第079話 助かった
俺とヘイゼルはピンチになり、覚悟を決めたが、いいところでガラ悪マッチョと性病野郎が救ってくれた。
馬に乗っていた2人は俺達のもとに来ると、ポーションを渡してくれる。
俺とヘイゼルはポーションを飲み、一息ついた。
「お前ら、やけにいいタイミングだったな?」
ポーションを飲み、空瓶を返した後に気になっていることを聞く。
「え!? あんたら、もしかして、もっと前からいたの!?」
ヘイゼルも俺の言いたいことがわかったらしい。
「いや! 俺はお前らのピンチだし、早く助けよーぜって言ったんだぜ! ヘイゼルもお前も冒険者仲間だし、例の恩があるからな」
ケインはまともなことを言っている。
冒険者らしく、口は悪いが、考えは非常に仲間想いな男だ。
しかし、こいつ、酒を飲んでなかったらマジで普通だな。
俺やヘイゼルにフラフラ状態で絡んできた酔っ払いと同一人物とは思えない。
「お前か?」
ガラ悪マッチョを見る。
「お前らがどこまでやれるかを見てたんだよ。いい成長になるし、いつでも援護できるようにはしてた。実際、助けてやったろう」
ガラ悪マッチョは悪びれずに告げた。
「いつから見てたのよ?」
ヘイゼルもガラ悪マッチョを睨む。
「お前らが5人を相手にしてるところ」
最初じゃねーか!
「ヘイゼル、魔法封じは解けたか?」
「まだよ。あとちょっとだろうから待って」
「攻撃してくんなっての! いや、5人相手に見事だったぜ。ちゃんと敵を近づけないようにしてた。お前はよえーくせにそういうのは得意だな」
ガラ悪マッチョが誤魔化すために褒めてきた。
「死活問題だからな。近づいてこられたら絶対に勝てん。だから最後は道連れ覚悟だったわ」
「だろうなー……まさか魔法封じの杖を持ってるとは……ヘイゼルがお前の服を掴んだところなんて感動の悲劇を見てるようだったわ」
ヘイゼルが怒るぞ。
「早く解けないかな……」
ほら、ヘイゼルがめっちゃ睨んで物騒なことをつぶやいてんじゃん。
「冗談じゃねーか。それよか、あいつらは何だ? なんで魔法封じの杖なんか持ってる? あれは簡単に手に入れられるもんじゃねーぞ」
ガラ悪マッチョはようやくギルマスの仕事をし始めた。
「ギルマス、あれは盗賊や冒険者じゃねーぞ。訓練をしてきた奴らだ」
実際に戦ったケインもそう思うらしい。
「装備的に見ても傭兵でもないな……チッ! 軍か……」
「森の中にアジトらしき小屋があるんだが、調査中のファーストコンタクトで気配や音を消す魔道具でヘイゼルが襲われたな」
俺は一応、ギルマスに昨日のことも伝えておく。
「魔道具を2つも……どっかの軍で決定だな」
「アルトの軍か?」
「いや、ちげーな。見た事ねーし。おい、ケイン、お前は町に戻れ! 門番に言って領主様に伝えてこい!」
「おう!」
ギルマスはケインに指示を出すと、ケインは了承し、馬に乗って街道を走っていった。
「ところで、お前らは2人で何してたん? デートか?」
ケインを見送った後、一応、ギルマスに聞いてみる。
「半日で帰ってこなかったら援軍を送るって言ったろ? ケインを送ったんだが、お前らが全然見つかんねーし、帰ってもこないから俺もケインと合流して、捜索してたんだよ。そうしたらこっちの方向で光が見えたからな。ヘイゼルの火魔法と踏んでやってきたんだ」
なるほど。
あの馬車を燃やしたやつか。
まだ暗かったし、こいつらへの合図になったんだな。
「計算通りだったな」
「そうね。私たちの機転も中々だわ」
俺とヘイゼルはそんなことはまったく考えていなかったが、そういうことにしておく。
「嘘くせーなー」
やっぱり、わかるらしい。
「どうでもいいけど、もうちょっと早く来いよー。あと、人数が2人は少ねーだろ」
「まあ、お前が不幸になるけど、大丈夫的な事を言ってたしなー。思ったよりピンチだったけど」
俺も思ったよりピンチだったと思うし、不幸だった。
本当にこれをしておいて良かったと思う日が来るのだろうか?
「まあ、何にしても助かったわ。ありがとよ。でも、報酬は上げろよ」
「それな。実はちょっと厄介なんだわ」
「何が?」
「依頼主が行方不明」
まさか……
「なあ、依頼主って誰だ? 俺はてっきり奥さんとかの家族と決めつけてたけど……」
「商人の部下だ」
「めんどくさい予感……」
占わなくてもわかる。
「俺もそう思う。まあ、この後の調査は領主様の仕事だからな。また後日、詳しい話を教えてくれ。依頼料は出ないが、多分、それ以上の報酬が領主様からもらえると思う」
元々の依頼料が金貨15枚。
これで領主様からの褒賞が金貨16枚だったら泣くな。
「後日な。俺は疲れたわ」
「私も……人生で一番疲れた日」
ホント、ホント……
「まあ、お疲れさん。お前らは帰ってもいいが、俺の馬を貸してやるぞ。ヘイゼルは乗れるだろ?」
「ローブだから無理」
この前もそうでしたね。
「……お前は?」
ヘイゼルの言葉を聞いたガラ悪マッチョが俺を見てくる。
「乗れねーっての」
「お前らって、できることとできないことの差が激しいな……」
霊媒師(詐欺……占い師)と魔法使いだぞ。
当たり前だろ。
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