表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
遊頁譚  作者: 劉白雨


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
76/77

第漆拾肆話 「瞳の中の星空のような煌めき」


 彼女は独りカウンターで酒を呷っていた。

 傍から見ると、十中八九、男とのトラブルを酒で紛らわせようとしているように見える。

 実際、彼女は男とトラブルになった。

 その男とは、良い仲になり、逢瀬も重ね、身体も重ねた。

 だが、ここへ来て、彼女は振られた。

 彼女は分かっていた。自分が100%悪いと言うことは。

 なぜなら、彼が彼女を振るように仕向けたのは、彼女だからだ。

 他に男が出来た?違う。

 男が嫌いになった?それも違う。

 では、なぜ、そんな行動を採ったのか。

 彼女は男ではなく、夢を採ったからだ。


 彼女には夢があった。宇宙船パイロットになるという夢だ。宇宙を駆け巡るのは子供の頃からの夢だった。

 そして、今彼女はその夢に向かって一歩を踏み出した。膨大な訓練と膨大な勉強を終えて、とうとうその夢の第一歩を踏み出したのだ。

 だが、そこに彼は居なかった。隣を一緒に歩んでくれることも、夢を追う彼女を見守ってくれることもなかった。

 それもそうだ。彼女にも彼の夢を共に歩み、見守ることなんて出来なかったのだから。


 彼女は、再び酒を呷った。これでもう何杯グラスを空けたか分からない。

 カウンターの向こうに立つマスターも彼女の様子を気には掛けていたが、それでも彼女が自力で立ち直るのを待っているかのように、見守っていた。

「マスター、大丈夫なんですか、彼女。」

「ああ、心配しなくても良いよ。あの娘はあれぐらいじゃ酔い潰れないからね。」

 ウェイターの問いに、マスターはにこやかに応える。

「それなら、良いんすけど。ほら、あそこの客が狙ってるみたいなんで、ちょっと心配なんすよ。」

 ウェイターが目配せした先には、テーブル席の奥に座って仲間と呑んでいる恰幅の良い男が、チラチラと彼女を見ていた。

「彼女なら大丈夫だよ。」

「いや、彼女の方じゃなくて、男がですよ。」


 そんなことを二人が言い合っていると、男が席を立ち、彼女に声を掛けた。

 その途端、電光石火の如く、男が床に組み敷かれ、伸されていた。

 男の目には星がチカチカと光り輝いていたのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