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星の大河 -漆黒が誘う白銀への道標-  作者: アレの様な何か
第1章:Communication 忘れかけていた杜ト詩
18/43

第十六節 遠き地での会話

はい、忘れてました…

って言う程、遅い投入ではなく

まぁ出てくるんなら、ここら辺で丁度なんでしょうが

第1章の頃から、さっさと顔見せしてないとマズイので

本編の方でも、副主人公、そろそろ登場です。

結構、説明を省いているので、この人達は

外伝の方を見てくれると有り難いです。



「メリシア…

 …で、何か分かったかい?」


そのとても広い宮廷風の部屋で、、

部屋に中心にある皇帝達のお茶用テーブルに帰ってきた

メリシアとネセイラを迎えて、アルシオンはそう尋ねた。


「それがさっぱり…

 この3日間…アストラストが使途不明エネルギーを

 使いまくっているせいで、

 私もネセイラも、他の補助巫女全員…

 監査部門に嫌味ばかりを言われて、嫌になりますよ…」


と、アルシオンの隣のテーブルの席について

愚痴を零す黒髪長髪の美女。

そのテーブルの向こう側に座っていた金髪の青年の横には

金髪の美女が座って、同じ様に眉をひそめていた。


「監査部門が、かなりの勢いで

 コード666関係にエネルギーを使っているのではないか?

 って、ねじ込んできてますからね…

 アストラストは、あれには絡んでないって

 エネルギー収支報告書に記載されているのに…

 本当にもう…

 っていうか、そもそも、それ監査したのお前等だろうっての…」


と対面に座った金髪の美女、ネセイラ・ウィルソードは

そのテーブルのお茶に手をかけて、怒りながらそう零した。


「まぁコード666は、誰が見てもおかしな収支報告だからな…

 連邦帝国予算エネルギーの二割を常時使って

 それが使途不明とか、誰でも突っ込む所だ…

 そりゃ会計監査の立場じゃ、

 これを明らかにせにゃ立つ瀬もないわな…」


と、苦笑して、嫁と一緒に茶を飲む金髪の青年

ダンフォース・ウィルソード。


「しかし、アレはどれだけ言われても公開はできん…

 私も、個人的には好ましいとは思って無いが

 他の色帝にコード666関係で出し抜かれたら

 せっかく、これだけ段取りをしてきたのが

 全部、引っ繰り返される事になりかねんからな…

 アキレス腱とはいえ、だからこその抑止力だ…

 それに、期待はしていないが、仮に成功すれば

 連邦帝国予算の二割の使用は、元が取れるしね…」


と、そのテーブルで黒髪の美女の隣で

皆と同様に茶を飲む茶髪の青年。

彼こそが、今の銀河で

最も汎銀河帝国皇帝の後継者に近いと目されている希代の英雄、

赤色連邦帝国主皇帝、アルシオン・オーラクルムであった。


「あなた、アストラストのこの異動、

 コード666関連で、アストラストがあの思考天体達に

 ハッキングをかけているのではないかしら?」


そんな亭主の言葉を受けて、1つの仮説を持ち出す

黒髪の美女、メリシア・オルフェニウス。


そこは赤色連邦帝国の皇帝達の団欒テーブル。

思考天体アストラストの内部、皇帝居住区にある

赤色連邦帝国の主皇帝、主皇后、副皇帝、副皇后が

一斉に介する、赤色連邦帝国権力の頂点であった。


そこでは、外には言えない皇帝達の機密の会話が

当たり前の様に交わされていたのだった。


「ふむ…その可能性は無くもないが

 アストラストの能力なら、こんなに莫大なエネルギーを使って

 ようやくハッキングできた、等という事はあるまいさ。

 あそこの奴等は、

 アストラストを出し抜けていると思っている様だが、

 恐らくアストラストには、とっくの昔に内情は筒抜けだろう…

 それに、あそこに作った思考天体達も、

 もうアストラストの支配下なのだろうしな…」


そう呟いて、中々に美味な紅茶を楽しむアルシオン。

そのアルシオンの評価に、他の皇帝達も肩を上げるしかなかった。


「となると、何だろうなぁ…

 このアストラストの謎のエネルギー使用…

 今までも、アストラストが使途不明のエネルギーを

 勝手に使っていた事はあったが

 ここまで大規模な事は無かったろう?

