ストーカー・ソウル3
放課後になった。
部室棟の裏に、蝶野さんは姿を現す。
俺は、その近くにある茂みに身を隠し、蝶野さんを見守った。
その後数分の内に、今度は清原が姿を現した。
時間に場所、いずれも、タイムリープする前と完全に同じだ。
二人は、向かい合った位置でそれぞれ停止する。
俺は駒井に、合図の連絡を送った。
「今日は来てくれてありがとう……」
かなり緊張した様子の蝶野さんが、そう話を切り出す。
清原は、蝶野さんとは違って、かなり落ち着いた様子だった。
本当に、依然と全く同じ流れだ。
「話したい事ってのは、何かな?」
「えっとね――――」
蝶野さんが、震えている唇を開く。
「ちょっと待って」
ただ、その瞬間に、その場に駒井が現れた。
「こ、駒井さんっ?」
駒井の登場に、驚きを露わにする蝶野さん。だが、そんな蝶野さんをよそに、駒井は清原へ歩み寄った。
「清原くん、急だけど、私はあなたが好き。良かったら、私と付き合ってくれない?」
場が静まり返った。
やはりと言うべきか、蝶野さんは目を見開いて驚いている。
ただ、以外にも、清原も目を見開いて、駒井の参入に驚きを露わにしていた。
「お願い清原くん。私、あなたと付き合えるなら、奴隷にでも、犬にでもなるから」
駒井はそう言って、清原に向かって土下座をした。
――――これは、俺が指示したことだ。
前回の時間軸から得た、清原の性癖を考慮した上で、こうすることが、一番成功確率が上がると思った。だから俺はやらせた。
駒井が土下座をして頼み込んだことにより、場はまた静まりかえる、
ただ、損な静寂を、清原が打ち破った。
「駒井、頭を上げてくれ」
清原はしゃがんで駒井の肩を叩いて、立ち上がらせる。
「――――もしかしてだけど、蝶野も俺の事が好きだったりするのか?」
蝶野さんを立ち上がらせた清原は、突然そう、大胆の質問をした。
「う、うん……。私も清原くんが好き……」
消えてしまいそうなほど、小さい声で蝶野さんは呟く。
「そっか」
蝶野さんの言葉を聞いて、清原は微笑んだ。
その顔を見て、蝶野さんの顔がみるみる赤くなっていく。
「ごめん駒井」
そして清原は、駒井から離れて、蝶野さんへ歩み寄った。
「俺も、蝶野が好きなんだ」
「え?」
また、場が静まり返った。
ただ、今度はすぐさま、清原がその静寂を打ち破った。
「行こう、蝶野――――」
清原は、蝶野さんの手を引いて、走り出す。
二人はそのままどこかへ走り去ってしまった。
場に取り残された俺は、近くの木を叩く。
「チッ――――」
俺はてっきり、清原は、顔が良い抱ける女なら、誰でも良いのだとばかり思っていた。
だから、チョロさを演出して、その上であいつの性癖をくすぐる様なポーズをとらせれば、駒井の方を選ぶだろうと確信していた。
でもあいつは、意外にも一途だった――――。
「失敗、ね」
気楽そうにあくびをしながら、駒井が隠れていた俺の方へ歩み寄ってくる。
「諦める?」
「バカ言うな。まだ始まったばかりだ」
あの二人は交際を始めてしまった。
だが、まだ終わった訳じゃ無い。
交際を始めてしまったのなら、その関係性ごと、二人を引き裂いてしまえば良いだけ。
まだ……まだどうにかなるはずだ――――。
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