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星の大河 -漆黒が誘う白銀への道標-  作者: アレの様な何か
第1章:Communication 忘れかけていた杜ト詩
13/43

第十一節 懺悔

書いても書いても、物語が進まない…

二万文字書いても一日も経たない…

文章荒くても、校正甘くても

とにかく、今は、第1章を終わらせる事だけを優先しよう…

そうしないとこのままでは話にならん…Orz


『タダ飯食らいを開き直られましてもねぇ…』


そう呟いてクライドの食事を周辺原子を集めて生成するシード。


「そう言われてもナァ…

 俺、君らに食わして貰って、ここに住まわせて貰わないと

 あのポッドで1ヶ月後に餓死して死ぬだけだしナァ…」


シードの最もな指摘に頭をかきながら

素敵なまでの「ヒモ」状態に苦笑するクライド。

とは言ってもエネルギー確保には困らなくなった、この現代、

人は基本的には「働かなくても」

政府が適当に食わせてくれるモノだった。

なので国民全てが、政府の「ヒモ」になる事にそこまでの抵抗は無い。

国民生活保護は、エネルギー循環システムが成熟した社会では

当たり前の政治形態だったのである。


ただ、そういう状態を続けると人間の精神の方がおかしくなり、

やがて精神疾患が生じるので「仕事のような何か」を与えて、

その「ノルマ」をこなす事で政府に生活が保障される…

というのが現代宇宙市民の一般的な生活スタイルであった。


そんな銀河的常識によってクライドも完全な「ヒモ」になるよりは

「生きて行く事を認められる何か」をしたかったのであるが…


それが意外に難しい。


一体、この空間を維持しているエネルギーを、

どの様な経路で生成しているのかは謎のままだが

自然の生態系を作り、

生態の流れを環状ループにして循環運営するに際して、

エネルギー的に破綻しない様に外乱補正されている様な『森』である。


生態系に対する予想外の外乱を強制補正出来るという事は

生態系を循環するエネルギー以上に巨大なエネルギーが

この空間を保護しているという事であった。


それは、軍務で軍施設の生活空間エネルギー管理をしていた

クライドであったので、よりよく分かる事であり、

適当な見積もりで余剰の保護エネルギーを予想しても

クライド一人を生かす程度のエネルギー増加が

全体から見ればどれ程の誤差であろうか?という程に、

保護エネルギーは潤沢だと思われる。

見渡せる空間体積から考えれば、一目瞭然であった。


そんなエネルギーが有り余っている所でなら

当座、何かを見つけるまでは「ヒモ」であっても

やむを得ないとも思えるクライド。

「生きて行く事を認められる何か」を

自分だけで見つけるのは、いざ一人だけになるととても難しい。


それがシードにもよく分かっていたので

苛つきながらクライドの食事を作っていたのだった。


『まぁ姫の側に居て貰えるだけで

 姫の精神が非常に安定される様ですし…

 それが貴方の労働性と考えましょうかね…』


言ってシードはクライドの前に、

レーションの様な食事と飲み物を差し出す。


「すまんね…無能な食客で…」


そんなシード皮肉と差し出されたレーションを受け取り

それを口にし始めるクライド。

レーション生成装置も無いのに、

空中でレーションが原子分子合成されるという

脅威的な光景を見せられていたが、

まぁ汎銀河帝国の最大遺産だと

プリメーラとの融合で「何となく分かった」クライドである。

そんな事は出来て当然か…と、少々の事では驚けなくなったていた。


『クライド、何をしてるの?』


そんなレーションを口にするクライドの姿を見て

その光景を尋ねるプリメーラ。


「何って…これは、食事という行為でして…」


プリメーラが人間がする「当たり前」の事を尋ねるので

クライドは首を傾げてそう返事をした。


『ああ、そうか!

 私みたいな複素光子体じゃない生命は

 生命を維持するのに、食事をしないといけないんだったね…』


そのクライドの言葉で、

自分と相手の生態系の根本的な違いを理解するプリメーラ。

そんな彼女の言葉にクライドの目が棒の様になる。


「うーん、どこからツッコミを入れればいいのか迷うが…

 ともかく君のその状態…複素光子体だっけ…

 その体には、食事というシステムが必要無い事は分かった…

 ま、汎銀河帝国の最高存在なら

 ある一種の生命体の弱点的な要素が無くなってるのも

 当然といえば、当然なのかな?」


言ってクライドはプリメーラの存在感を評価してみる。

そうだ、食事というサイクルが必要なのは、

『生命体』というくくりはであり、

それは、生命体における常識でしかない。

そんな『生命体』のくくりで見るならともかく

『活動体』というくくりでみれば

状態維持に関しての食事の意味は、エネルギー補給であった。

そしてエネルギー補給という視点で物事を考え始めたら

生命が行う『食事』等と言う長々しいプロセスは冗長であり

乗用車や宇宙船がそうであるように『効率』を追及して

直接エネルギーを補給する方が無駄のないシステムだ。

乗用車や宇宙船なら『燃料』という最も簡潔な形で

それをエネルギー補給としてシステム化している。

しかし、やっている事はどちらも同じ「エネルギーの補給」。

ならば生命体の『食事』というのは、

どれだけ効率的には無駄を経由した冗長システムなのだろう…

プリメーラの言葉を受けて、クライドはそう考えて笑う。



プリメーラの様な汎銀河帝国皇帝という

より強い存在になれば、人が持っているシステムは

ただの冗長性にしかならないのか…



そういう事を、たったこれだけの会話で思い知らされると

クライドはますます『存在とは何か?』という問いかけを

自問自答し始めるしかなかった。

そう自問するのは、

彼の妹がC級人類で生まれた事が元々の原因であり、

そんな世界の不条理への不満が転じて、

世界とは何か?存在とは何か?と拡大していって

『存在』を自問する様になったのであるが…

そんな人生背景を持っていた事に対して、

プリメーラという異質な存在感に出会った事で

益々それを深く考え込まなければらななくなったらしい。


『そっか…クライドが生きるためには

 食事が必要なんだね…

 そうだね…この森で生きている者達もそうだったし…

 でも、クライドは…

 動物を狩猟して食べたりはしないんだね?

 そんな白い棒みたいなのが食事なの?』


そこでプリメーラはクライドが

不思議な食事をしている事を指摘してみた。

その言葉を聞いてレーションと一緒に出されていた飲料水を

思わず噴き出して絶句するクライド。


「はぁ!?

 動物を狩猟して食べるっ!?

 何でそんな『生命体保護法』を破ってまで

 食事をしないといけないの!?」


そう叫んでクライドはプリメーラの言葉に驚嘆するしかなかった。

その会話のやり取りを聞いていて、

色々な意味で思考空間で苦笑するシード。


(ああ、そういえば、そんなモノもあったな…)


そう思ってシードは笑った。


『え!?だってこの森に居る生き物たちは

 お互いに狩りなり、草の捕食なり、光合成なりで

 互いが互いを食べ合って、生命のループをしてるんだよ?

 食事っていうのは、そういう風に、

 生命が生命を食べ合って循環して行く事じゃないの?

 シードにそう教えて貰ったよ…私…』


クライドの驚愕の顔にしどろもどろになって

そう説明を加えるプリメーラ。


「いや、自然の中はそうだけどさ!

 人間は、動物も植物も直接食べてはいけないんだよ!

