友が本当に未来に託した意志!!
残響装置などに縋って、どうしようというのですか!!』
アストラストも、その時、声を荒げて彼女を窘めた。
ガイアが月で息を引き取るのを看取ったアストラストだからこそ
彼女の尊厳をアストラストは守りたかった。
『そう!!あれは残響装置!!
月にあるガイアは、残響装置!!
そんな事は分かってはいるのです!!
まやかしなのだと言う事は!
でも!! それでも!!
残響装置だって良い!!
私はガイアの声が聞きたい!!
ガイアの声が私は聞きたい!!
あの残響装置なら…
今の私達のこの姿に何を言ってくれますかっ!?
こんなどうしようもない宇宙になってしまった未来を!
ガイアは何と言ってくれますか!?
こんな未来になる事を願って、
ガイアエクソダスプロジェクトをガイアは決行したのですか!
私は…それを、ガイアに…聞いてみたいのです!!』
プリメーラはそう絶叫して、床に涙で伏すしかないのであった。
そのプリメーラの言葉に呆然と成る2つの思考天体。
言われればそう。
死滅寸前だったあの時の人類が、生命の法を破ってまで
生存を求めたガイアエクソダスプロジェクト。
それが6000年の時を経た後のこの現代、
クラーリンに何時、銀河を食い尽くされるか分からない
終わってしまっているこの現実を見て
ガイアはそれに何というのか…
プリメーラではなくとも、
その2人もガイアの言葉を聞いてみたかった。
出来る事ならば、残響装置ではなく、本人の口から…。
そんなプリメーラの言葉に、
それ以上何も言えなくなる思考天体。
宇宙は今、運命のサイコロが振られれば
その出目で胎動するかもしれない、瀬戸際にあった。
「やれるだけのきっかけがあるのなら…
本当は陛下も、人類の外側と戦いたいって事か…」
残されたクライドは、家に帰ってベッドに寝転んで
プリメーラの涙と言葉を考え続けて、そう結論した。
いや、まぁ、自分でさえ、そんな危険な存在がいるなら
実力排除するしかない、と思うのだ。
それなら最高権力を持つ人間が、そう思わないのは逆に不自然だった。
何を逡巡する要素があるのか、それが分からないので苦しいが
それでも泣いてしまうほどに揺らぐ事だというのなら
そういうレベルでのリスクがあるという事は分かる。
その教えて貰えない何かに苛立つクライド。
陛下の方のプリメーラだったが、
それでも同じプリメーラを自分が泣かせた。
それは今のクライドにとって、苦しくなる思いだった。
「今日は、もう流石に、帰ってこないかな…」
そう言ってクライドは溜息を付く。
あんな調子で姿を消したのだ。
平然とした顔で、帰ってこれるわけがない。
「姫の方のプリメーラとも会えずに、今日は独り寝か…
なんだろな…たった数日の共同生活しかしてないのに
もう側に居ないと、なんか落ち着かないってのは…」
言ってクライドは、一人でベッドに寝ている自分が
妙に不安定な状態に感じれて不思議に思えた。
『惚れましたな…』
そんなクライドの言葉にシードは苦笑してそう言う。
シードの言葉を聞いてムッとするクライド。
「惚れちゃ悪いかね?
銀河帝国の姫君様だぞ?
容姿だけで自分の命を捧げたくなるような
そんなカリスマの持ち主に、惚れるなと言う方が無理じゃないか?
むしろそんな相手なら、惚れないと失礼だろ?」
シードの言葉にそう反論するクライド。
『まぁそうですけれど…
そういうカリスマを持つ姫ではなく…
姫の人柄に惚れた…という所かな…と…』
クライドの理屈に頷きながらも、
それよりも踏み込んだ所に好意がある事を指摘するシード。
「それは、否定はしないけどね…
ただ、それを真っ正面から叫ぶには
まだ、一緒に暮らした時間を増やしたい所だね…
俺は簡単に人に惚れれる、安っぽい浮気性の男なのかな?
