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遊頁譚  作者: 劉白雨


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第陸拾陸話 「孤独なる死と再生」


 死に戻りというシステムがある。死んだら、人生をやり直せるというシステムだ。

 これは、リセットボタンでもなく、生き返りでもない。あくまでも死に戻りである。

 死ななければ戻れないのである。

 戻ると言っても、過去に戻れるのではない。人生をやり直すだけである。

 だから、未来を知っていて何か得をするとか、危険を回避出来るとか、そんなことはないのである。もちろん、これはゲームでもないから、フラグがある訳でもない。


 私は、いったい何度死に戻りをしたのだろう。輪廻転生とかいうのであれば、死に戻りを繰り返す度に人生が豊かになっていくのかも知れないし、逆にただ、無情にも人生を繰り返し何も得られないのかも知れないが、死に戻りのシステムは、そんな哲学的な話は一切関係ない。ただ、死んだら人生を一からやり直す。ただそれだけである。

 私という人間は私という人間であり、何も変わらない。ただ、両親が違い、家族が違い、環境が違い、時代が違うだけである。


 神様はいったい何というシステムをこの世界に導入したのか。

 私は、録画した人生を再生しているような、そんな気分にさえ最近ではなっている。

 私にはそんなことを嘆く日々もあった。

 だが、もう数え切れないほどの死に戻りを経験した私は、そんなことに嘆くことはない。ただ、ただ、新たに始まった人生を楽しみ、この世界を楽しみ、そして死んでいくのだ。

 死に戻るために。


 私は、今回の人生も充分に謳歌した。別にいつものとおり平凡な人生ではあったが。

 なにせ、特別な才能がある訳でも、何か社会のためにある知恵が備わっている訳でも、人々を導く指導者としての才覚がある訳でもない。ただ単なる一般人として、この世に生まれ、食事をし、排泄をして、社会の構成員として生をまっとうしただけである。

 しかし、これが私の人生である。いつものとおりで、何も変わらない。

 結婚をして、子供を産み育て、子孫を増やした。平凡な人生があっただけである。


 私は、いつものように病床で息を引き取った。寿命を迎えた臨終である。私の魂は、システムにより、再生処理が施され、再びこの世に戻るための手続きを踏んでいく。

 魂となった私は、いつものようにコンベアで各部署を流れ、処理と手続きを順調に熟していった。


 しかし、そこで、大きなブザー音が鳴り響いた。

 私の魂は、本線から外された。

 そこには、〔廃棄処理場〕の文字があった。



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