再生
後輩
「ごめん。風間っている?」
1年1組の教室の前。
1組だと思われる子に亜莉寿を呼んでほしいと頼んでいた瞬間、綴灯に大声で泣きながら人が抱きついてきた。
「うわあああああ!センパイ……!!!無事で、本当に、良かったです…!!」
亜莉寿は綴灯に抱きつき涙を拭っていた。
綴灯は本当に迷惑をかけたと改めて実感してしまう。
亜莉寿を安心させるように綴灯は亜莉寿の頭の上に手を乗せた。
「…ごめんね…。もう、大丈夫だから…。心配してくれて、ありがとう。」
頭を撫でると亜莉寿は顔を上げまだ涙目な目でニコッと笑う。
そして、綴灯は手に持っていた紙袋を亜莉寿に渡した。
「はい、これ。…この前家にお邪魔した時のお詫びできてないなって思って…。ショッピングモールで見つけたお菓子なんだ!貰ってってよ。…そして…また、誘って。」
そう言って笑う綴灯から亜莉寿は紙袋を預かり涙を拭い、笑顔で言った。
「はい!!もちろん!!!」
本当にかわいい後輩だなと綴灯はそう思った。
⬜︎
「ごめん、急に呼び出して…。」
「いや、全然大丈夫です。…寧ろ…少し嬉しいです……。」
屋上にて。
綴灯は亜莉寿にお菓子を渡したその後、教室にいた凪に声をかけ2人で屋上に来ていた。
2人はフェンスにもたれかかり綴灯は空を見上げる。
凪はそんな綴灯を見ていた。
「…あの…本当に、すみません…」
「……凪が謝る必要はないよ。」
…ずっとあの日のことを謝りたかった。
急な幼馴染からの告白。
びっくりしたし嫌な気分になっても仕方がない。
それを謝りたかったのだ。
しかし…
「逆にこっちが謝らせて欲しい…本当にごめん…。」
「そんな…」
凪は綴灯からの謝罪を聞きたくなかった。
…もう、悲しませるのも、悩ませるのも、嫌な思いをさせるのも嫌だった。
いつまでも自分を責めてしまう綴灯の性格…。
凪にはどうすることもできなかった…そう思っていたその時……
「それと、ありがとう…!!!」
「っ…!!」
凪はびっくりして綴灯を見た。
凪から見ると眩しいくらい笑っている。
それがなんだか嬉しくなった。
「オレ、あの日から考えたんだ。好きってなんだろう。オレの好きとは何だろうって…。オレは、写真が好きだ、かわいいものも好きだ。だけれど、それは凪が言ってくれた好きとはまた別のもので。考えて、考えて…。だけど…」
綴灯は凪を見て少し苦しそうに笑った。
「…オレには、少し難しい問題だったみたい。」
凪は目に涙を浮かべてしまう。
「ありがとう、ございます。…大好きなんです。小さい頃から…。…ただ、それだけです……。」
凪は下を向き目から涙が溢れた…。
そんな凪の背中に綴灯は優しく腕を回した。
「本当に、ありがとう…。…凪も、大きくなったな…。」
綴灯は凪の背中をさする。
凪は余計に涙が止まらなくなってしまった…。
「…綴灯さんの方が…よっぽど年上ですよ……。」
そう言って2人、笑った。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
こちらESN大賞11応募作品です。
次回更新9月26日土曜日予定




