豆腐にかけるの、七味だっけ?
とある文豪が、
「I love you」
を、
「月が綺麗ですね」
と訳したという逸話は有名だ。
今日も、そんなのをSNSで見た。
かにえRは、なんと訳すだろう。
「豆腐にかけるのは、七味だっけ?」
とか?
私は豆腐に七味はかけないけど。
おろし生姜とぽん酢がいいし。
それは置いておいて、相手が豆腐に何をかけるのか覚えるのって、愛だと思う。
まぁ、そんなのは豆腐に限らずだけど。
いやいや、豆腐に限らずじゃない。
相手が豆腐に何をかけるか知りたいと思う?
思わないじゃん。
しかも、それを記憶するって。
どうでもいい記憶ランキング上位じゃん。
豆腐に何かけるかなんて。
だって、豆腐だよ?
いや、別に豆腐が悪いとか言ってるわけじゃなくて。
相手が豆腐に何をかけるか覚えるって。
月が綺麗ですねより、ずっと「I love you」じゃん。
だって、月が綺麗なのは当たり前だし。
汚い月なんて見たことがない。
「ワオ! 今日の月は汚いね!」
なんて言ったことがない。
聞いたこともない。
だって、月はいつだって綺麗だから。
うさぎなんているわけがないのに、うさぎの模様があるとか言ってるし。
豆腐は、豆腐って名前でしか呼ばないけど、月はいろんな名前があるじゃん?
豆腐という名前の人はいないけど、月がつく名前の人はいるじゃん。
月の名前って色々ある。
満ち欠けとかで。
三日月だの、上弦だの、下弦だの。
月が綺麗なんて、当たり前なんだ。
だから、
「I love you.」
は訳すと、
「豆腐にかけるの、七味だっけ?」
になると思うんだよね。
真珠貝で土を掘りながら、そんなことを呟いた。
そうしているうちに、天から真っ直ぐ落ちてきた星の破片が、かにえRの脳天を貫いた。
「あぁ、自分のために穴を掘っていたのかい」
かにえRの手に握られた真珠貝の裏に、月の光が差した。




