アッシュ
私達は管理署長《クズ男》に順に招かれ、デバイスに記録されたポイントを提出した。
今期はそこまで任務に行かなかった、いや、行く必要を感じなかったと言った方がいいか?
なんせどうせこの生活を続けていても超獣達は根絶できないし、この地獄を守る事の必要性を感じられずに家でゴロゴロして居たのだ。
果たして心と心の繋がりのない今この世界、一体何の価値があるのだろうか?
結局私の番が終わって施設を出る時になっても、801は来なかった。
さっき私は他のハンターと気が合わないと言ったな。それは少し嘘だ。
今世代最強とされる801、彼女はAssyuと呼ばれるハンターだ。
美しい金髪で、ダンスする様に超獣を斬り裂く姉御気質の尊敬に値する方だった。
署長があのクズに変わってからだ。1回目の顔合わせ、彼女はナンバーワンとして署長室で対談をした。
長い対談のため、館内放送で私達は退館させられた。そして、それ以降アッシュ(Assyu)は「長くなるから」、と1人で行く様になった。
肉体労働をして政府に貢献しているハンターに、精神負担まで課させる署長、
それが原因で、私たちハンターはあのクズの事が大っ嫌いだ。
恥ずかしい話だが私がこの過酷な仕事を続けているのは、生きる為、の他に、Assyuの仕事ぶりを身近で見聞きする為だった。
◇
ISOPから出ると、もう太陽は地の向こうに沈みきっていた。暗くなると不審者と同時に増殖して群がるのが超獣だ。
最近超獣のことを不審者と言うことにしている。
いや、別に私だけではない、ネットを見るとほとんどの住民が『ISOP、不審者駆除乙』とかカキコしている。
もはや超獣ばかりの世の中で不審者やってるほど勇気ある奴は同業者になってることが多い。
◇
長い家路を闇に紛れて滑走する。
細部に散りばめられた電飾が弧を描いて
足跡の様に蛍光を残して尾からはらりと闇に喰われていく。
いつも通り無機質な我が家だ。この近所にもかつては賑わいがあった。
もう何度目かわからないけどまた言う。
全部エイリアンのせいだ。果たして狩尽くせば元の生活は帰ってくるのだろうか?
この仕事からも足を洗えるのだろうか?もしその日が来たら転職しよう、もっと平和で心安らぐ仕事に。
「まぁこれも天職ではあるか、」そうため息の様に呟きながら古びたドアのノブを握る。
「こんにちはー!赤い手袋の鳥獣ハンターのお姉さん!」
静寂を切り裂く様に、階下から、生き生きとした若い声が聞こえてきた。
何かが変わる。そんな気がした——。




