オイスターソースの瓶の底を叩いたらスケベな音がした
青椒肉絲を作っていた。
オイスターソースの瓶の先っちょが詰まっているのか、出が悪い。
フライパンの上で、オイスターソースの瓶の底を掌で叩いた。
すると、「ヌッポ」みたいな「ドゥッポ」みたいな音がした。
スケベな音だ。
これはスケベな音だ。
かにえRは夢中で瓶の底を叩いた。
オイスターソースは粘度が高い。
どんなに叩いても、ヌッポヌッポという音が出るだけで何も出てこない。
あと一回叩いたら、ドバッと出そうだ。
でも、もっともっと叩きたい。
ふと我に返る。
かにえRよ、お前は何をやっている。
青椒肉絲のフライパンの上。
ヌッポヌッポと鳴くオイスターソースの瓶の底を掌で叩いて。
叩かずにいられようか。
ヌッポヌッポと鳴くオイスターソースの瓶の底を!
スケベな音が聞きたいのではない。
いや、聞きたい。
聞きたかった。
いや違う。
非日常。
それを味わいたかった。
オイスターソースの瓶がスケベな音を出す。
そんな非日常を、日常の中で見つけてしまったのだ。
青椒肉絲のフライパンの上、底を叩かれ、ヌッポヌッポと鳴くオイスターソースの瓶に。
引き出しを開け、オイスターソースの瓶をいつもの場所にしまう。
次もまた鳴いてくれるだろうか。
スケベな音で。
「気色悪い」
引き出しの中から、そんな声が聞こえた気がした。