 議会に説明しようにも、俺達にも原因不明だし

 困った事だ…

 ヴァーチェ制圧戦は、いよいよ大詰めに入ったって所なのに」


そうダンフォースは己の髪をかき上げて愚痴ってみる。

赤帝は今、全体的に非常に重要な局面にさしかかっており

そんな時にアストラストが不調になる等、

重大な不安要素でしかなかった。


「エネルギー使用も問題ですけれど

 どーも、アストラストと祭儀をして、その内部を探っていると

 アストラストが、今まで見た事も無いような

 奇妙な怯えを見せているのが気になるんですよね…」


ダンフォースの言葉を受けて、祭儀の主宰主巫女として

その内部を調べていたメリシアが、彼女の気になる所を指摘した。


「アストラストが怯え…ねぇ…

 それはとても気になる話だな…

 アストラストとしては、ヴァーチェ制圧に成功して

 いよいよ、銀河中央突破をする段階に来た事が

 お気に召さないのかな?

 銀河平定を、本当は望んでいない…とか?」


とメリシアの言葉にアルシオンは戯けてそう言ってみる。


「そうだとしたら、こんなポンコツに

 赤帝の命運の全てを預けないといけない俺達は

 相当の不幸って事になるぜ?

 ようやく、ここまで来たってのに…」


アルシオンの言葉に苦笑してダンフォースがそう皮肉を口にする。

無言だったが、他の三人もそれには同意だった。


「まぁ、今の所は使途不明エネルギーが、かさんでいるだけだ…

 明日にでもアストラストが壊れるという事は無いだろうし

 なら我々は、粛々と、予定を進めるしかないな…」


とアルシオンはそこで前向きな言葉を皆に言った。

その言葉を聞いて少しだけ表情を真剣にさせるダンフォース。


「で、どんな感じなんだ?

 黄帝の方は…

 緊急会談は、この前したのだろう?」


そう言ってダンフォースは

アストラストとトルパサスニアで繋げた、

赤帝と黄帝の主皇帝緊急会談の結果を尋ねてみる。


「まぁ、この現状でも黄帝の方は了解してくれているな…

 ヴァーチェ制圧戦が、ちょっとはしくじっても

 調停会談を連名で行ってくれるそうだ…

 ただ、ヴァーチェ制圧が出来た方が

 水帝も緑帝も退路を塞がれるだろうから

 理想的には、ニルクルヴァ、ヴァーチェの両制圧を

 成功して欲しいとの事…」


ダンフォースの問いに、先日行った黄帝主皇帝との

前々からの計画に関する確認内容を報告するアルシオン。

その言葉にダンフォースは肩を上げた。


「漁夫の利か?

 赤帝だけ働かせて、美味しいところは

 自分達だけで持っていこうって腹づもりじゃないのか?

 そういう事は、今まではしてこなかった黄帝だが

 最後の最後に…って事もあるだろう?」


ダンフォースはそう言って、

一応の注意すべき点を指摘してみる。


「だが、黄帝が約束通り挟撃して来なかったおかげで

 戦力をヴァーチェまで広げれて、

 ノードノークとの同盟も締結できた。

 ここまでは間違い無く約束通りさ…

 そもそも、この提案は元々は黄帝からのお誘いだしな…」


そう言ってアルシオンは、美味しい茶を口に含む。


「まぁ黄帝と赤帝は、過去にぶつかった事はあったが

 昔から、連邦全体で見れば、そこまで仲は悪くないしな…

 青黄帝戦争の時には援軍に行った事もあったし

 そんな腐れ縁かね…」


アルシオンの黄帝への言葉に、状況の妥当性を確認するべく

過去の事に言及するダンフォース。

しかしこの同盟案が、言い出しっぺなのが

本当は黄帝であるという事は、些か気にくわない。

非常に色帝の態度としては、柔軟な姿勢であるとしても…だ。


「いや、どうもこの話、

 奥の院様が動いたという事らしいぞ?」


そんなダンフォースの釈然としない思いに

アルシオンは少しだけ悪魔的な笑みを浮かべて

最も納得できる理由を全員に語ってやった。


「…何だと?