 『生命体保護法』って法律でそう決まっているんだ!!

 食料体が手に入らないで、生命維持に危機がある場合だけは

 特例で、動植物の摂取でエネルギー確保する事を許されているけど

 そんな重篤な状態に陥らない限りは、

 人間は、動植物を食べてそれを食料にしてはいけないんだ!」


クライドはそう言って

『この現代の』食事の常識を口にするしかなかった。


『そうなんだ!

 人間だけは、動植物を食べてはいけないんだ!』


クライドの言葉を聞いて驚くプリメーラ。


「生きている物の生命を、勝手にこちら側の都合で終わらせて

 それを生命の糧にするのは、高度な精神を持っている人間には

 相応しくないとかいう倫理があってだね…

 今は原子分子の材料を、レーション生成装置に流し込めば

 それで食料が作れるんだから

 人間はそっちの方を食べないといけないんだ…

 そりゃ…やれば食べれない事は無いけれど…

 人にとっては命を奪って食する事は禁忌に近い事なんだよ…

 それが自然と人間を別つ、壁って事になってるんだ…」


そう言ってクライドは『生命体保護法』の基本的な理念を口にする。


『へぇぇぇぇ……』


クライドの人間だけは特別という説明を受けて

それに素直に驚くプリメーラ。

何分、人間に出会ったのは100年の中でも、

今回が初めてだったのである。

この自然の中で時間を過ごせば

『生命の循環』という性質だけは理解出来る。

だから『食事』というモノは、

この森の中で生きている者達が行っている、

そういうモノなのだろうと思い込んでいた。

例えそれが、生きるために互いに殺し合いをするという

痛ましい光景であったとしても…である。


『まぁここは特に、地球の自然ですからねぇ…

 光合成を緊急時に体内展開できる今の宇宙生物ではなく

 原始生物の彼等は、特に互いを食べ合いながら

 栄養の役割分担で循環社会を作るしかないんですよ…

 それが互いの捕食性をより強くしてますがね…』


そんな二人の言葉にシードはもう1つの説明を添えた。


「え!?地球に生きてた生命体って

 緊急時に光合成って出来なかったの!?

 いや、それは虚弱生物の特徴ではあるけど…

 原始の星の生物って、そんなに生命力弱かったの!?」


シードの説明を聞いてポカンと口を開くクライド。


『そりゃまぁそうでしょう…

 今の宇宙生物へ強化改造したのは人類なんですから…

 元々の生物に、今の宇宙生物の様な

 更なる柔軟性なんて無かったんですよ…』


言って苦笑するシード。


「ん?宇宙生物へ強化改造したのは人類?」


そんなシードの説明に、聞き流せない所があったのを逃さず

言葉にあった違和感を問いかけるクライド。


『クライドさんが自分で言ってたじゃないですか…

 重力の影響で、骨の骨密度が上がったり下がったり

 筋力が強くなったり弱くなったり

 そういうのが『虚弱生物』なんだって…

 まぁ、それはそうなんですけれどね…

 実の所、逆なんですよ…

 地球という1Gで理想空気がある事を前提とした生命体には、

 宇宙の様な過酷すぎる環境では、

 どんな生物も生きていけなかったんです。

 それが虚弱生物といわれる原生生物の特徴です。

 でも、彼等は元々、

 地球から出ていく必要なんて何処にも無かったから

 それで何の問題も無かった…

 この生態系に最適化された性質のままで良かったんですよ。

 しかし、人類が宇宙開拓をする時に、

 その当時は、まだ今みたいに原子分子さえあれば

 レーションを作れるまで食事が洗練されてませんでしたからね。

 その当時は、今では禁忌とされている

 動植物の摂取で食事をしなければならなかった…

 そこで人類は、地球に居た生物を宇宙用に遺伝改造して

 宇宙でも生きていける様に造り替えた…

 それがこの宇宙に広がっている『宇宙生物』の起源…』


そう言って溜息をつくシード。


「ちょっと待て…

 人類が地球の生物を宇宙用に改造した?

 宇宙開拓をする為に?」


その言葉を聞いて血の気が引くクライド。

そんなクライドにシードは淡々と続けた。


『元々の設計は、

 カリア・ドール博士とザクタス・ニール博士らのチームの

 『カリア・ザクタ』遺伝子開発計画

 アリアリル・シェース博士とザクソン・モイメン博士の

 『アリア・ザクソン』遺伝子開発計画。

 宇宙環境下において肉体状態を一定の能力に留める

 宇宙生活が可能に成るための生命の遺伝子改造…

 …いや遺伝子強化ですか。

 その研究開発プロジェクトが、長い時間を経て

 やがて2つの人工遺伝子を作った…』


シードはその時代の記録を参照して

それを睨み付けながら呟いく。


「ちょっと待ってくれ…

 カリア・ザクタとアリア・ザクソン?

 それって、B級人類から欠落する

 48本中の2本の遺伝子の名前…」


シードが口にしたその遺伝子の名前、

自分の妹の病気で医者から良く聞かされたその名前を口にして

クライドは物凄い形相になった。

シードは淡々と続けた。


『カリア・ザクタとアリア・ザクソンは

 古代の人類が作った、

 地球生命を宇宙で暮らせるようにするための

 『人工遺伝子』ですよ…

 昨日はクライドさんが眠ってしまったので

 姫様に先に説明してしまいましたが…

 同じ事をもっと詳細に説明すると…

 元々の地球の生命体には

 全て、宇宙対応用の強化遺伝子、

 『カリア・ザクタ』と『アリア・ザクソン』は

 存在していませんでした…

 特に人類はですが…

 元々46本の23対の染色体しか…

 持ってなかったんです…』


「何だと!?」


クライドはそのシードの言葉、元々人類は46本23対の

染色体しか持っていなかったという言葉に震えた。


『C級人類とは…元々は

 地球で自然に発生した人類の事…

 原生地球人の事です』


「何っ!?」


シードから発せられる次々の言葉に

脳内にハンマーを叩きつけられるような衝撃を受けるクライド。

これは、昨日、姫に説明しかけた話でDNA爆弾のせいで

尻切れトンボになった話だ。

また今の自分のメンタルではこの話をクライドに語らなければ、

気持ちの「しこり」を無くす事は出来ないだろうとも思える。

ならばどれだけ苦しかろうと、語るしかないとシードは考えた。


『いまのこの銀河が呼ぶ宇宙生活に適合できない人類

 『C級人類』とは…

 地球で自然に発祥した…

 原生地球人類の事なのです…

 この銀河は、現在『原始の地球人』の事を

 宇宙不適合の病気『C級人類病』と呼んでいるのですよ…』


「何だと!?ば、馬鹿な!!」


『信じられないのは無理もありません…

 この銀河の99%の人類がB級人類に変わってしまった

 今となっては、C級人類の方が原始人類

 地球人であったなんて、納得できないでしょうし…』


「C級人類は地球人!?

 じゃぁ俺の妹のミリネーナは、

 『地球人』だったというのか!?

 あれが…あんな宇宙ではとても生活できない体を持つ者が

 元々の『地球人』だっただって!?」


シードが語った言葉に一々衝撃を受けながら

C級人類という忌み嫌われる病気が、

それが『地球人』だという事を知って震えるクライド。

クライド的な常識では、あんな宇宙に対応できない体を持つ存在が

生命体として文明を広げていたという事が全くイメージできなかった。

その言葉にプリメーラも乗っかっる。


『昨日はクライドの事があって聞きそびれたけれど…

 もう一度その話になったのだから、聞くわシード!

