↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
証。  作者: 成瀬摘希
第二章:生涯生きる上での障害
PR
12/19

目覚め

しまっている


─夢を見たんだ。


目を開けると目の前に知らない女の人が立っていた。


その女の人はとても綺麗で…綴灯が求めているかわいいを全て持っている人だった。


とってもかわいかったのだ。


目をキラキラさせながら見ていたら女の人が話しかけてきた。


「交換してあげようか?」


優しくそう聞いてきて、その言葉にすぐ頷いてしまった。


体が交換され気づいたら目の前から女の人がいなくなっていた。


…なんだか、嬉しかった。


これだったら周りの人たちからも変に見られることはない…。


…なんだけれど。


気づいたら…涙が溢れていた。


しかも、これは…嬉し涙ではなかった…。


なんだか…なんだか、自分じゃないようで、気持ち悪かった……。


「…っこんなの…オレじゃない…!!…違う!!!!」


そうずっと、夢の中で泣き叫んでいた……。


⬜︎


 「……んっ…」


なんだか…頭がぼーっとする。


目を開けるとそこは見慣れない天井…。


目からは涙が溢れていて枕が湿っていた。


そして、なんだか、全身だるくて…


「……お兄ちゃん…?」


隣から、びっくりするような、驚きと喜びが入り混じったような声が聞こえる。


そして、その声は大きくなった。


「…お兄ちゃん!!わかる?!!今すぐ看護師さん呼ぶね!!!!」


はなが顔を覗いてきて慌ててナースコールを押す。


その時、気付いてしまった…


「…まだ…生きて……しまって…いる…」


─綴灯の目からは再び涙が溢れかえった。


⬜︎


「本当に危なかったです。あと少しでも発見が遅れたら、薬の量が多かったら…。今回は本当に良かったです…。」


医者が何か言っているけれど、難しいことは綴灯にはよく分からなかった。


…でも、分かったこともあった。


あれから5日間意識がなかったこと。


薬の大量摂取には超えてはいけない数値があるらしく綴灯はそのラインを思いっきり越していたこと。


そして…あと、もう少しで死ねたこと……。


この綴灯が眠り続けた5日間で周りの人の間では綴灯の自殺未遂が話題になっていた。


綴灯自身本当に迷惑かけたと思っているが、こんなにも心配させていたならまだ死んだ方がまし…そうも思っていた…。


「…はあ……」


今は普通の入院室だが、意識がなかった何日間かはICUにも入っていたそうだ。


点滴が刺さっている自分の腕を見る…。


本当に惨めだな…。


なんで、まだ生きてるんだろう…。


そんなことを考えると涙が流れた。


それは、止まることなくどんどんと枕を濡らしていく…。


「…オレは、これから…っどうして、生きていきたいんだろうな…」


社会に、世界に、当たり前のようにある生きづらい壁。


そんなこと自分で決めたいのに…。


大きくなって、高校生になった今でも、ぐるぐると悩み続けている……。


「自殺未遂とかしといて…まだ、周りに迷惑…かけるのか……?」


本当の自分を他の人に伝えたいのか、守っていきたいのか…それすらも、もう分からなかった…。


「…オレは…もう、生きてちゃダメだろ…」


手で、止まらない涙を拭う。


そんな自分が一番嫌いになってしまった…。


⬜︎


 「…っ!はなさん!!」


「蓮音さん!!!」


はなは蓮音の姿を見つけると走って行く。


病院の待合室。


今回助けてもらった蓮音にどうしても感謝を伝えたかった。


「あの…蓮音さん…その…」


しかし、はなが何から説明しようかと言葉を探している途中に……


「…!お母さん……」


はなの隣から母が前に出て…蓮音の前で頭を下げた。


「本当に…ごめんなさい…。」


「え、ちょっと…!」


「嫌な思いをさせて…。…決して、あなたのせいじゃないから…。本当に…ごめんなさい…。」


「………」


蓮音は何も言えず立ち尽くしてしまった…。


「……お母さん…。」


はなもそんな母を、見ているしかなかった…。


すると、母は顔を上げ、今度は蓮音をぎゅっと抱きしめた。


「…そして、本当にありがとうございます。あの時、蓮音くんが見つけてくれていなかったら綴灯は今頃死んでいて…。ありがとう…。綴灯と…いつも仲良くしてくれて…。綴灯が言っていたカメラ好きの子って、蓮音くんのことだったのね。」


暖かかった。


その言葉が。


その行動が。


なんだか、そう思うと蓮音は静かに涙を流した。


そう言って、母は蓮音から離れる。


そんな姿に蓮音は何も言えなかった…。


「…アタシからも!本当にありがとう…。お兄ちゃんには…蓮音さんみたいな、大事な友達が必要だよ…。」


─はなの目からも静かに涙が溢れた…。

最後まで読んでいただきありがとうございます。


こちらESN大賞11応募作品です。


次回更新9月12日土曜日予定


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。