 これは黄帝の奥の院様の発案だと言うのか?」


そんなアルシオンが明かしたビックリ情報に

ダンフォースだけでなく、

メリシアもネセイラも顔が引きつる。


「そうらしい…

 黄帝がそれを今回の会談で愚痴ってたよ…

 そして、ようやくこっちも納得できる理由が聞けて、

 腑に落ちた所さ…

 黄帝の奥の院様なら、

 そう言い出すのは分からんでも無いだろう?

 革命戦争で六色同盟を立ち上げた、本当の旗手だ…

 一応、歴史的には我等の祖、

 アルフレッド・オーラクルム帝が反旗を翻した

 六色同盟の盟主という事になっているがね…」


言ってヒッヒッヒと笑うアルシオン。

その言葉を聞いて、ダンフォースは目を細めて

その部屋から見える奥の大きな扉

その向こうの大回廊に視線をやって頬を歪めた。


「どうにも、当時の本当の事情が聞きたいね…

 何を隠しておられるのやら…

 しかし、これが奥の院様の御指示となると…

 銀河中央突破…、今度は本当にやれるかもしれんな…」


ダンフォースはそう言って、この計画の凄みを感じ

新しい時代の予兆に胸を振るわせる。

経緯はよく分からないが、やる気が本気なのは間違い無い。

それは停滞するよりは、よっぽど良い事の様に思えた。


「いや、個人的には、巻き込むのなら

 緑帝、水帝だけでなく、1000年前と同じく

 華帝も青帝も参加して欲しいのだけどね…

 上手くいっても四帝だけでは角が立つし…

 それに…」


「それに?」


その時、微妙にアルシオンの顔が曇ったのを見逃さず

メリシアがその言葉の続きを促した。


「昔、エスカが報告してきた話通りに

 プレティナ・ミルシューネが真性の六菱皇帝だというのなら

 中央突破を試みる前に、彼女に会った方がいいと思えるんだな…」


そう言ってアルシオンは難しい顔をするしかなかった。


(『鋭いな…今のウチの赤帝は…』)


そんなアルシオンの言葉を聞いて、冷や汗をかくアストラスト。

本当の事情を知らないにも関わらず、ほぼ正解のルートを

見事に勘で突き抜けてくる所が、相変わらず頼もしい。

しかしだからこそ、アストラストにとっては

今のあの惑星で起きている事が、とても大変な事であったのだった。


まさかプリメーラ姫が、

近日中にも何処の馬の骨とも知れないB級人類と

結婚してしまいそうだ、等とは…。


それが今のこの者達に対して、どれだけの事になるのか?

そんなあまりの特異点的な状況に、眩暈を覚えるアストラスト。

フォレストが狂気するのもよく分かる。


あのB級人類は、全ての事に対して

『番狂わせ』を起こしかねない、不確定因子なのだ。

ならばメリシアに迷惑が掛かろうとも、

注視を辞めるわけにはいかない。

アストラストはそう思って、溜息をついた。


「ふむ…

 プレティナ・ミルシューネねぇ…

 華帝国の幼き女皇帝様が、真性の六菱皇帝かもしれんと…

 あの子、今、いくつだっけ?

 今年で20歳だっけ?

 即位からようやく5年って所か…

 そんな20の童女が華帝皇帝をしてるだけでも脅威なのに、

 本当は真性の六菱かもしれないって?