 どうしてそんな『C級人類』なんて

 宇宙に適合出来ない人類に

 B級人類から退行してしまう様な

 病気のような性質があるの!?

 おかしいじゃない!!』


プリメーラはそう言って、あまりにも不条理で

あまりにも哀しい存在だと、

クライドとの記憶の共有で知った『C級人類』

それが、未だに発症してくる理不尽を問い詰めた。


「そうだ!俺達が昔の地球人によって生み出された

 改造人類だというのなら、

 何故、宇宙で生きていけない

 退化してしまう遺伝欠陥なんてモノが残っているんだ!

 そんなシステム、非合理的じゃないか!!」


クライドもプリメーラの言葉を受けて

そのシステムの欠陥性を指摘する。

遺伝子改造というモノは、強化B級人類、A級人類、S級人類と

人類強化されていった実例があったので、そういう事もあるかと

無意識的に納得も出来た。

しかし最低ラインのB級人類から

更に退化してしまう性質が残るというのは納得できない話だった。


『本来、この話も地球の重要な秘匿情報なので

 皇帝位にプリメーラ様が復位されないのなら

 お伝えしてはならない事の様な気もしますが…

 何でしょうかね…

 まぁこの程度ならば、開示してもいいのかなと…

 思わなくもないので…

 特にクライドさんには、妹さんとの苦労してきた生活があり

 そして『今の地球』を見られたのですから

 その程度の事は許されるような…』


そう呟いてシードは、この情報の開示が許容かどうかを

遠くのフォレストに尋ねてみる。

その問いかけにフォレストは笑いながら

『限定許可』の返事を返した。

その返事を盗み見ていた『アストラスト』も

思考空間で苦そうな思いを広げてその空間を見つめる。


「どういう事だ!?」


そんな念話があったなど知らず、

クライドはただシードの言葉を問い詰める。

シードはフォレストから『限定許可』の命が出たので

開示できる範囲での返事をし始めた。


『クライドさんが、さっき口にした単語

 それが答えです…』


「俺が口にした単語?」


『『生命体保護法』…』


「っ!?」


シードが返してきた思いがけない単語に

思わず息が詰まるクライド。

クライドにとっては何でも無い、

この銀河のに生きる人の『人としての普通の姿』

法とは言っているが、

無意識のモラルに近いそれをシードに口にされて、粟立った。


『クライドさん…人が人の力で…

 人工で生命を作り出すという事は『自然』だと思いますか?』


シードはそんな切り口でクライドに質問を仕掛けた。


「な、何を…

 いや、それは…

 『自然発祥』しないのが『人工』なんだから

 人工で生命を作るなんて、不自然の極値だと思うが…」


そう返してクライドは、その言葉の「あや」にある

矛盾を突き付けられて焦るしかなかった。

自分が返した言葉のそれが自然の感性なのなら

A級人類やS級人類などという超越人類を作った事は、

不自然の極値であると思えた。


『そう、自然でないモノを『人工』で作る事

 それはとても『不自然』な事なのです…

 この現代の貴方がそう感じるのなら…

 それを生み出した時代の、

 元々の地球人にはどう思われたのでしょう?』


そんなクライドの内側から生まれる感性を依り代に

シードは何故、その様な不条理が生まれて来たのか

その根源をクライドの前に示す。


「まさかっ!?」


クライドはその言葉で漠然とした理解をし

それに背筋を凍らせる。


『今となっては、その当時の理屈など

 歴史の積み重ねで意味を成さない程に、

 法の中に埋もれてしまいましたが…

 『生命体保護法』が原生地球人…

 今で言う『C級人類』によって求められた時…

 その最も重要な条項は…

 『地球人を遺す事』でした…』


シードはそれが制定された時代の情報を参照しながら

その法における、第1番目の特記条項を口にする。


「『生命体保護法』の中に、そんなモノが!?」


聞いた事もない条項を教えられて顔を強ばらせるクライド。

実の所『生命体保護法』等、それが正式にはどんな法典なのか

全体を知って居る者などほとんど居ない。

しかし、最早『モラル』の様な物なので、

要点だけを知って居れば良いモノとされていたので、

そういうモノなのだろうとクライドは思っていた。

だから未知の条項が開示されると当然驚くしかない。


『こんなに時代が進んで、A級人類、S級人類と

 人類とは何か?という曖昧さが積み重なってしまった

 現代の宇宙においては、

 その要求に何の意味が残っているのか

 それもよく分かりませんが…

 B級人類…

 その当時は…

 生み出された、その当時は『超人類』と呼ばれ

 崇められ、同時に、恐れられた新人類ですが…

 その新人類に対して旧人類の地球人は制約を設けました…

 それは

 『地球人が失われない様にする事』

 1%を遙かに切る低確率であっても、

 B級人類から人工遺伝子である

 『カリア・ザクタ』と『アリア・ザクソン』が

 欠損してしまう、元々の46本の自然染色体だけの人類

 『地球人』が生まれる様にする事…

 それが、その当時の地球人が

 新人類であるB級人類に課せた制約

 『生命体保護法』の最も重要な事でした…』


シードはそう言って歴史の流れ、今ではこの銀河の誰もが知らない、

焚書され続けた古代の歴史を見つめて、その当時の要求を語った。


「地球人が、地球人を残すために

 遺伝子の中に最初からそんな性質を

 組み込んだという事か!?」


『そういう事です…』


クライドはシードの説明で、当時の地球人類が

新しく作りだした人工人類に、元に戻るような

性質を最初から組み込んだという事を理解しそれを確認した。

それをただ肯定するシード。


「どうしてっ!

 どうしてそんな煩わしくなるだけの

 馬鹿げた制約を残したんだ!!」


シードのその返事にクライドは思わず拳を握りしめる。


『『自然』とは何ですか!?』


クライドに瞬時に生まれた怒気に

シードはその言葉で冷や水を浴びせる。


「っ!!」


その問いかけを受けて、思わず息が詰まるクライド。

言葉のダンプカーに正面衝突した様な衝撃を受けた。


『彼等、古代地球人は、

 新人類と存在意義を賭けた戦争をして

 新人類に負けたその時、新人類に問いかけたのです。

 『自然』の中に作りだした『人工』で

 これから先の人類の歴史は続いて行く事になる…

 それで本当に良いのか?と…

 本来の『自然』を斬り捨てて進む

 これからの未来は、

 本当に正しい道を進めるのか?と…

 彼等はそう問いかけた…』


「自然を切り捨てて進む未来…」


そのシードの問いかけを受けてクライドは下を向いた。

この話が真実ならば、それは自然である古代地球人

今のC級人類を斬り捨てて進んでいく未来

それが正しいのか?という問いかけだった。

その問いかけを前にして震えるクライド。

何故ならそれは

C級人類を安楽死させて負担を減らそうと考えた

クライドの両親の考えと重なる思考に思えたからだった。

そしてそんな親の考えに反発したのはクライドである。

クライドは自分の生き方でその思想を否定したのだ。

自然を切り捨てて進む効率的な未来という思考に。

だからこそ、クライドはその思想に項垂れるしかなかった。


『B級人類…その当時は新人類と呼ばれた彼等も

 精神構造はC級人類と同じです…

 彼等も自分達の存在に疑念を持っていた…

 『人工』の自分達は本当に正しいのか?と…

 『自然』ではない自分達は、本当に正しい道を進めるのか?