…って、こんな時間だけで、これだけ好きになってりゃ
自分の方を先に疑ってしまうからな…」
言ってクライドは、心の中で引っかかっているそれに頭をかいた。
相応の時間がそこにあれば、違和感もないのだろうが
現実には出会って一週間程度の話…
それで、ここまで気になっていれば
自分が相当、軽い男なのだと考える方がしっくり来る。
それにクライドは腐った。
『そこら辺は、
もう少し馬鹿っぽくてもいいと思えますけどね…
熱血少年的な…好きだから走る!みたいな…』
そんなクライドの言葉にそう返して苦笑するシード。
一々、細かい事を考え続ける姿勢を見ると
人を思う事だけは、真剣な男だと呆れてしまう…。
シードの言葉を受けて、クライドは深い溜息を付いた。
「俺が、もう10や20も若ければ、
熱血少年みたいに、一目惚れで好きになった女の子の為なら
どんな無茶でも頑張るぜ!って思えたのかもしれんがな…
俺も、もう46歳だからな…
B級人類の平均寿命は120歳…
人生の40%を消化した、そこそこのいい大人って奴なら
流石に熱血少年の様には生きられんよ…」
シードの言葉にそう乾いた笑いを浮かべるクライド。
そう…、もうちょっと馬鹿っぽく、熱血少年が出来たなら
陛下の方のプリメーラが泣いていたあの時に
全面戦争してでも戦いましょうよ!とか言えたかもしれない。
熱血少年なら…。
だが、そんな熱血少年は…
現実の戦争に出てみれば役立たずで、
後方支援の基地のエネルギー管理業務と前線兵士の料理を作る事
無意味な訓練に明け暮れる事、仲間の戦死報告を聞いて項垂れる事
人が足りないから宇宙戦艦に乗せられてミサイルを撃つ事
それの恐怖に吐き続けた事
そんな現実だけが待ってる事を知って、挫けるだけなのだ。
ただの熱血に待っていたのは、そんなどうしようもない現実だった。
だからどうしても大人な思考になってしまうクライド。
熱くなる事は、人間なのだから間違いだとは思えないが…
ただ真っ直ぐなだけでは、現実の石ころに躓いてしまうだけだ。
そこに熟慮が入ってこそ、
生きてきた年季といえるのではなかろうか?
そう思うから、クライドには待つ時間が必要なのだと考えた。
自分の気持ちや、彼女の気持ちを整理をする時間が。
「あー、シード睡眠薬をくれ…
寝よう…寝るべきだ…
こういう時は…」
色々ゴチャゴチャと考えて
クライドはそういう結論に達した。
ともかく寝よう。
それで思考をスッキリさせたい。
そう思ったのだった。
そしてシードに睡眠薬を貰って、
クライドは眠りの中に融けていった。
また夢の中、クライドは夢に誘われる。
だがその日の夢ばかりは少し様子が違っていた。
クライドの目の前にあの人が居た。
レアル・ガイア。
遙かな太古に自分の母であると教えられた人。
彼女がクライドに向かって微笑んでいた。
そして彼女はクライドの方に近付いてくる。
「え、えっと…
あ、あの!?」
その日ばかりは、その夢が他人の記憶を見ていたのではなく
自分がそこにあるのだと分かるクライド。
そして彼女は、クライドの直ぐ側まで来て
そしてクライドを抱きしめた。
「!?」
突然の抱擁にただ混乱するクライド。
「ねぇクライドちゃん…
お母さんと、大切な事だけは…
約束して欲しいの…」
彼女はそう言って囁きかけた。
太祖の母に、そう語りかけられて硬直するクライド。
封じられていた記憶が、その時、同時に開放された。
(ねぇクライドちゃん…
お母さんと、大切な事だけは…
約束して欲しいの…)
彼女と同じ言葉を、こうやって抱きしめられて聞いた。
そう…
それは…クライドの実の母親から…
(クライドちゃんは、お兄ちゃんなんだから…
ミリネーナの事、ずっと守ってあげてね?
お母さんとの、約束よ?)
その時、彼女はそう言って哀しそうに笑っていた。
その時の記憶をクライドは思い出す。
(あ…)
封じられていた子供の頃の記憶が開放され
何故、自分がミリネを憎まずに、一生懸命守ったのか
それを思い出すクライド。
「思い出した?クライドちゃん…」
クライドを抱きしめていた女性、
レアル・ガイアはそう言って微笑む。
「俺は…俺は…
でも…その約束も…守れずに…」
彼女によって思い出さされた大切な記憶を前に
しかし、その約束を守れなかった事に涙ぐむクライド。
「そうね…
生きているのだものね…
思ったようにはいかないのが、生きている事だから…
しょうがないわよね…」
そう言って彼女はクライドの頭を優しく撫でる。
「御免なさい…母さん…
俺は…約束も守れずに…俺は…」
母レアルに優しくそう言われた事で、激しい自責の念に駆られ
自分が果たせなかった思いに涙するクライド。
「分かって居るわ…母さん…
クライドちゃんが…一生懸命頑張ったのは…
よく分かってるから…」
そう囁いて、クライドを抱きしめるレアル。