 おー、怖い、怖い…」


アルシオンの言葉を受けて、

ダンフォースがそう呟いて両腕で肩を抱きしめた。

自分達も規格外に若いのだが、上には上が居る。

それがもしかしたら、それどころじゃないかもしれないとは。

それはただ単純に恐怖であった。


「15歳でフェルクメニストに見初められる様な

 規格外だからな…

 メリシアが20歳の時にアストラストに見初められた時は

 もう誰もこの記録は抜けないだろうと思ってたのに

 あっさりあの子が抜いたからな…

 歴代二位にされた気分を、ちょっとは聞きたいね…

 メリシア」


そう少し悪戯っぽい口調で、自分の嫁に気持ちを尋ねるアルシオン。

その言葉に少しだけツンとした表情になって

お茶を口にするメリシア。


「まぁ、真性の六菱皇帝だというなら

 負けても仕方ないですね…

 という事は、華帝国だけは、

 未来を完全に子供達に託したという事ですし…

 その決意に経緯を評する所ですよ…

 だから、これより先は、

 あの子の記録は誰も塗り替えられないのではないかしら?」


と、少しだけ拗ねた口調でそう言って

同じ巫女として評価を口にするメリシア。


そう、真性の六菱皇帝が排出出来る様になっているのなら

どんな脅威的な事でも有り得る事だ。

メリシアには、そう納得できた。


レディン・ルークは、流石にこれだけは知りようが無いだろうが

アルシオンとレディンの六菱覚醒は、完全なイレギュラーであり

赤帝には真性の六菱皇帝を排出する事は出来ない。

そして、そうであっても、

赤帝の最も奥深い所では何ら問題は無いのである。


このからくりを知っているか、いないか、

それが皇帝と宇宙冒険家の致命的な差であり

行動指針の違いにも成っていた。


まぁ例えそうであっても、銀河中央に到達しさえすれば

それ以上の深い真実を、知る事が出来るのだろうが…。


その時、不意にアストラストが、その四人に口を挟む。


『いや、プレティナ姫は歴代二位だよ…メリシア姫…

 もっと早い子の記録がある…

 それが、未だに塗り変えられる事の無い

 最高のレコードだ…』


アストラストは、不意にその四人にそう語った。


「何!?プレティナ姫より、上がいるだと?

 15歳だぞ!? それを越える子って、誰だ!?」


そんな突然に話しかけてきたアストラストと

それが語った歴代一位の巫女に見初められた子という内容に驚いて

その人物を訪ねるアルシオン。

しかしアストラストは、思考空間の中でそれに頭をかく。


言えるわけがない。

それが誰なのか。


『誰であるか、その名は言えないが

 銀河最速の巫女に見初められた、その記録の年齢だけは教えよう。

 その子は10歳で…思考天体の巫女として見初められた…

 未だに誰にも破られる事のない、唯一の記録

 それがその子だ…』


アストラストはそう伝えた。


「は?10歳だと!?

 S級人類なら、赤子寸前じゃないか…

 どこの思考天体だ!?

 そんな幼女を見初めたアホなガメットは!」


アストラストの言葉を受け、

流石に驚愕して言葉を荒げるアルシオン。

他の三人も声には出さなかったが、その気持ちは同じだった。


『アイツは幼女好きなんだよ…

 思考天体の癖に、ロリコンだよな…』


と、アルシオンの言葉を受けて、そう腐すアストラスト。

決してそういうわけでは無かったが…

いや…そういう面も奴には無きにしも非ずだったが

それでも、才があってこその巫女見初めである。


それも、あの当時の巫女見初めだったわけで

今よりも更に選定が難しかった時代だ。


その頃に、生まれた頃からアイツがビビッと来た子が

あの御方なのだから、さもありなん。


銀河が今日も星の大河であれるのは

ちょうどそんな子が、あの時、生まれたからなのだ…


そして、あのクラーリンを、唯一、封印できる方が

あの時代に丁度生まれた事は、

思考天体達にとっては最大の幸運で…、

しかし、その重責を未だに押しつけている事は、

最大の苦しみだった。


アイツもきっとそうであろうが、

アストラストとて、心の底から愛した少女である。

だからこそ、この時代の寵児を使って

あの封印石からお救いしたいと思っていたのに…。


それがまさかの、B級人類との結婚とは…。


この全く読めなくなった未来に、

アストラストはやはり眩暈を覚えるしかなかった。


その後、四人はそれが誰なのかを懸命に尋ねたが

アストラストのいつもの、


『それは答える事が出来ない』


の一点張りに、やがて質問を諦めるしかなかった。

そして話を元に戻す。


「しかし、シオン…

 プレティナ姫に会いたいって言ってもな…

 華帝国はサファナム宙域には出てきてないし…

 会う事を考えれば、事だぞ?」


ダンフォースはそう言って、アルシオンの考えに

現実的な難しさを指摘する。

その最もな指摘に、頭をかくアルシオン。


「これは諜報部に指令して調査させていた

 サファナムの報告書なんだが…」


言ってアルシオンは、宙空スクリーンに

命令を出していた、

『サファナムから華帝国にアクセスできるか?』

の諜報活動の結果内容を皆に見せる。


「なんかなぁ…面倒な事になってるらしく…

 200年も華帝国がサファナムを放置したせいで

 物凄く原始的な星間戦争してる宙域になってるらしいぞ…」


そう言ってアルシオンは

サファナム宙域のデータを皆に見せた。


「は?これ何だ?

 熱核ミサイルでの首都星攻撃と住民虐殺!?