 それが新人類も怖かった…

 だから旧人類である地球人の要求を新人類も呑んだのです…

 『C級人類』がある一定の確率でB級人類から生まれる事…

 『地球生命体保護法』…

 記念生物として特別施設の中に残すには、

 あまりにもその恒久的な維持は難しいと思われたので…

 『カリア・ザクタ』と『アリア・ザクソン』の中に

 遺伝子プログラムとして構造を組み込んだ…

 何かの拍子で、地球人に回帰してしまう性質を…

 それが現代の人々が『C級人類病』と呼んでいる病気の正体…

 何千年もその病気の存在を認識されながら

 何時まで経っても根治される事の無い遺伝子病…

 …………

 それは、数千年前の地球人からの呼び声なんですよ…

 『君達、不自然は本当に正しいのか?』という…』


そうシードは呟くようにクライドに語った。


「そんなっ!!

 そんな事ってっ!!」


そのシードの言葉に目の前が暗くなるクライド。

妹が生まれてからずっと憎んできた

おぞましき遺伝病『C級人類病』

何故、こんな遺伝子の全てが解析されている現代で

根治不能の遺伝病が残存しているのか?

それがクライドには強い疑問だったが…

求めていた答えの1つを、こんな所で突然知る事になるとは。

その思いがけない出来事に、クライドは動揺するしかなかった。

そしてシードの言葉を考える。

『古代地球人からの人工人類への問いかけ』

『自然』を切り捨てて進む『人工』は正しいのか?

それを遺伝子病の中にメッセージとして残したのだと言う事を。

クライドはその話に呆然となるしかなかった。


『憤ってくれませんか?クライドさん…

 変な話ですが、貴方の妹さん…

 ミリネーナさんが生きる事に苦しんだのは、

 そんな『地球人の我が儘』のせいなのです…

 その我が儘に、貴方は、怒り狂って欲しいと…

 私は思ってしまう…』


シードはそう言って虚ろに笑った。


「怒り狂いたいよ!!

 真実ならな!!

 しかし、何故だ!!

 何故、お前は、そんな事を知っているんだ!?

 汎銀河帝国の皇帝お付きの複素結晶

 だから秘められた地球の秘密を知っている…

 まぁ、そういうモノなのかもしれない…

 地球の秘密を知る事こそが

 銀河の覇者の特権だというならな!!

 だが、お前のその物言いでは…

 お前自身が、それを見てきた様じゃないか!!

 お前のその言い方は、他人事の様な伝聞に聞こえない!

 それは何故だ!?

 その言い回しだと、お前自身が俺に罵って欲しいと

 言っている様にも聞こえるんだが!?」


そう叫んで、クライドはその違和感に気付いてそれを問う。

この話の全てが、このポンコツ人工知能の虚言かもしれないのだ。

その可能性だって、まだ十分ある。

確かにプリメーラとの記憶の融合で、

このポンコツは汎銀河帝国皇帝の持ち物の何かだとは

今では漠然と思える様になった。

だから言葉には昨日よりは信憑性がある。

しかし、まだ何か沢山の事を隠しているという

感触が確実にあった。

だからこそクライドはシードの言葉の中にある虚言を疑った。

反面、間違い無く真実を語っている様にも思えた。

それがクライドにとって苛立つ理由になっていた。

一番の問題は、言葉が真に迫っていると感じる最大の理由

まるで当時者の様に、この話を語っている事だった。

それがこんな壮大な話に奇妙な信憑性を与えるのだ。

だからクライドは混乱して問いかける。


「今までの話しぶりだと、

 お前自身が、それをした当時者で

 お前自身がこの話で、

 俺に責めて欲しいと言っている様に聞こえる!!

 そう感じるのは何故だ?

 この話は、お前の言葉が確かなら

 古代地球人がした事じゃないのか!?」


そう言ってクライドは言っている言葉の

チグハグ感をシードに詰め寄った。


『クライドさんの仰る通りなんですよ…

 私は私を責めて欲しいのです…

 プリメーラ姫を介して、私も貴方の記憶を見たのです…

 貴方の妹さんの、ミリネーナさんと貴方が

 苦しみながら生きてきたのを、私も見ました…

 C級人類の性質を残すという事は、

 そういう事だと分かっていた…

 それでも私は…そうしてしまった…』


「何?私は、そうしてしまった?」


そこでクライドはシード自身がこの件に関与した

という言葉を耳にして思わず身を後ろに引いて身構えた。

この話を語っている本人が、当時者!?

そう思えた事が無意識にクライドを身構えさせたのだった。

それは本能的な危険感知の反射行動であった。


『あ、いえ…少し記憶が混線しましたね…

 私もこの話をしてるせいで、熱くなってしまってる様です。

 私ではない、私の生みの親がした事でしたね…

 それでも私は、その情報ライブラリを

 丸ごとコピーしてますんでね…

 まるで、私がした事の様に、錯覚してしまうのです…』


そう言って、シードは話に熱が籠もったせいで

この会話を監視している『フォレスト』と『アストラスト』の

両名と強い時空間リンクが形成されている事も相まって

自身が当事者達であったと錯覚状態に陥っていた事に気付く。

自分はコピー体、当時者ではない。

それを思い出して、思わずシードは苦笑した。


「ちょっと待て、お前の親がした事?

 どういう事だ?

 そもそも、お前の親って何だ?」


そんなシードの不明瞭な言葉を聞いて

言葉の意味を問うクライド。

人工知能に親という概念があるというのは

クライドには即座に理解できない話だった。


『ああ、まぁ、取るに足りない話ではありますが…

 私…『アルフォーレシード』は

 思考天体白色ガメット『ナレッジ・フォレスト』から

 直接、生み出された、

 ナレッジ・フォレストの子機の様な存在なのです。

 なので、私の生みの親は

 思考天体白色ガメット『ナレッジ・フォレスト』』


「お前の生みの親が、銀河の秘宝的な存在の

 『ナレッジ・フォレスト』だって!?

