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アンラッキーデー

開いてくれてありがとうございます

楽しんでください

『ぴぴぴぴぴ』

朝、目覚ましの音が狭いマフの部屋に響く。

「んぅ…」

「マフー!朝だよー!おきなよー!」

マフの布団の上にゴンザレスが飛び乗る。

「おきてる…」

「うっそだぁ!」

マフは仰向けになり、天井を見る。


『もざましうらなーい!今日、いちばんラッキーな人はー?』

やや焦げたトーストをかじりながらマフは朝のテレビを眺める。

画面にはデフォルメされた天秤や双子の絵が映っている

「マフは何座ー?」

「私は…」

マフがゴンザレスに返答しようとした時、テレビの声が、マフの言葉をさえぎる。

『ざんねーん!今日いちばんアンラッキーなのは獅子座のあなたー!一日中嫌なことに見舞われるかもー!』

マフの手からコトッとトーストが落ちた

「私だ…」

「え?」

「私…獅子座…」

「あ、そーなの。気にするタイプ。」

マフは絶句しているが、ゴンザレスは聞いたくせに、心底興味なさそうだ。

「そんなことよりさー。時間大丈夫?」

「え?」 

ゴンザレスの言葉にパッと時計を見る。

時計の針は出発予定時刻の5分前を指している。

「着替えないと!」



スタスタと校門をくぐる。

「あ、マフちゃーん!やっほー!おはよー!」

後ろからツインテールの女の子が声をかけてくる。

名前は忘れてしまった。

「最近、顔色よくなったねー、」

「え?そ、そうかな…」

「うん!」 

女の子は嬉しそうにツインテールをゆらゆら揺らしている。

「…そうかな。」

同じことをボソッと呟く。

母が死んでから娘の顔色がよくなるなんて、あってはならないことだ。

今頃だが、考えたらなぜ、母の死が周りにバレていないのだろうか。

でも、その答えはすぐわかった。

近所の人には家族総出で嫌われている。

父はあの日、車で家を出てから一度も帰ってきていない。

教師だって、いわゆる、モンスターペアレントと言われている母が嫌いだっただろう。

みんな、母と会えない方が都合がよくて、会えない理由なんてどうでもいいんだろう。 

また、俯いて何も言わないマフをツインテールの女の子は不思議そうに覗き込んだ。


ツインテールの女の子と別れて、また1人で歩き始める。

すると、今度は後ろから聞き覚えのある声がした。

「げっ」

「?」

振り返ると昨日の夜に会った魔法少女、アイカだった。

当然ではあるが昨夜会った時とは違い、マフと同じような制服を身に纏っている。

「げって…、ちょっと傷つくよあいにゃんちゃん」

「やめてください。」

アイカはピシャリ、と空気を切るような声でつげる。

「てか、アナタ生徒会長のくせして、こんな朝からなに間抜けな顔して校門に突っ立ってるんですか。」

「えぇ…」

アイカはかなり辛辣に言葉を吐き捨てる。

「ひどいねぇ…」

「ひどくないです。」

「私のこと嫌い??」

「レイン先輩が嫌いなので、その友達のアナタも嫌いと認定してます。」

(レイン可哀想に…)

マフは心の中でそっと同情する。

「それ、だいぶとばっちりじゃない…?」

「合理的判断です」

即答だった。まったくブレがない。

「えぇ、絶対ちがうでしょ…」

マフがぼそっとツッコむと、アイカはふん、と小さく鼻を鳴らした。

朝からこんなことを言われるとは、やはり今日はついていない。


アイカと別れてマフは廊下を歩いて階段に向かう。

すると、『ぷるるるる』と高い音が廊下に鳴り響いた。

カバンについているポケットを開けると

マフのきゅわふぉんが小さく振動している。

マフは慌てて、今ではあまり使われていない古いトイレに駆け込んだ。

ドアはギィィっと軋みながら開く。

「はい、照橋マフです。」

マフは個室の鍵を閉めると電話に応対する。

『もしもし。こちらは国の者です。照橋マフさん。今夜、一ヶ桶公民館で仕事です。』

低いおそらく男性の声が淡々と告げる。

「え、あ、はい」

出た途端、前置きもなく要件を伝えられた。

マフの返事を確認すると、何も言わずに電話は向こうから切れた。

カバンからゴンザレスが顔をだしてマフを見上げてくる。

「仕事だねぇ、放課後が楽しみだ。」

「…私ひとりってことないよね?」

「まっさかぁ、レインが今回も同行の予定だよ。」

「予定って…」

マフは大きくため息をつく。

「前回来なかったんだけど?」

「まぁそんな日もある。」

ゴンザレスはバッサリと即答する。

(やっぱり…今日ついてないかも…)

ありがとうございました

また読んでください

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