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スマホ転移で始める異世界ゆるゆる生活 ~日本の商品が高値で売れたのでスローライフを目指すことにしました~  作者: 出雲大吉
第2章

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第062話 元気!


 翌日、ヘイゼルを迎えに行き、東門に向かうと、馬を繋いでいる兵士のもとに行く。


「おはよー」

「ん? あー、お前らか。ほら、こいつだ。馬車を回収したらここまで持ってくればいいからな。あとは俺らが預かっておくからギルドに報告すればいい」


 どうやらギルマスが話を通しているようだ。


「どうも」


 ヘイゼルは馬を受け取ると、手綱を引っ張り、歩いていく。


「乗らないの?」

「乗れるわけないでしょ」


 は?

 お前、昨日、乗れるって言ってたじゃん。


「なんで?」

「私の格好を見なさい」


 そう言われたのでヘイゼルの全身を見る。

 ヘイゼルはいつもの黒のローブに三角帽子だ。


「あー……馬に乗ったら捲れるのか……」


 ローブはスカート状だし、馬に跨ったら捲れて、色々見えちゃうな。


「そうよ。だから歩いていく」


 いや、違う服を着てこいよ。

 忘れたか、持ってないか、こだわりか……


「俺、乗ってみようかなー。馬に乗ったことないし」


 この馬は大人しそうだし、暴れないと思う。


「あんたが乗って、私が馬を引くの? 絵面が最悪よ?」


 確かに……

 俺、何様だって噂されそう。


「歩くか……」

「そうしましょう。帰りはちゃんと馬車に乗って帰るから安心して」


 馬車が壊れてませんように!


 祈りつつ、馬を引くヘイゼルと共に門を出る。


 しかし、ヘイゼルが馬に乗っているところを見たかったなー。

 あと、後ろにも乗りたかったわー。


 アルトの町を出発した俺とヘイゼルと馬は整備された街道をゆっくり歩く。

 俺は時折り、馬を撫でたり、その辺の草をあげたりしながら楽しんでいた。


「馬がそんなに珍しいの?」


 馬の背中をさすっていると、ヘイゼルが聞いてくる。


「俺の国にも馬はいるけど、滅多に見ないな」


 テレビではよく見る。

 君のところの元王女様が競馬中継ばっかり見てたから。


「馬を見ないの? 移動方法は? 歩き?」

「昔は馬で移動してたみたいけど、今は別の方法だな」


 自転車、バイク、車、電車。

 本当に色々ある。


「へー。どんなのか見てみたいわ」


 この仕事が終わったら見せてあげるよ。


「びっくりすると思う」

「ふーん、あんたも大変ねー。結構、発展したところから来たんでしょ?」

「わかるん?」

「この前の銃とやらもすごかったし、あんたのその服やら水晶玉やら明らかに精巧さが違うもん」


 その辺から推測したのか。

 頭は良い子なんだよな。


「まあなー。でも、まあ、こっちも楽しいよ。お前やフィリアもいるし」


 というか、帰れるしね。


「うんうん! 良いことを言うわね!」


 嬉しそうで何より。


 そのままヘイゼルと話したり、馬を撫でながら歩いていると、ふと、何かを感じた。


「うーん、ちょっと止まって」

「ん?」


 ヘイゼルの足が止まり、馬の足も止まったので腰の剣を鞘ごと抜き、不思議パワーを込めて倒す。


「あっちだな」


 剣が倒れた右の方の平原を見る。


「あっち? 何も見えないけど……」

「うーん、俺の占いが外れたのかな?」


 でも、これは外れたことがないんだけどな。


「まあ、行ってみましょう」

「そうするか」


 俺達は街道を外れ、そのまま平原を歩いていく。

 そして、結構な時間を歩くと、遠くに馬車らしき影を見つけた。


「あれかね?」

「だと思う。また随分と街道を逸れたわねー」

「なーにをしてんだか」


 そのまま歩いて近づくと、遠くで見えた影は確かに馬車だった。


「これで間違いないっぽいよな」

「馬車が他にあるとは思えないし、ほら」


 ヘイゼルが指差した先には馬が横たわっている。

 なお、ハエみたいな虫が飛んでおり、死んでいるのはわかる。


「馬がウルフに襲われた隙に逃げたって言ってたし、間違いないな。しかし、こんなところで何をしてたんだ?」


 犯罪かな?


「うーん…………あ!」


 ヘイゼルはキョロキョロと周囲を見回していると何かを発見したらしく、走っていった。

 そして、しゃがんで立ち上がると、カゴを持っていた。


「何それ?」

「平原キノコよ。これを採取してたのね」


 平原キノコ?

 キノコってじめじめしたところに生えるイメージだけど、平原にも生えるのか。


「何それ? 美味しいの?」


 もしくは、やばいキノコ?


「このまま食べてもいいけど、薬になるのよ。そのー、えーっと、滋養強壮的な……」


 ヘイゼルの頬がちょっと赤くなる。


「はいはい。そういうキノコね。商人さんが売ろうとして集めたか、自分用かは知らないけど、それを集めるために街道を外れたのか」


 まあ、100パーセント自分用だろう。

 だって、こんなに街道から外れているのにその説明がなかったんだもん。

 説明したくないからあえて、言わなかったのだろう。

 

「そいつは積み荷にカウントされるのかね?」

「されないんじゃない? 馬車の中じゃないし」


 じゃあ、俺達がもらってもいいわけだ。


「じゃあ、もらっておこう」

「え? あんた……」


 『その若さで……?』みたいな顔して憐れむんじゃない!


「俺は元気だよ!」


 試してみるか?


「そ、そう? じゃあ、いいけど」

「それ、売れねーの? もしくは、お前の錬金術の材料にならないの?」

「うーん、そこまで高いわけじゃないからなー。それにこれは錬金術じゃなくて、薬師の領分よ。私はいらない」


 微妙なのか……


「じゃあ、いいや。馬車に放り込んでおこう。馬車の積み荷は大丈夫かね?」


 馬車の中に入り、積み荷を確認する。


 積み荷は木でできた箱に入っているようで、中身が何かはわからない。

 だが、荒らされた様子もないし、多分、無事だろう。


「積み荷は大丈夫っぽいわー!」


 外で待っているヘイゼルに報告する。


「オッケー! じゃあ、馬を繋いでさっさと帰りましょう」

「了解」


 ヘイゼルが一緒に来た馬を馬車に繋ぎ、御者台に腰かけたのを見て、俺も隣に座った。


「行くわよ」

「おー」


 馬車が動きだし、出発したが、整備された道ではなく、ただの平原を進んでいるのでかなり揺れている。

 うん、揺れている。


「ここまでして欲しかったのか……依頼人、何歳だよ?」

「さあ? 若い嫁でももらったんじゃない?」


 けっ!

 毎晩、お盛んなのかね?


「まあいいや。このまま帰って、さっさと金貨16枚をもらおう」

「そうね。お尻が痛いけど、結果的には楽な仕事だったし」


 お前もか……

 俺もめっちゃお尻が痛い。


「こんなに楽なら他の仕事も考えてみるか……」

「そういえば、もう一個あったわね」

「結局は同じ馬車の捜索だからな。やってもいいと思う」


 これで金貨16枚は相当だ。


「それもそうね。まあ、他の人に取られているかもしれないし、今度、仕事する時に決めましょう」

「そうするか」


 俺達は馬車にかなり揺られながら進み、街道まで戻ってきた。


お読み頂き、ありがとうございます。

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