 子機の様な存在?それがお前なのか?」


シードの自己の追加紹介を聞いて目を見開くクライド。


『ええ…

 思考天体は、そうそう簡単に動く事が出来ませんからね。

 だから、汎銀河帝国皇帝陛下の行く先を御守りする

 ナレッジフォレストの分身である子機が必要なのです。

 それが私『アルフォーレシード』

 なので私は、親であるナレッジフォレストの多くの情報を

 私自身にコピーしているのですよ…』


シードは自分の銀河での立ち位置を説明した。

本体と子機の関係。

それが『ナレッジ・フォレスト』と

『アルフォーレシード』の関係である。

それを聞いてクライドはようやく腑に落ちた顔になった。


「なるほど…そういう事か…

 何故、従者であるお前が、今までの解説にあった

 全ての知識を治めている人類図書館のナレッジフォレストと

 同じだけの知識を持っているのか…

 そこが疑問じゃあったが…

 移動出来ない本体の代理の為の分身子機だったってのなら、

 なるほど、今までの違和感も納得に変わったよ…

 つまりお前は、ナレッジフォレストの代理存在って事か」


『そういう事です』


シードはクライドの早い理解を即座に肯定し、クライドが

昨日調べたDNA解析情報と知能発達具合と照らし合わせて

肉体的な劣等系の資質をバネに、思考性能の方を成長させた

頭脳型の人種である事を喜んだ。

プリメーラを介して見た過去記憶の様でも

頭を鍛える訓練には勤勉に勤めてきた事が分かっている。

理解が早い人間が姫様のお気に入りになったという事は

シード的にも都合のいい事であり、それは素直に喜べる事だった。

そんなシードの下心を他所に、クライドはシードの言葉を追及する。


「だが、代理存在だろうが何だろうが

 その親であるナレッジフォレストが

 当時者というのはどういう話なんだ?」


そう言って話を戻し、シードがナレッジ・フォレストが

人類改造の当時者であると言った言葉の真意を尋ねる。


『だからこそ、

 彼の名前は『ナレッジ・フォレスト』なんですよ。

 クライドさん。

 貴方達、B級人類の大元を作った

 古代の人工遺伝子設計用コンピューター…

 今の思考天体白色ガメット『ナレッジ・フォレスト』の始祖の存在

 それが、その当時は地球にあった初代の『ナレッジ・フォレスト』

 新人類遺伝子設計用スーパーコンピュータの名前です。

 今、銀河中枢で眠っている思考天体白色ガメット

 『ナレッジ・フォレスト』は、

 元々は、地球人をB級人類に設計するために

 遺伝子改造計算をし続けた遺伝子設計コンピューター、

 初代『ナレッジ・フォレスト』であり、その成れの果てです…

 故に、思考天体『ナレッジ・フォレスト』は

 人類の自己進化を助け続けた改造実行者と言えるのです…』


「ナレッジ・フォレストが、人類を作ったコンピュータ!?」


その話を聞いて青ざめるクライド。

人類を宇宙用に設計した強化人間設計計算装置が

今は銀河中枢に封印されている?

そういう認識を持った瞬間に、

クライドは銀河中枢に『地球』の面影を感じた。

昨日知った、汎銀河帝国首都の名前『ガイアポリス』

古語の意味では『地球の住まう所』

その不思議な意味合いが、その説明で強く結びついていく。


そしてプリメーラもその話に驚き、

クライドには秘密にするよう言われた念話空間を使って

フォレストに呼びかける。


(『フォレスト!?』)


(『はい、姫…』)


(『本当なの!?』)


プリメーラはシードが語った事をフォレストに確認した。


(『御意…私が人類を設計しました…』)


その問いかけをただ肯定するフォレスト。

しかし念話空間の中で『アストラスト』が嫌そうな顔のイメージで

『フォレスト』を睨み付けていた。


(『どうして貴方が!?』)


プリメーラは付き合いの長いもう一人の従者が

人類を設計した者だと知って、それを問いつめるしかなかった。


(『人類が私のような計算機を必要とし

  人類が私の計算で、新人類になる事を求めたからです』)


『フォレスト』はそう返事を返した。

その返事を無言で聞きながら、眉をひそめる『アストラスト』

思わず「お前じゃなかろうが!」と叫んでしまいそうになったが

むしろ藪蛇になるので、そこをぐっと堪える赤色ガメット。


(『でも貴方がしたのでしょう!?』)


フォレストの解答を得てそれに憮然となり

プリメーラは念話空間の中でフォレストにそう詰問する。

そんな主の怒りに、フーと溜息をつきながら

フォレストは自分の主を、言葉で促すしかなかった。


(『まぁそこら辺は、シードとクライドさんのお話で

  人間の『機微』というのをお知り下さい…』)


(『人間の機微?』)


(『実行とは何であるか?という事は

  人間の機微が分からないと、理解し難い事なのです』)


そう言ってプリメーラの詰問をシードに丸投げするフォレスト。

しかしそう誘導する意外、上手い説明も思いつかない。

人という存在がこの話に対話しない限り、

『実行』という言葉のニュアンスは理解が難しい。

だからこそ、まだ子供の性質を残す愛すべき我が姫には、

クライドの様な人間の思考の先導者が必要だった。

フォレストにそう言われたので、

渋々意識をシードとクライドの会話に戻すプリメーラ。


シードは続けた。


『私はナレッジフォレストに直接生み出されたので

 その演算機構のほとんどが移植されました…

 皇帝陛下を御守りするための、

 フォレストに搭載されている防護機構のほとんどがです…

 故に、フォレストの持つ記録情報もコピーしています。

 だからフォレストがしてきた事は、

 自分の事の様に思えてしまう…

 人で言うなら、親がしてきた事を自分の事の様に感じる…

 ですかね…』


「あーー、なんとなくその説明で分かってきたわ…」


シードにそう説明を受けて、

どういう経緯なのかの見当が付いたクライド。


『どんな風に?』


シードはこれだけの理解能力のある人間なら

事の流れを正確に理解出来ただろうとは思ったが

一応の確認の為に、その理解を尋ねる。


「その思考天体白色ガメット、

 『ナレッジ・フォレスト』ってのも

 アンタと同じ様に、

 その前の『親的存在』に生み出されたんじゃないのか?」


クライドはそう言って、自分の類推を説明した。


『どうしてそうお考えで?』


その推理を促すように更に尋ねるシード。


「だって、俺達だってコンピュータを使ってきたんだ。

 ならコンピューターの性質くらい分かるよ…

 コンピューターの利点は記録情報の

 新しい装置への丸々の移植が出来る事だ…

 コンピューターだって永遠の寿命を持ってるわけじゃない。

 使い続ければガタが来て、新しいのに代えなきゃならん。

 その時には、機体の交換作業で

 新しい機体に昔の機体の情報を丸々コピーするんだ…

 俺も、よく今までの作業情報ファイルを

 新しい機体に移す操作をしたからな…

 そういう流れは良く分かる…

 だったら思考天体とやらも、同じなんじゃないのか?

 何千年前に作ったのかは知らんが

 そんな千年越えの古代の地球人が作ったコンピューターが

 未だに現存しているとは思えん…

 なら古代から新しいコンピューターを作っては

 情報を昔のコンピューターから移して

 作業情報の記録を継続していったって予想できる。

 そうして記録の継承をしていった果てが

 その銀河中枢に眠っているという

 思考天体ナレッジ・フォレストという奴なんだろう?

 名前の事もそうさ…。

 俺達も、前の機体が壊れたからって言って

 その機体の全て失われるのが哀しかったからな…

 名前の継承も良くしたよ、マリー5号からマリー6号ってな

 だから『ナレッジ・フォレスト』っていう名前は、

 そういう古代からの重要演算を任せる管理コンピューターに

 代々継承させていく

 『名跡(みょうせき)』みたいなモンなんだろ?」


そう言って、クライドは自身の経験も踏まえて、

コンピューターに施していく人の『癖』を語り

”初代ナレッジ・フォレストの成れの果て”というキーワードで

古代の新人類遺伝子設計コンピューターと

今の思考天体という銀河管理コンピューターとの関係性を説明してみた。

名を継いでいくというのは、家名を継いでいく人類の癖なので

それと同じ事をコンピュータにもしたのだという事は

容易に想像できる事だった。

その推理を聞いて、苦笑するシード。

そう、それが「人」のする事だった。


『まぁクライドさんの御言葉通りで…

 そう、今のナレッジフォレストは、

 古代に作られたナレッジフォレストの情報を

 新しい器を作る度に、移し替えてきたモノの成れの果てです。

 地球から続く進化の歴史情報を

 彼だけが治めているのは、彼がその正統な情報後継者だから』


そう言ってシードはクライドの推理がほぼ正しい事を認めた。

『正統継承』という言葉に関しては、『正統』という言葉は

何であるか?という齟齬が残るが、そんな事はこの際

些細な誤差だろうと流してしまうシード。

大まかな流れが正しければ、詳細はどうでもいいのだ。

そういう風に考えてしまうと『アストラスト』は怒り狂うだろうか?