本当は知らない女性のハズだったのに、
正に自分の母に思えて、その抱擁にクライドは泣いた。
「母さん…俺は…
俺は何も出来ずに…何の役にも立てずにミリネを…
約束したのに…絶対に守ると誓ったのに…」
母の抱擁に心が砕かれて号泣を始めるクライド。
彼女の暖かさが、何処までもクライドを惨めな思いにさせる。
まるで子供の頃の様な心になってクライドは泣いた。
レアルはそんなクライドを抱きしめて、涙で思いを洗い流させる。
そして暫くして、彼女はクライドの鼻をギュッとつまんだ。
「う゛っ!」
その鼻を塞ぐ行為に奇妙な声を上げるクライド。
それでクライドの涙は止まった。
レアルはそんなクライドの瞳をじっと覗き込んだ。
「でもね、母さん…
こう思うの…
失った過去は元には戻らないけれど…
まだ貴方が生きているのなら、未来は貴方が作っていける…
貴方には、まだ向かい合える未来がある…
それが貴方の心臓が、まだ鼓動しているという事でしょう?」
レアルはクライドの心臓を指さし、それをクライドに示す。
「俺の心臓が…鼓動?」
クライドは指し示された自分の心臓を見つめた。
「そう…胸に手を当てて音を聞けば分かる事…
脈打つ音がまだあるのなら…
貴方にはまだ未来がある…
貴方は、それでも生きている…
そうでしょう?」
「生きて…いる…
俺は、それでもまだ…生きている?」
母に誘われ、自分の胸にそっと手を当てる。
眠っていたというのに、そこには確かに鼓動があった。
クライドの心臓が脈打っている感触が。
「そうよ、生きているのよ…
貴方はまだ…
貴方の心臓はそれでも動いて、未来を生きるの…
そんな貴方の未来は、貴方だけのモノだから
私があれこれと貴方に望みはしないけれど…
でもたった1つの事だけは、望ませて欲しい…」
そう言って彼女は指でつまんだ鼻を離し、強く微笑む。
「母さん!?」
その太祖の母に、自分の母の面影も重ねて
クライドは彼女の手を握りしめた。
クライドの手に優しく微笑み返し、彼女はクライドに囁く。
「貴方は私と同じ、大地…
緑を支える、頑丈な大地…
大地なの…
どんな命も、大地が無ければ、
生まれる事も、生きる事もできないのだから…
私達は大地…
そんな大地でなければいけない…
だからね…」
そう言うと、彼女はそっとクライドの頬に手をやり
頬を優しく撫でる。
「緑も華も、大地の貴方が支えなさい…
失った過去に、貴方がまだ悔しさを残しているのなら…
今度は、貴方を必要としている人を、
しっかりと抱きしめて離さないように…
貴方が頑丈な大地に…なるのです…」
そう言って彼女は微笑んでクライドの頬に緩やかなキスを送る。
「母さん…」
そんな母親の言葉と抱擁に、目を見開くクライド。
するとその時、レアルの後ろに多くの女性達が連なった。
レアルの直ぐ後ろには、そうだ、あのマリーという名の子…
その子が大きくなった女性の姿が…
そしてその後ろにも、多くの女性が列を為して、連なっていた。
きっとそれはクライドの血にまで続く
『母親達』
それなのだと、クライドは直感的に分かる。
そしてその母親達の列の更に向こうには
あまりにも蒼い、水の惑星が映っていた。
地球がクライドを見つめていた。
「行きなさい…クライド…
私達は、ずっと貴方の側にいるから…
何も恐れる事無く
貴方が立ち向かわなければならない未来へと…
そう…貴方の意志で、進むのです。
ねぇ?そうでしょう?
私の可愛い貴方…」
そう言って彼女はクライドに果てしない微笑みを送った。
そこで起きるクライド。
涙を流しながら、夢を見ていたのが起きた後になって分かる。
それはきっと夢でしかない。
なのにその起床は、今までの何よりも爽快なモノだった。
外を見れば、また新しい朝。
新しい一日が始まっていた。
夢だった。
何故見たのか分からない夢だった。
それでも『繋がり』
それがただの空想だけでなく、遺伝子という形でも
確実にあるのなら、その夢は現実だった。
少なくとも、母、レアルは自分の背中を後押ししてくれる。
何より彼女の遙か向こう側。
地球が彼を後押ししてくれている。
そう信じる事が出来た。
「そうだ…母さん達は、何時でも側に居る。
俺の体の中に記憶を刻みつけてくれている…
俺のこの体の中に、確かな地球からの記憶があるんだ…
だから、俺も…
俺も地球に出会いたい…
それでいいじゃないか…」
夢からの声で、
大地からの声で
その思いを確信するクライド。
だが、だからこそ、その前に
ハッキリとさせないといけない事があるとクライドには思えた。
このまま、曖昧であっても良いのだろうが…
母に後押しされたのだから、むしろハッキリさせたかった。
もう一度、挑戦すべき、クライドにとって大事な相手である事を。
「シード…えーっと
姫の方って言い方でいいのかねぇ?
