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証。  作者: 成瀬摘希
第二章:生涯生きる上での障害
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遺書

いらない


【注意事項】

自殺・自傷行為に関する描写が含まれます。苦手な方や不快に感じる可能性のある方は、閲覧をお控えください。


「…………」


真っ暗な部屋の中。


綴灯は何もしていなかった。


ただただベッドに横になっているだけ。


起きる気力も寝返りをうつ気力もなかった。


スマホで時間を確認すると…3:17。


綴灯はこんなにもベッドの上で過ごしているのに眠りにつけなかった。


そんな時、ぐ〜っとお腹の音が鳴る。


「…っ……」


そういや、もう何日かご飯を食べられていない。


食べる気力も出てこない。


…でも、さすがに何か口にした方がいいと思った綴灯は、棚の上に置いてあるゼリーに手を伸ばした。


しかし…


「…ああ」


ゼリーなんて取れずどんっと大きな音を立てて綴灯はベッドから落ちてしまった。


「…………」


落ちたところで何も感じなかった。


─なんでこんなことになってしまったんだろう…。


やっぱり数日前の蓮音に知られそうで怖かったのが原因なのか…。


それとも凪の告白…?


穂乃里の優しさ…?


はなの…。


綴灯はあまり考えたくなくて目を瞑った。


あの蓮音とショッピングモールに行った日から学校も行けてない。


蓮音はもちろん藤原や谷川、宮本もびっくりしていることだろう…。


本当に迷惑なことをしている。


…この感じ…なにかに似ている…。


そして、綴灯は思い出したかのように目を開けた。


……中学の不登校の時も、こんな感じだったな。


何もかもやる気が出なくて気分が下がってしまって、最悪には…。


綴灯はそう思いその場で丸まった……。


⬜︎


 目を開けるとカーテンの隙間から太陽の日差しが差していた。


綴灯は少し眩しく感じゆっくりと目を開ける。


ベッドの下で寝てしまっていたみたいだ。


硬い床で寝ていたせいか少し体が痛い。


ぼーっとする頭を起こし部屋を見渡すと、やはり電気のついてない部屋は暗く散らかっていた。


11:43。


スマホを開き時間を確認する。


そして何件かメッセージが来ていたことに気付いた。


『お兄ちゃん。今日はみんな外にいるから今のうちにご飯食べてお風呂入っちゃってよ。全員、夕方まで帰ってこないから。』


はなからそんなメッセージがきている。


…夕方まで誰もいない。


綴灯はそんなことを思いスマホを閉じる。


…ご飯とお風呂、やはりやる気が出なかった。


再び、部屋を見渡す。


もういつのか分からないプリントや空きのペットボトル、空き缶。


買い物後に放置した紙袋まである。


もちろん壁には死骸の写真。


…すると、部屋の隅に落ちている、とある封筒を見つけた。


「…っあれは…」


綴灯は拾い上げ、文字を確認する。


そこには…


「……遺書…」


─それは、綴灯が中学の時に死にたいと思った時に書いたものだった…。


あの時は結局、病院に連れて行かれて何もしなかったけれど。


今生きていても辛くて、こう……苦しくて、難しくて…。


自分は周りの環境に恵まれている方だと思う。


周りの人たちが当たり前のように接してくれていて、優しくしてくれたことは綴灯にとってはものすごくありがたいことだった。


だけど……


「……っ……うっ…うああああ…」


涙を流して遺書を胸に押しつけた。


『え〜やばっ!そんな趣味あったんだ〜!』


『キモ…。普通に無理なんだけれど。』


『男のくせに』


『恥ずかしくないの?』


『変なやつ』


『騙された』


今までの言葉が思い出される。


なんで、今もこんなにも辛いのか…。


…どうして、自分がこうなってしまったのか…綴灯は気付いてしまった。


「…っいらない!!…もう、かわいいものなんて!!いらない!!!」


…机の上のかわいい小物を全て投げ捨て、お気に入りの服を全て床に捨ててしまう…。


そして…床に落ちていたカメラを拾い上げた…。


…今までの、自分のかわいいをたくさん残したカメラ。


そんな大事にしていたカメラを見ると…もっと辛くなってきてしまった……。


「…っこんなのいらない!!!!」


─綴灯は大切にしていた、カメラを思いっきり床に投げた。


…ガシャンっと、大きな音を立てて落ちたカメラのレンズが完全に割れてしまった。


「…よし、死のう。」


……もう、みんなに迷惑はかけたくなかった。


…ご飯もお風呂もやる気が出なかったのにこれだけはやる気が出てしまった。


涙を拭い、綴灯は奥からとある箱を出した。


─今まで溜め込んでいた薬たちだ。


……結局なんでこんなにも溜め込んでいたのか分からないまま、綴灯はたくさんあった薬を残さず全て、水で飲み込んだ…。


カーテンが閉まっているかを再確認し、スマホを遠ざけ、遺書を分かりやすいところへ置いた瞬間、立ちくらみがしてきてその場に倒れてしまう。


……それでも、綴灯はなんとも思わなかった。


自分の呼吸をする音だけが聞こえ、目を瞑るとたくさんの幻覚を見た。


もう、終わる…。


そんなことを思って意識を手放した……。

最後まで読んでいただきありがとうございます。


こちらESN大賞11応募作品です。


次回更新9月5日土曜日予定

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