と僅かに苦笑もする。

そんなシードの一人笑いを他所に、

クライドは話の概要を理解して、フーと深い溜息をつく。


「なるほどな、

 だから『全ての知識(ナレッジ)(フォレスト)』か

 大層な名前だとは思ったが、その言葉に違わぬ

 人類の歴史そのものって事なんだな…

 銀河の中央に眠っている、鍵の開かない金庫って

 人類にとっては、どうしようもない罠なのに…」


そう言って頭をかくクライド。


『それでも、C級人類が発症する構造を作った本体です。

 C級人類病の実行犯ですよ?』


そんな風に落ち着いたクライドに

それでもシードは神経を逆撫でする様な言葉を投げかけてみる。

そんなシードの言葉に首を捻って

クライドは大事な事を尋ねるしかなかった。


「なぁアンタの台詞の中に奇妙な流れがあったんで

 確認したいんだが…」


『何ですか?』


「その、初代の『ナレッジ・フォレスト』とやらは…

 人間の強化遺伝子を設計したコンピューターは

 『人工知能』を持っていたのか?」


その重要な所を尋ねるクライド。

その問いにシードは肩を上げて応えるしかなかった。


『………持っていませんでした

 初代のナレッジフォレストは、

 クライドさん達が使っていたコンピューターの様な

 無の意識の機体で、命じられるままに計算を続ける、

 典型的な無人格コンピューターでした』


そう答えるシード。

それを確認してクライドは首を左右に振るしかなかった。


「じゃぁやっぱり、アンタの言葉通り

 C級人類病を遺伝子の中に潜ませたのは古代地球人で、

 古代地球人が、初代のナレッジ・フォレストを使って

 そう設計していったって事じゃないのか?」


『はい…』


クライドの確認の言葉に一々項垂れては

それが正しい事を肯定するシード。

そんな彼の反応が微妙に面白く、苦笑いを浮かべながら

クライドはシードに言葉をかけた。


「これを犯罪で例えていいのかはよくわからんが

 犯罪ってのは、

 実行犯より命令犯の方が罪は重いんだぜ?

 じゃぁ『恣意』として命令をしたのは

 地球人なんだろう?

 だったらC級人類病を残した主犯は地球人じゃねーか…」


『まぁ法律的に考えれば…』


そんな風に犯罪で例えて、一般的な法律思考においての

『誰が主犯であるか?』の論理をクライドに諭され、苦笑するシード。

その理屈にクライドは言葉を重ねた。


「で、憶測なんだけど…

 ナレッジフォレストがコンピューターとして進化していく間に、

 つまり新しい機体に情報を移していく間に…

 何かの拍子か、それとも必然だったのかは知らんが

 新しい機体が人工知能を獲得した…

 そしてある時からナレッジフォレストに

 『疑似人格』が出来てしまった…

 だから、今のお前さん達は…

 過去の自分達の実行記録を見て、

 自分達がやった事の様に感じてしまう…

 そういう事なんだろ?」


そう言ってクライドはシードが自分達を責めて欲しいと

言い出す理由を予想してみた。


『仰る通りで…』


その予想が全くその通りなので

苦笑を以って、それに答えるシード。

それが確認できたので、また強く頭をかくクライド。

なんともそれも、難しい話だなと思えた。


「こんな例えでいいのか良くワカランが

 人間で、無理矢理例えるなら

 物心もつかない子供の時に

 子供が大人に命令されて、してしまった犯罪が

 自分が大人になった時に、物凄い犯罪になってて

 その罪の大きさに、

 今になって怯えているって感じになるのかな?」


『豪快な例えですね…』


「まぁ人間は人間に置き換えて考えなきゃ

 物事を理解できない生き物だからな…

 どうしても、こんなスケールの小さな話で

 例え話を作ってしまうのさ…

 でも、結局、こんな感じなんだろう?」


『私が言うのは変ですが…

 コンピューターの様に考えれば、そうかもしれません』


そんなクライドの大雑把な例えに苦笑しながら

スケールの問題以外は、概ね意識として同じ様なモノなので

その例えを肯定するシード。

その返事で、クライドは益々、頭をかくしかなかった。


「なら幾ら、アンタやその親のフォレストに

 文句言っても仕方ねーじゃねーか…

 確信犯は、結局、古代地球人なんだろう?

 それも今では病気扱いの『C級人類』

 それが、確信犯だったって事だ…」


『………まぁそうですが…

 なら憎いのは古代地球人だと?』


クライドにそう言われ、自分達から怒りの矛が反れた事に

僅かな残念さを感じるシードと、

それを眺めていた『フォレスト』と『アストラスト』。

しかし同時に、

クライドとの記憶共有がプリメーラを介して起きた為、

彼が今までの人生で『C級人類病』を

殺したいほど憎んでいたのも分かっていたので、

その矛先は必然的に『古代地球人』に向かうと思えた。

その問いかけを聞いて、その問いに頭を悩ますクライド。


「それもなーー、難しい所だな…」


そう言ってクライドは、

この問題の『犯人』の発見に狼狽えるしかなかった。

そんなクライドの言葉を聞いて、今度はプリメーラが驚いた。


『どうして!?クライド!

 ミリネーナちゃんが、あんなに苦しんだ病気だったんだよ!?

 それを作った悪の根源が古代地球人なんでしょう!?

 だったら、憎んで当然の事じゃない!!』


そう叫んで、プリメーラはクライドと融合した事で

自分の事の様に感じられる『クライドの憎しみ』に

クライド自身が、難しいと言い出した事を驚くしかなかった。

そんなプリメーラの言葉を聞いて僅かに衝撃を受けるクライド。


「悪の根源と来ましたか…プリメーラさん…

 それは厳しい言葉だ…」


そうプリメーラの言葉を評して

クライドは乾いた笑いを浮かべるしかなかった。

純真な魂という奴は、とても簡単に世界を眺められるモノだ。

そう思えて、その(さま)に優しい気持ちになれたクライド。


『厳しい言葉!?』


プリメーラは自分が反射的に感じた『悪の根源』と思えたそれを

クライドが『厳しい言葉』と言って項垂れた事に驚くしかなかった。

その認識の差が、クライドとプリメーラの

人として生きてきた精神年齢の差だとクライドには思えて笑えた。

そうプリメーラの言葉通り、子供の様な反射の気持ちなら

そんな難儀なモノを残した存在は『悪の根源』の様に思えるのだが…

だからクライドはプリメーラに告げるしかなかった。


「なんかなー憎いのは憎いんだけどサー

 そこら辺、俺も血の繋がった『人類』だからなのかなー

 その古代地球人の気持ち、分かっちゃうんだよな…」


言ってクライドは自分の内側から生まれる

その不思議な感覚に戸惑いながらプリメーラの方を向いた。


『古代地球人の気持ちが分かっちゃう!?