ともかく、プリメーラが何処に居るか分からないか?」
起きても側に居ない彼女を確認して、そう問いかけるクライド。
『ふーむ…何処と言われても…
まぁ…陛下の方も少しは落ち着きましたんで…
そろそろ変わってこられるんじゃないですかね?』
そうクライドの問いに曖昧にしか答えられないシード。
「中々、そういう所、難儀なシステムなんだな…
ともかく、プリメーラに話さないといけない事があるんだ…
うん、何よりも先に、そこをハッキリさせておこう…
そうじゃないといけない気がする…」
シードの返事にクライドは不思議な微笑みを浮かべた。
そんな、妙にスッキリとした笑顔を浮かべていたので
それを遠くから眺めていた陛下の方のプリメーラは
それを見て、自分の分身に体を返さないといけないと思い
彼女を、そこに返した。
ログハウスの外。
屋外に作られた、食事用のテーブルに
緑髪のプリメーラは突然、現れたのだった。
ボンヤリとした感覚で、
何故、自分がそこにいるのかも分からないままに、
なんとなく、そこに居るモノだという感覚で、
彼女はそのテーブルに座っていた。
「ふむ、言うと帰ってくるってのも、不思議な感じだな…
まぁでも、これからずっと会えないってのも困るしな…」
言った先から現れたプリメーラの姿をそこに見つけて、
ベッドから起き上がって、そこに歩いて行くクライド。
大事な話をしに向かっているはずだったのに
あの夢をみたせいで、不思議なほど気負いが無かった。
母が後押ししてくれているのだ、という思いのおかげで
クライドには強い勇気が生まれていたのだった。
そして、外に出て
プリメーラの居るテーブルまで近付くクライド。
柔らかく微笑みながら、クライドは声をかけた。
「おはよう…プリメーラ…」
とても優しくクライドは微笑んでそう言った。
『お、おはよう…クライド…』
あまりに甘い笑顔で呼びかけられたのと
記憶が寸断されていて、何故、ここにいるのか
よく分からないプリメーラは、狼狽えながら返事を返す。
「あーーえっと、昨日の話…
それはそれで、これから、色々、考えないといけないのは
分かって居るんだけどさ…」
そう切り出してクライドは、難しい導入に自分の髪をかいた。
昨日の地球へ至る為の話、その続きをするのが筋だったのだが
それよりも先に、ハッキリと伝えておきたい事があったので、
それを先に話そうと思うクライド。
「ちょっとそれよりも先に…
大事な話をさせてくれないかな?
俺にとっては、かなり大事な話なんで…」
そうクライドはなんとか切り出す。
『うん?大事な…話?
…何…ですか?』
クライドが突然そう言ってきた事に混乱するプリメーラ。
とても柔らかく、それでも真剣な瞳でそう言ってくる様に
何を話そうと思っているのか、その意図が掴めなかった。
そんな混乱しているプリメーラに
少し笑いながら、クライドは大事な言葉を伝えた。
「なぁ、プリメーラ…
俺と…結婚してくれないかな?」
クライドはとても軽く笑いながらそう言った。
うーーん…
なんか、ガイアにさせるハズだった仕事、
レアの方が持って行っちゃったよ…
あれー?
これだとガイアがガチで地球の精霊になって
レア母ちゃんが隠れヒロインになるじゃん…
設定だけしかしてなかった適当な数合わせの人だったのに
なんか設定だけに出てくるだけの人ってのも寂しいから
なんぞ、物語に関わる仕事もして貰うかなーって
追加設定ぶっこんだたら、ガイアの次に重要人物に昇格してもうた…
あれー?
クライドとクロトの間にゃ、
存在的な宿縁があるのは元々の設定だったんだけど
そこに血縁までぶっ込むと、本当にクライドが相手にせにゃならん
宿命の親子関係になってもうたなぁ…
血の宿縁じゃなくて、存在対の宿縁で対比させるつもりだったのに…
まぁでも、レアの系譜だからクライドってのは
構造的にはむしろ自然か…
クライドがクラーリンと対峙せにゃならんのも、
レアの子供って事なら納得出来るキャストだしのう…
実際に書くと、本当に初期プロット外の事が起きるモンだなぁ…
書くってこういう事なんだよなぁ…
まぁともあれ、地球にゴーのイベント中なんですが
流れ的には、ちょっと無理矢理展開な結婚イベントを先に消化させて貰うかと
地球イベントやってるのに、ここで結婚云々は、
流石に書いてるこっちも強引すぎると思うんですが
場所的には、2章あたりにイベントを遅らせても良かったんですが
2章のプロットを考えるに、結婚イベントしてるほど
余裕がどー考えても無いんで
ここら辺にぶっ込んで、地球へゴーのイベントに戻らないと
チャンスが無くなるんで、もう無理矢理に…
レア母ちゃんに結婚しろ言われたんですよ
そういう事にしようww