 おい、今時、熱核ミサイルから母星を守る

 防御シールドも張れない様な、

 そんな星系国家なんかあるのか!?

 つか、これ…、シールド在っても

 連邦帝国憲章違反じゃねーか…」


ダンフォースはその資料を見て、唖然とするしかなかった。

そこに書いてある内容は、

おおよそ白色帝国領域と呼ばれる所の星系国家では

起きるハズの無い事であり、

色帝艦隊が宙域内に居た場合、やれば速アウト。

流石に、色帝艦隊が動いて国家殲滅をしなければならない

連邦憲章協定違反のモノばかりであった。


「という事でさぁ…

 サファナムに下手に赤帝艦隊なんか送ったら

 赤帝艦隊に宙域制圧を命令しないといけない内容なんだよねぇ…

 今のサファナムの現状って…」


そう言ってゲンナリするアルシオン。

先に報告書を読んでいたのだが、

あまりの内容に震え上がったモノだった。


「おいおい、こんな所に行ったら泥縄式的に

 サファナムまで占領しなくちゃならなくなるじゃねーか…

 そんな事したら、華帝国の艦隊だって流石に重い腰上げるだろ?

 ニア・ラルフとか出てきたら、どーすんだよ…

 この銀河の一番のアンノウンだぞ…

 あの提督が…」


アルシオンの言葉を受けて、

仮に赤帝の艦隊を派遣した場合に

起きうる展開をそう予想して酷く青ざめるダンフォース。

メリシアもネセイラも、その言葉に頭を抱えた。


別に連邦帝国は、常に義を重んじる組織ではない。

しかし連邦帝国憲章という集団の決まりを守らせなければ

このサファナムの様に、どうしようもない原始的な

星間戦争が起きて、連邦体制が内部分裂を起こすのだ。

だからこそ、例え連邦帝国に所属していない星系国家でも

『それをしたら、強制介入する』

という示しを付けるための特記条項あった。

そしてこのサファナムは、その特記条項に尽く抵触している。


気軽に艦隊を送れば、

その抵触事項に従って、強制介入しなければならない。

それは大事であった。


「今はヴァーチェの追い込みに入っている段階で

 とても余裕が無いから、どうにもならんが

 華帝国とアクセスしようとしたら、

 それよりも前に、大障害があってな…

 流石は華帝国…

 一番読めない色帝だ…

 どうしたモノかね…」


そう呟いて、アルシオンは報告書にある

サファナムの酷い現状に頭をかくしかなかった。


余りにも若すぎる真性の六菱皇帝かもしれない女皇帝。

謎の魔術師を擁する幻惑艦隊。

そして、自分の門前領を壊滅的なまでに放置して

他の色帝でさえ侵入を躊躇うという現状。


それらが、あまりにも不審すぎて、

そこにアルシオンは違和感を感じるしかなかった。


「やれやれ…

 まだ確証の無いデーターだが…

 もしかして、本当に…

 流血の女皇帝は、華帝国が出身だったのかもしれんな…」


その違和感の中で、今まで調査してきた資料から

その情報の断片を色々と繋ぎ合わせた時に、

不意に見えて来たその可能性。

そして、よく知られる華帝国のこの不審な行動性に

自分の仮説をより強く意識するアルシオン。


この不審さに対して、そこにそのピースを入れると

上手い具合に話が繋がってくるのである。


ならば華帝国の皇帝とは、

そうそう容易くアクセスするのは躊躇われる。


未だに銀河中枢と繋がるパイプでもあろうモノなら

コード666とは全く別の方向から、

足をすくわれるかもしれないのだ。


それは全力で避けなければならない事であった。

それに焦れるしかないアルシオン。


「1000年前に何があったのか…

 その実体が掴めない今のままでは、

 何をするにしてもリスクしかないんだよな…

 さて、どのリスクに踏み込めば

 正解の道にたどり着けるだろうか…」


そう呟いて、アルシオンは苦笑するしかないのであった。



いやー、本編なんで、

外伝の方では「何考えているか良く分からない思考天体」

の方の内情も同時に書けるのが、本編の良い所ですな…


完全に味方ではない思考天体にイライラする赤帝の面子と

それどころではない思考天体のすれ違いは、

主人公特権という言葉過ぎて苦笑。


どんな奴でも話の中心におったら、強いんですよ、ええ



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