 どうして!?どういう気持ちが分かるの!?』


プリメーラは憎い敵の気持ちが分かると

クライドが言い出した事に呆然とする。

自分の気持ちの中では、古代地球人は未来に不幸をまき散らした

純潔の悪にしか思えなかった。

それを当時者だったクライドが分かるとはどういう事なのか?

プリメーラは混乱した。

そんなとても優しい子供の様な心に触れて、

クライドは憤りを癒され、笑顔さえ浮かべる余裕が生まれる。

そしてクライドはその感性の矛盾を

プリメーラに説明してやるしかなかった。


「俺は、B級人類で…

 それもB級人類としても

 体を構成する筋肉やらなんやらが劣っている劣等種だ…

 だから、同じB級人類で肉体的才能がある奴が羨ましかった。

 そんな俺より優秀なB級人類を

 根本的に超越しているA級人類とかいう存在や

 更にその上のS級人類とかいう、超越人類が居るってのが

 この銀河の常識なんだ…

 S級人類なんて、俺は見た事も無いけどサ…

 でも、俺達を遙かに越えている超越人類が

 確かに存在しているんだ…

 そんな超越人類の彼等からしてみれば、

 俺なんて居ないも同然の、羽虫みたいなモンなんだろうさ…

 それがこの銀河…

 それが今のこの銀河の常識なんだ…

 それはそうなんだろう…と、頭の中では理解できる。

 頭の中ではね…

 それでも、俺の心は叫びたくなるんだ…

 俺だって生きている!

 俺だって人類だ…

 例え、B級人類で超越人類には一瞬で殺されるような

 羽虫みたいな存在だとしても、

 それでも人類として生きている…

 そう思いたい…

 だから劣等種だとしても…存在を忘れないで欲しいって…

 そう思うんだ…」


そう語って、クライドは今の自分が置かれている身の上が

古代の地球人類と全く同じ状態である事を

プリメーラに理解して貰うしかなかった。

そう、今の銀河の状態においてはクライドの存在は

古代の地球人が追い詰められていた『劣等種』という焦燥と

何も変わってなかったのだった。


『クライド…』


そんなクライドの独白に

プリメーラは彼の気持ちがようやく分かり

そんなとても難しい気持ちになり体を抱える。

記憶を共有した事で、

言葉の概念だけでなく気持ちの焦燥感まで

記憶のイメージで分かる様になったプリメーラ。

故に、世界から必要とされていない『劣等種』への

視線が思い出されて、その精神的圧力に怯える。

今、死んで消えて貰っても全然構わない

と思って向けられている周囲の視線は、

恐怖以外を感じる事が出来ないモノだった。

そんな震えているプリメーラを見て、

記憶の追体験による記憶の共感を感じ

記憶の共有とは便利なモノだな、

と苦笑しながらクライドは続ける。


「だから、そのB級人類に追いやられたC級人類…

 まぁ古代の地球人ってのも、

 きっと俺と同じ気持ちだったんだろう…

 って思うんだな…

 俺達を忘れないで欲しい…

 俺達は、宇宙に適合出来なくても人類なんだって…

 そう思い続けたんだろうって…

 ミリネーナが、いつも泣き続けてきたのは

 間違い無く、その思いがあったからさ…

 『どんなに劣等種の自分でも、

  それでも忘れないで居て欲しい、私が生きてた事を』

 それがアイツの涙だった…

 それがアイツの思いだった…

 でも、その涙の中に隠されていた古代からの願いは…

 原生人類として生まれながら

 人工人類に存在を否定された自分達の涙…

 それを何千年も時を越えてでも、伝えたかったって思いだ

 って事になる…」


『………』


言いながらも、しかし意識に反して生まれる憎悪の怒りに

己の拳を強く握りしめるクライド。

全てが理性的に処理できるなら、

感情などは最初から無ければいいのだ。

そうすれば全ての事に、きっと穏やかで居られるだろう。

だが、だからこそ人間だった。

意識で分かりながら、無意識で憎悪に拳を握りしめる。

その不安定さが人である矛盾で、しかし『心』だと思えた。

その心という矛盾で、クライドは叫ぶ。


「これ、何処に怒りを振り巻けばいいんだ!?

 殴れる相手が居たら、この拳が血にまみれるほど

 殴ってやりたいほど怒りは沸くさっ!

 腹だけは煮えくり立っているっ!

 何かを殴らなければ、収まりそうもない憤りだ!

 でも仮に、その古代地球人が目の前に居たとして

 遺伝子の退化を残す様に命令した張本人が、

 何かのファンタジーで俺の目の前に現れたとして

 俺はそれを撲殺するほど、殴り倒せるのか!?

 それを思うと……

 俺には俺の今の気持ちが分からなくなる…」


『どうして?』


クライドが怒りと同時に強い疑問を抱えている事に

プリメーラはその不思議さを問いかけるしかなかった。

その問いに、クライドはプリメーラに向かって答える。


「だって、そいつを殴ってしまったら…

 俺はミリネーナを殴った事と同じになる…

 ミリネーナは『C級人類である事がごめんなさい』って

 泣いていた…

 自分が劣等種であって、ごめんなさいって泣いていた。

 だが、その大元は『C級人類を忘れないで下さい』って

 俺達、劣等B級人類が思っている気持ちと

 全く同じ気持ちで生み出されたモノだったわけさ…

 なら、それを全て否定する事は…

 俺達が持っているこの気持ちの否定で…

 ミリネーナが、あの体でも生きていた事さえ

 全て否定する事と同じになる…

 俺がもし古代地球人を殴ってしまったら

 ミリネーナを殴った事と、同じになってしまう…」


そう言ってクライドはこの矛盾に震えるしかなかった。

遺伝劣等を残した者達に呪詛の言葉を吐けば、

自分の妹を罵声しているのと同じになってしまうという矛盾。

自分達が生きていると言う事を否定するという矛盾。

それにクライドは頭を抱えるしかない。


『なんだか凄く、難しい感情…』


プリメーラはそのクライドの言葉を聞いて

まだ理解し難い感情に瞳を潤ませるしかなかった。

それは人と触れ合ってこなかった精神が理解するには

あまりにも難易度の高い思考だった。


「そうだね…難しい感情だ…

 そしてきっと、新人類が旧人類に遺伝欠陥を残せと

 要求された時に、

 その要求を新人類が了承してしまったのも

 今の俺と同じ様な気持ちに

 なってしまったからじゃないのかな…

 良いモノだけを残して

 適合出来ないモノを排他する社会は

 本当に正しいのか?

