2話
土曜日、これといっていつもと何ら変わらない日常。強いて言うなら一週間に一回ある生存報告のメッセージを政府に送るくらいだ。
政府の仕事が早いのが何よりだ。昨日頼んだ栄養棒はもう転送装置に送られていた。
国家が滅ぶと化学が冴える。そんなものかな、装置の蓋を開けて棒を取る。
「昨日の少年——。いや、考えるだけ無駄だな」
任務中に珍しくであった私より少し下くらいの少年。果たして彼はこの地獄に残ったのだろうか?
メッセージを送ると珍しく即レス(即レスポンス)された。
どうせAIの自動応答なんだろうな、そう思いつつも仕事用デバイスを見る。
[定期集会のお知らせ]——。
サイアク。このイベントは大っ嫌いだ。いわばCordの決算だ。
各自期間内にどれだけ超獣を殺すことができたか、その成績に応じてランクが上がる。ランクが上がれば給料も上がる。
正直、明日喰い殺されるかもしれないこの世界で資産なんてもはや紙クズほどの価値しかない。
そして、私は8代目ハンターのランクは10。上の9人とどうも馬が合わない。
私以上の高レベルハンター達は優先的に貴族からの 連絡を受けるし、同時にAIの自動判別機能で強い超獣を狩らされる様になっている。
こんなクソみたいなシステムのせいでみんな疲弊してるしイライラしている。
「本当のモンスターは誰なのかねー」去年の私ならそういってたと思う。
◇
集会といえども道中には危険がいっぱい。
言うまでも無いか。
重いブーツに足を通し、体液で赤に染まったグローブを着ける。指先でタイツのシワを伸ばしたらいつもの様にフードをかぶって基地へ向かう。
シャァーーー。
いつも通る道はすっかりタイヤ痕ができ、他の道より振動が少ない。
「ピコピコピコ...」
インカムから警報が鳴る。自宅に人が来ると通知させる設定にしていたのだ。
気が散るのは命取り。特殊素材のフードをスワイプして通知をOFFにした。
どうせ今にも死にそうなコソドロでも来たんだろう。
勝手に盗って行けばいいさ。どうせ金にも困って無いし超獣用に作って警備は破れない。
モーターの駆動音は一際強く人の無い道路に響いた。
◇
ISOP本部、相変わらず雰囲気最低。
立派な外観だが、これが私たちの働きに支えられ、市民の税金で運営されていると考えると虫唾が走る。
もうそこには8人のハンターが居た。(いや、ここでは構成員って言った方がいいのか?)流石の速さだ。
小柄だがツバメのように超獣を翻弄するCord.809、M-F-P(Middle Finger Princess)私は中指姫と呼んでいる。ガサツで常にブーツが赤に染まっている、Cord.808、Karen、斧の名手だ。——。他の面々を順番に見回す、しかしCord.801がいないまぁ大抵予想はつくが。
いつも通りやや険悪なムードになりつつ在る、その時ようやく重厚な鉄扉が爆音と共にゆっくりと開いた。
管理署長だ。名は覚える必要もない。クズで十分だからな。
私が思うに彼と801は恋仲だ。ランクが上なだけでは説明しきれないほどの優遇が彼らの間にある。
「やぁやぁ待たせてしまって悪いね。みなさんいかがお過ごしかな?さて、言うまでもないね。彼女は忙しいんだ。ここに来るまでもないからね、君たち9人の今期の成績を提出してもらえるかな」
「待たせた事を悪くも思ってないくせに」胸の奥で中指を立てた。(ちなみに、MFPは本当に中指を立てていた)




