第064話 ハプニング?
仕事を終えると、ヘイゼルに事情を話し、我が家に招待することとなった。
ヘイゼルは男の家に行くことに対し、多少、動揺しているようだったが、フィリアもいるため、納得したようだった。
フィリアに留守をお願いしたのは正解だったと思う。
うん、この時まではそう思っていた……
俺とヘイゼルは日本にある俺の家のリビングに転移した。
目の前にはテレビもあり、フィリアが掃除してくれたようで、部屋も綺麗になっている。
「……ホントに異世界に転移したし」
ヘイゼルがボソッとつぶやく。
「わかるん?」
「そりゃね。この部屋にあるものはすべてがおかしい。床ですらちょっと光ってるし」
あー、フローリングだから光沢があるもんなー。
「まあ、こういうものなんだよ」
「絶対に私達の世界にはないものよ。ホントだったんだ……しかし、すご…………」
ヘイゼルはリビングをキョロキョロと見回していたが、キッチンがある後ろを振り向くと、しゃべるのを止め、固まった。
何だろうと思い、振り向き、ヘイゼルが見ているキッチンを見る。
そこには白い人がいた。
長い金髪の少女は手にお酒を持ち、それを口にした格好で俺達を見て固まっていた。
その少女は白い。
とても白い。
何故なら風呂上りらしく、身体に白いバスタオルを巻いているだけで、服を着ていないのだ。
タオルの白さもだが、フィリアの肌は白かった。
手足も細く、身体に向けて美しい脚線を描いている。
バスタオルしか巻いていないため、その手足はもちろん鎖骨や肩まで露出している。
もっといえば、Dらしい胸の谷間も見えていた。
いつぞやも見たが、あの時とは違い、蛇が見えない。
まあ、代わりにバスタオルだけどさ。
そんなフィリアはゆっくりと缶を下すと、顔を赤くし、目を逸らした。
「ひぇー……」
フィリアはゆっくりとキッチンの奥に引っ込んでいった。
あいつ、何してんだよ……
「……あの子、何してんの?」
「風呂上がりの一杯だろ。ちょっと自室に引っ込むから頼むわ」
「はいはい」
靴を脱ぎ、2階にある自分の部屋に向かった。
自室に入ると、ベッドに腰かけ、じっと待つ。
「うーん……」
あいつ、すごかったな。
スタイルがヤバいし、肌も綺麗だった。
バスタオルで胴体は見えなかったが、もう蛇の締め付け痕もなかっただろう。
覚悟が決まり、あれを娶れば、自由にできるんだぞ……
あれとか、自由にできるという言葉のチョイスはダメだが、今は許して。
それほどに興奮する光景だったのだ。
「……ヘイゼルがいなかったらどうなってただろ?」
さすがに理性が勝ったと思うが、わかんないね。
それに性欲だけではないだろう。
俺はフィリアが好きなのだ。
うーんと考えていると、トントンとノックの音が部屋に響いた。
「はーい」
「ご、ごめんねー」
服を着たフィリアが部屋に入ってくる。
フィリアが隣にちょこんと座った。
「いや、謝られるようなことじゃない」
むしろ、ありがとう。
「多分、今日帰ってくるだろうと思って、早起きしてお風呂に入ってたんだよー……」
向こうの昼過ぎに転移したため、こっちはまだ朝の8時前だ。
フィリアの風呂の時間から考えても7時前には起きたんだろうな。
「お前、風呂好きだもんな」
あと、お酒ね。
さっきも朝っぱらから飲んでましたわ。
「み、見たよね?」
見てないって言っても無理だろうね。
がっつり見たし、何なら目も合ったよ。
「うん。まあ……すごく綺麗だったよ」
「…………うん」
あんだけ娶れ、娶れって言っていたフィリアが顔を赤くし、俯いた。
前の水浴びの時は平気だったっぽいのに今は違うらしい。
「……フィリア、ちゃんとするから安心しろ」
俯いているフィリアの頭を撫でながら言う。
「……うん。“何を”と“いつ”を言わないあたりが詐欺師っぽいけど、信じてる」
つい、癖でね。
いや、ホント。
「ちょっと考えているところだから待ってて」
「私が20歳を超えたら刺すから」
怖い……
多分、向こうの世界の適齢期的には限界がそこなんだろう。
20歳を超えたら行き遅れ的な。
「あと2年ね」
猶予はまだあるな!
「19歳でおじいちゃんに泣きつく」
刺すと変わんねーよ!
「……うん。あ、ヘイゼルは?」
「あー、お風呂のことを説明したら入っていった」
早っ!
「もう? 色々と説明をするつもりだったんだけど」
「実家にはお風呂があったらしいよ。それで入りたい入りたいってごねだしたから入れた」
……うざかったんだな。
自分はそれどころじゃないし。
「まあ、上がったら話すか。下に行こう」
「うん」
俺とフィリアはリビングに戻り、ソファーに座って酒を飲み始めた。
「何かあったか?」
フィリアに留守番中のことを聞く。
「何もなかったよ。人も来なかったし、電話もなかった。掃除して、ご飯食べて、飲んでた」
……平和そうで何より。
「良かったな」
「うん。そっちは? 新しい仕事をするって言ってたけど……」
「ああ、そんなに難しい仕事じゃなかったし、早めに終わった。それでヘイゼルの家に行ってから説明して、こっちに来た」
もうちょっと遅かったら良かったかもしれん。
フィリア的にはだけどね。
俺?
俺は……うん、ちょうどいいタイミングだったよ。
「なるほど。先に言っておくけど、貴族の女性が単身で男性の家に行くのはマズいよ」
「そんな感じだったなー。お前がいるって言ったらちょっとホッとしてた」
「あんま変わんないんだけどね」
何が変わんないのかな?
やっぱりマズかったかなー……
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