表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/29

生意気厨二病赤猫

開いてくれてありがとうございます

楽しんでください

「…マフさん、なにしてんですか」

「………びっくりしたぁ…!」

そこに立っていたのは、腕を組んで、顔を顰めたアイカだった。

「だ、だれが、生徒が入ってきたかと…」

「バカなんですか???早すぎるでしょ。変身。ついてからでいいでしょ」

「うぅ…」

アイカはハァ…とマフに聞こえるようにため息をつく。

「ち、ちなみに…なんでここにあいにゃんが…?」

「もう、ちゃんも使わないんですね?舐められてます?」

「うぅ…」

マフは内心、

(えぇ?舐めてるのはそっちでしょ?私、一応学校では先輩なんだけど…?)

と思いつつ、言うとまた怒られそうなので、ぐっと言葉を押さえ込んだ。

沈黙の中、アイカが口を開く。

「…レイン…さんに…頼まれて、アナタを仕事場に送る事になったんですよ…」

「え?あ、そうなんだ……送る??」

「はい。なんか文句あります??電車使うよりいいでしょ?」

アイカは余計不機嫌そうな顔をしてマフを睨む。

「え、いや、どうやって…送るの??」

「…あぁ…」

アイカは「そういうことね」という顔をして、持っていた肩掛け式のスクールバックを開くと、ゴソゴソと漁り出した。

すると、カバンの中から「ニャ!痛い!」という高い声が聞こえてくる。

アイカは「うっさい。」と冷たい声を吐き捨て、何かを取り出してマフに見せる。

「…これは」

アイカの手の中で、もぞり、とそれは動いた。

出してきたのは、ゴンザレスにどこか似た――けれど、もっと異質な気配をまとった魔法動物だった。

ゴンザレスのようにデフォルメされた猫のような体。

クリーム色の毛並みに、くっきりと浮かぶ赤い模様。

そして、目。

炎みたいに揺れる赤の中に、十字架が刻まれている。

「……ニャ…っ、雑に出すなって…」

不機嫌そうに耳をぴくりと動かしながら、その小さな体はアイカの手の上でふるふると震えた。

「うるさい」

即答だった。

「ちょ、もうちょい優しく――」

「黙れ、リグ」

ぴしゃり、と名前を呼ばれた瞬間、リグはぐっと口をつぐむ。

けれど納得はいっていないらしく、しっぽだけがバシバシと揺れていた。

目つきが悪く無愛想な感じがアイカに似ている。

マフはそれをまじまじと見つめてから、ぱっと顔を明るくする。

「えー!かわいいね!」

「は?」

アイカの眉がぴくっと動く。

「なんかゴンちゃんみたいだし!あ、でもちょっとこっちの方がカッコいいかも?」

「誰が“ちょっと”だ」

リグがむっとした声を上げる。

「オレはあんな丸いやつと一緒にすんな」

「丸いってなんだよ。こっちは先輩だぞ」

いつの間にか、マフの足元からゴンザレスも口を挟んできた。

なにやら、魔法動物界隈ではゴンザレスの方が先輩らしい。

こういう先輩に生意気な感じもそっくりだ…とここ、中でマフは思った。

「お前こそ目、怖ぇんだよ。なにその中二みたいなデザイン」

「は???」

リグの目がギラリと光る。

「ケンカ売ってんのかコラ」

「売ってるけど?」

バチバチ、と火花が散るような空気。

「……はぁ……」

アイカは心底どうでもよさそうにため息をついた。

「で」

話を強引に戻す。

「こいつ――リグは、行ったことある場所に一瞬で移動できる能力があります」

「え、すごーい」

マフが素直に目を丸くする。

「じゃあ、仕事場にも一瞬で…?」

「そういうことです」

リグはふん、と鼻を鳴らした。

「ありがたく思えよ。オレがいなきゃ、お前ら歩きだぞ」

「え、じゃあ…お願いします!」

マフはぱっと手を合わせる。

その反応に、リグは一瞬だけきょとんとして――

「……っ、ま、まぁいいけど」

少しだけ、声のトーンが下がった。

アイカはそんな様子を横目で見て、軽く舌打ちする。

「甘やかすから調子乗るんですよ。手を合わせてお願いとか。プライドないんですか?」

「え、いやいや…」

(ちょっと、あいにゃんは…プライド高すぎると思うなぁ)

「こんなやつ、かわいくない」

「かわいいよ」

「かわいくないです」

「かわいいよね?」

マフがリグの顔を覗き込む。

「……当然だろ」

小さく、そう呟いた。

「はいはい、もういいです」

アイカは強引に話を切り上げると、リグを軽く持ち上げた。

「さっさと行きますよ。時間ないんで」

「え、あ、うん!」

マフは慌てて姿勢を正す。

リグは面倒くさそうに片目を細めると、

「行き先、イメージしろ。オレはそこにしか飛べない」

「えっと……仕事場……」

頭の中に、ぼんやりとした景色を思い浮かべる。

(隣の…街の…昔行ったことある)

「……できた」

「よし」

リグの目の十字が、じわりと光る。

次の瞬間。

足元に、再び――光。

今度は、マフのものとは違う。

赤く、鋭い、裂けるような光の紋様。

「うわぁ」

「黙って立っててください。舌噛みますよ。」

「えぇ?」

空気が、歪む。

教室の景色が、ぐにゃりと引き伸ばされていく。

リグが低く呟いた。

「――跳ぶぞ」

その瞬間。

視界が、赤に塗りつぶされた。

ありがとうございました

また読んでください

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