第099話 ベッドは大事
フィリアの部屋に泊まった翌日、朝から一緒に出かける。
家具を見たりしながら店を回っているのだ。
前にも市場調査をしたが、家具屋なんかは初めて来た。
店を回って気付いたのは木製の品が多いことだ。
それも結構、良いやつ。
フィリアに聞くと、大森林では大量に木を切れるし、上質な木も多いらしい。
中にはそれ専門の冒険者もいるようだ。
でも、そいつは冒険者じゃなくて、木こりだろとは思った。
今、家具屋で店の裏の倉庫みたいなところに案内されたフィリアは自分用のベッドを見ている。
「新しいのを買うんだよな? 今までのやつは?」
「基本的に部屋にあるのはそのまま置いていくよ。新しい修道女が来たら譲るだろうし、孤児の子もいるからねー」
人が多そうだもんなー。
「どれにしようかね?」
ベッドは色んなサイズが並んでいる。
「うーん、普通だったらこのくらいでいいんだけどねー」
フィリアはシングルサイズのベッドを指差す。
「部屋が結構、広いし、このくらいがいいと思う」
クイーンかキングかはわからないけど、大きなベッドを指差した。
「大きすぎない? 2人で寝ることを考えれば大きい方がいいとは思うけど……あー、そういうことか……」
俺が何のためについてきたんだと思ってるんだ!
「何があるかわからんし、これにした方がいい。占いでもそう出てる」
「リヒトさん、その言い回しが好きだね。良いことがあるのは自分でしょ。うーん、え? ホントに?」
「そういうことは置いておいても一緒に寝ようよ」
「うーん、流される予感がするなー……ヘイゼルさんがアレだもん」
アレだもんねー。
「お前の部屋って他に何かを置くのか?」
「本と机くらいかなー。あとは服」
「余裕、余裕」
「うーん、まあ、旦那様に従っておくかー……」
いいと思う!
稼ぐから!
お前の好きな金貨と1万円をいっぱい集めるから!
フィリアは渋々、大きめなベッドを購入し、配達してもらうことにした。
屈強なマッチョが二人がかりで持ち上げ、運んでくれる。
「ここでいいですかい?」
ヘイゼルの家に着くと、マッチョAがフィリアの部屋にベッドを置き、聞いてくる。
こいつら、息がまったく切れてねー……
「ありがとうございます」
「いえいえ、また何かあれば、言ってください。では、これで失礼します」
マッチョは非常に丁寧な対応で去っていった。
「マッチョばっかだなー」
玄関でマッチョ2人を見送り、その後ろ姿を眺めながらつぶやく。
「まあ、木を切ったり運んだりする職業だし、力はいるでしょ」
「お前、筋肉好き?」
「お願いだから対抗して鍛えようとしないでね」
よし、日課の腕立て伏せ30回をやめよう。
正直、飽きたし。
フィリアは玄関から戻り、自分の部屋を見た。
「大きいベッドだけど、それでも広い部屋だねー」
フィリアが部屋全体を見ながら言ってくる。
「まあな。これから物を揃えていくかね」
「だねー」
ソファーが欲しいが、あれこそ重そうだなー……
「あ、2人共、ベッドは買った?」
ヘイゼルが隣の部屋から出てきた。
「あれ」
フィリアが部屋に置かれたベッドを指差す。
「おー! 良いのを買ったねー。実家のベッドもあのくらいだったわー」
さすがは貴族。
豪華な暮らしをしていたらしい。
「あれぐらいがいいよな?」
「うん。そう思う」
ヘイゼルは何も迷わずに頷いた。
「ほら?」
「……この人、意味わかってるのかな?」
わかってるよ。
魔法学校に通っていた才女であるヘイゼルちゃんだよ?
「まあまあ。それでヘイゼルは片付けが終わったのか?」
この部屋を見る限り、ヘイゼルの私物はないが、一応、聞いてみる。
「大まかだけどねー。とりあえず、この部屋は空けたから好きにしてよ」
「わかった。ヘイゼルさん、ありがとう」
「うんうん」
仲良くしてね。
「まずは向こうの世界でマットレスを買わないとなー」
「帰るか? 充電期間はとっくに過ぎてるけど……」
今は昼前だし、向こうは朝方って感じかな?
多少、早い気もするが、どうせ、風呂に入ったりするし、ちょうどいい時間になると思う。
「私は良いけど、ヘイゼルさんは?」
「あー、私も買いたいものとかあるし、帰りたいなー。リヒトのご両親は戻ってるかな?」
「さすがにまだだと思う。もうちょっとかかるかな」
海外だし、すぐには帰ってこれないだろう。
「そっかー。じゃあ、買い物して戻ってくる感じ?」
「そうするか」
「よーし! 帰ろう!」
俺達はあっちの世界に帰ることにし、身を寄せ合う。
そして、アプリを起動し、もう慣れてきたぐるぐる画面を見た。
日本に帰って来た俺達はフィリア、ヘイゼル、俺の順番でお風呂に入り、昼食(朝食)のパンを食べると、ソファーで酒を飲みながら休んでいる。
「やっぱソファーを持ち込みたいな」
ソファーで酒を飲みながら女2人を侍らし、王様気分でつぶやいた。
「まあねー。でも、これは私の収納魔法では無理よ。もうちょっとサイズが小さいやつなら大丈夫」
ウチのソファーはL字のでかいやつだ。
さすがに収納魔法も無理だし、持つの無理。
「小さいとは言わんけど、3人で座れるくらいがいいな。買いに行くかな」
「私もマットレスが欲しいし、行こうよ」
「だな。まだ8時だから店が開いてないけど、少し、休んだら出かけよう」
「そうしよう!」
9時過ぎに準備を始めればいいかな?
他にも買うものがあるし、今日は1日買い物だろうな。
大変だけど、こればっかりは仕方がないし、わくわくもする。
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