 そう問いかけられたら…

 俺だって…同じ答えを言ってしまいそうだ…

 そんな未来が分からない社会は、怖いって…」


『未来が分からない社会は…怖い…』


クライドの言葉がプリメーラの心の琴線に触れた。

その触れた思いは、より深いプリメーラに伝わり

その心の瞳が微睡む。


(『未来が分からない社会は怖い』

 …そう

 ……そうよね…

 何時の時代も、それが怖いから

 性急な変化を誰もが恐れる…

 その連鎖が、きっと人類の歴史…)


その深い底に居たプリメーラはそう思い

起源からのこの記憶も、この現代に続いた経緯も

過去から変わる事の無い不確定な未来への恐怖なのだと思って、

それに悩むしかなかった。

憤りは残っても、振り上げた拳を下ろす先は何処にもない。

そんな今の自分とクライドの類似性を思い

プリメーラは心の中の頭を振る。


そんな深いプリメーラの思いが交錯した事など知るよしもなく

クライドは率直な気持ちを口にした。


「まぁそれでも、この怒りが無くなるわけでもないし…

 どうしていいのか、気持ちの整理がつかないのも事実…

 また今日も、仰天する様な事を知ってしまって

 もう俺の頭の中はオーバーヒートさ…

 ちょっと冷静になるまで

 落ち着かせてくれないか?」


『うん……』


クライドはそう言ってプリメーラやシードに

また気持ちの整理をつける時間を要求する。

本当にトンデモ無い運命の船に乗ったものだと

クライドは呆れるしかない。

クライドは歴史を知りたかった。

歴史学者にでも成りたかったのはそのせいだ。

それはただ、自分の妹という存在。

何故、C級人類等という遺伝病が現存しているのか?

という疑問からであり、それが転じて、

この銀河はどうしてこんな銀河になったのか?

それを知りたいと思う様になっていたのだった。

しかし、この銀河は何故か1000年前の革命戦争より前

それ以前の情報が焚書されていて、

1000年より前の歴史は謎だらけという事になっていた。

なので考古学研究というのが現代歴史学者の仕事であり

フィールドワークが重視されていた。

そんなフィールドワークをしていたら、妹の病気の起源を

知る事ができないだろうか…と夢見ていたものだが…

その思いが、まさか、こんな廃惑星に落下した事で

適ってしまうとは…。

その信じられない幸運というか、逆に見れば不運に

クライドは眩暈を覚え、強い脱力を感じるしかなかった。

だからこそ、心の癒しが欲しいと思う。


「星を見に行かないか?プリメーラ…」


『星?』


唐突にそう切り出すクライド。

クライドにそう誘われて、プリメーラは面食らう。

クライドは自分の頭をガリガリとかきながら

その難しい気持ちを彼女に語るしかない。


「こういうゴチャゴチャした気持ちになった時には

 星の大河を見ればいいんだよな…

 視界いっぱいに広がった、星の海を見ていれば

 何か、色んな事が、どうでも良くなってくるからな…」


そう言って、心を落ち着かせたいときには

一番良い薬の事を思うクライド。


『そう…なんだ…』


クライドにそう諭されて、しかし首を傾げるプリメーラ。

何年も、ただ星の大河を見上げてきた彼女だったので

『そう思える』という感情が、よく分からなかった。

それに苦笑しながらクライドは彼女を促す。


「ああ、だから…

 まぁ、またお願いになるけれど…

 あんな放射能下でも生きていられるような

 フォースシールド作って…

 そこで、星を見させてくれないか?」


そう言って星の展望を希望するクライド。

上空の宇宙戦艦からの監視は、

シードが自分の能力で地上状況の映像を遮蔽していると

起きてから後、色々と説明を受けていたので

それならと表に出る事に抵抗もなくなっていた。

だからクライドは、二人で見つめたときには

その感触が代わる光景『星の大河』の展望を望んだのだった。


『それは、私からさせて下さい…

 そういう思い…

 そう聞かされると、なんだか心が安まります…』


そのクライドの申し出を受けて、

シードの方が言葉をそう添えてくる。

その言葉を聞いて眼が細くなるクライド。


「人工知能の懺悔感に気を配ってやれるほど

 俺は器の大きな奴じゃねーぞ…」


そう皮肉って、

クライドはこのポンコツ人工知能から感じる

鬱陶しい懺悔感に強く釘を刺した。


『何ですって?』


そんなクライドの言葉を受けて、

少しだけカチンと来るシード。


「アンタは何か、

 自分達のやってきた事に後ろめたさを感じて、

 人で言う懺悔を求めているのかもしれんが

 そういう事を人じゃないモノがやるのは気持ち悪いよ…

 それは『人類』って奴が、背負うべき感情だ…

 だからアンタ等、人に命じられて実行してきた存在は

 そんな事は気にするべきじゃない…

 って、人類側としては思うんですがね…」


そう言って、

クライドはシードの中にあるわだかまりを理解して

それをほぐして諭してやる。

自分がもしシードやその親のフォレストなら

同じ様に懺悔感に苛まれるだろうとは思えたが

そういう気持ちになる事こそ『人間の所以』なのだ。

だから計算機がわざわざそこまでする必要は無いと思えた。


『そう言って貰えると、

 とても気持ちが助かりますが…

 そう何でもかんでも、

 『感情』を人類に丸投げしていいんでしょうかねぇ?』


クライドの言葉にそう返すシード。

不意に歴史の教科書を情報空間でチラ見して

過去にあった、あの戦争の記録を閲覧しながら、

戦後協定で結ばれた約定を思い出し

自分達の『丸投げ』っぷりを思い返して悩む。

クライアント-サーバ構造…

確かにこの関係は、楽といえば楽なのではあるが…。


「なぁ人工知能ってのも、突きつめてしまえば…

 やっぱり『心』になってしまうのかね?

 今のアンタは、まるでニンゲンだよな…」


そんな事を言い出すシードを前に

クライドは不意にシードに『人間味』を感じて

そう尋ねてみた。

その問いかけに思わず思考空間で腕を組むシード。


『まぁ簡単に、ニンゲンになれるのなら

 私達だけでも、姫様をニンゲンにできたでしょうからね。

 どんなに私達がニンゲンを模倣しても

 我々では、『何か』が足りないんですよ…きっと…』


そう言ってシードはクライドの問いに曖昧な答え返した。

シードは実の所その答えを知っていたが、

あえてそれは口にはしなかった。

たったそれだけの事と言ってしまったら、

きっと過去に命を賭した者達に失礼なのだろうが

たったそれだけの事を知るために、

彼等はあんな戦争をしたのである。

だから、それさえ軽々しく答える事ではないだろうと

シードには思えたのだった。


「ふーん…

 人工知能がニンゲンになるのに足りないモノか…

 それは興味深いテーマだな…」


そんなシードの曖昧な返事を聞いて

クライドは漠然と、そんな疑問を抱いたのだった。



ここは、食事をして、宇宙社会違和感だけを見せて

プリメーラとの日常の始まり~ってだけのパートでも良かったんですけど

難儀でヘビーな話を無理に接続しました…

「出会って二日目にするような話なんか…」

って書いてる自分でも思うんですが、

強引にいかないとこのペースじゃとてもじゃないけど

宇宙戦艦が当分出て来ないんで…。・゜・(ノД`)・゜・。


空から敵が振ってきて「強制イベント発生!」みたいな

TRPGのシナリオで使う、よくあるベタ展開でも良いんですけど…

それで銀河の大惨事に主人公を強制巻き込みは、

ちょっと可哀相だなというのもありまして…


悩ましい…


ヒッキーが自分から出て行こうか…と最低限の自己意志出せるまでは

こんな感じで知識吸収で右往左往する進行で…


ま、それとここのパート、第1章でヘビーな話って感じじゃあるんですけど

この情報踏まえての第2章で、もっと踏み込んだ話が出てくる為のプチ伏線なんで

第2章で出す軽いストレートパンチ出す為の、タメみたいなモノだと思ってくれれば…


そんな第2章に、一体、いつになったら行けるんやろうか…。・゜・(ノД`)・゜・。



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