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スマホ転移で始める異世界ゆるゆる生活 ~日本の商品が高値で売れたのでスローライフを目指すことにしました~  作者: 出雲大吉
第1章

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第030話 素直なヘイゼルさん


 ヘイゼルの後ろでダウジング棒を持って、黄金草を探す。


「もうちょい先かな? この辺は奥じゃないよな?」

「大丈夫よ。まだ浅いし、ゴブリン程度でしょ」


 俺達はそのまま奥に進んで行くと、嫌な予感が強くなり、脳内に危険信号が鳴り響いた。


「……この先にいる」


 ポツリとつぶやくと、ヘイゼルの足が止まった。

 そして、ヘイゼルがしゃがむ。


「しゃがんでついてきて」


 ヘイゼルの指示に従い、しゃがむ。

 ヘイゼルはゆっくりと進むと、杖を構えた。


「……2匹いるわ」


 ヘイゼルが茂みの奥を見ながら小声でそう言うので俺も覗くと、ゴブリンが2匹ほど地面に座って休んでいた。


「どうする?」


 1匹は俺が担当?


「あの距離なら私の魔法で一掃できる。討ち漏らしたらお願いね」

「俺?」

「その剣は飾り? まあ、大丈夫よ。討ち漏らすことはほぼないし、たとえ、討ち漏らしても瀕死よ」


 大丈夫かな?

 お前、ドジじゃん。


 ちょっと信用できなかったので、剣の柄に手を置くと同時に銃を取り出した。


「いくわよ……ファイアーストーム!!」


 ヘイゼルは急に立ち上がると、杖を掲げ、魔法を放つ。

 すると、ヘイゼルの杖の先から火の塊が現れ、ゴブリン達に向かって飛んでいった。

 その火の塊はゴブリン達の間に落ちると、一気に竜巻の様に膨れ上がり、ゴブリン達を焼き尽くす。

 ゴブリンはあっという間に消し炭となってしまった。


「ひえー……ゴブリンが消えちゃったー……」


 こえー……

 あんなのを喰らったら即死だろ。


「どう!? こんなもんよ! ハァハァ……」


 めっちゃ疲れてますけど?


「それ、一日に何発撃てるん?」

「あと2発くらいかしら? 上級魔法よ!」


 オーバーキルでは?


「もっと弱いのを使えよ。こんなのを使ってたら持たねーぞ」

「仕方がないでしょ。私達の場合は討ち漏らしが死に直結するんだから」


 頼りなくて、ごめんね。

 さっきのお願いはほぼ信頼ゼロだったわけだ。


「やっぱ鍛えようかなー」

「適材適所があるでしょ。あんたは盾としてはダメだけど、斥候としては優秀よ。私ら魔法使いにとって一番怖いのは奇襲であり、逆に一番有利になるのは先手必勝だもん」


 魔法使いは接近されたら無力っぽいもんなー。


「なるほどねー」

「まあいいでしょ。それよか見て! 黄金草があんなにある!」


 ヘイゼルがテンションマックスで指差した方向には黄金草がびっしりと生えていた。

 どうやら群生地のようだ。


「めっちゃあるじゃん」

「これは50以上はありそう! あんたの占いが当たった! 本当に幸運が訪れた!!」


 ヘイゼルはよほど嬉しいのか、俺の肩をバシバシと叩いて喜んでいる。


 よかったね。

 でも、これらって、全部、俺が採取するんだよね?

 スコップを2つ買っておけばよかったな……


 ちょっと嫌な未来が見えたが、黄金草の採取を始める。

 俺は汗だくになりながら土いじりをしていた。

 最初の10株くらいはまだ余裕があったのだが、徐々に腰を始め、あちこちが痛くなってきた。


「ごめん、本当にごめん」


 ヘイゼルが本当に申し訳なさそうに謝ってくる。


 実は20株を採取したところで一度、ヘイゼルと交代したのだ。

 だが、貴族生まれで魔法ばっかり学んできたこいつははっきり言って不器用だった。

 最初の1株を失敗した時は俺もまだ大丈夫だよーって笑ってた。

 2株目で俺の笑みは消え、3株目で涙目のヘイゼルからスコップを取り上げた。

 手つきを見る限り、10株以上は無駄になると判断したからだ。

 1株1万円もするし、こいつの人生を左右するものを無駄にはできない。

 幸運になるという占いがヘイゼルのみの理由がわかった。

 はっきり言って、俺は幸運じゃないもん。


 その後も必死に採取し続け、ようやく57株目でこのあたりの黄金草をすべて採取し終えた。


「あー、痛い」


 立ち上がると、腰を伸ばす。


「お、おつかれさま……」


 この群生地を見つけた時はあんなに喜んでいたヘイゼルが媚びたような目で労をねぎらってきた。


「これであと30株だな」

「う、うん。ありがとう」

「明日でいいか?」

「そうね……」


 時間的にはまだ午前中だし、本当はまだ採取を続けたいのだろうが、自分があんな様を晒した以上、文句はなさそうだ。


「明日で残り30株を採取するから大丈夫だよ」

「う、うん。ありがと……ま、魔法なら何でも教えるから。依頼が完遂して、依頼料が入ったらお金も払うからね。あ、あと、仕事も手伝うから……」

「頼むわ……」


 俺達は来た道を引き返し、大森林を出た。


「俺があのファイヤーストームを覚えられると思うか?」


 俺は大森林を抜け、安全となったので魔法について聞いてみることにした。


「あれは上級魔法よ? 才能がないと無理だし、時間もかかるわ」


 ようやく立ち直ったヘイゼルはいつもの高慢ちきなしゃべり方に戻っている。


「そっかー。まあ、簡単なやつからかねー」

「そうね。そういう基礎がないと、上級魔法は無理よ。今度、その辺のうさぎやスライムを相手にしながら教えてあげるわ」

「頼むわ。お前って、ずっとこの町にいたの?」

「1年はいるかしら?」


 結構、いるんだな。


「この先も?」

「多分ね。特に目的があるわけじゃないし、ここは大森林が近くにあるから儲けは良いのよ。まあ、どこの町に行くとしても冒険者だったらこの国よ。自由だし、融通が利くからね」


 冒険者の国って言うくらいだからな。

 冒険者が住みやすいんだろう。


「なるほどねー」

「あんたもここにいるの?」

「多分……そもそも俺、この世界の事を知らねーし」

「……あんた、異世界人?」


 知らなかったのか……


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