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遊頁譚  作者: 劉白雨


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第陸拾壱話 「やがて辿り着く創造者」


 私は、恵みを一身に受け、海を漂う小舟のように、大海原で揺蕩たゆたっている。

 まるで生命の揺り籠にいるかのように、生を与えられた喜びを噛み締めている。

 これから、私が向かう先は、嵐が待ち受けているかも知れないし、日照りが続くかもしれない。もしかしたら、穏やかな日々が続き、退屈な日々を送ることになるかも知れない。

 どんな情況が待ち受けていようとも、私の前途は洋々で、希望に満ち溢れ、何も憂いはなかった。


 その男は、頭を抱えていた。自分があまりにも惨めで、情けなく、何も出来ないことに苛つき、そして絶望していた。生まれてきたことに感謝はしているが、寄り添えず、付き添えず、苦痛を、喜びを、共有出来ないことに惆悵ちゅうちょうした。

 男など、所詮そんなものである。そう、自分に言い聞かせはするものの、心に落ちた影を振り払うことは出来なかった。


 その女は、苦痛に苦悶していた。自分の成長を感じつつも、恐怖も同時に感じていた。女であることを自覚し、生まれたことには正直感謝しているが、この苦痛は許しがたいものであり、この世の不条理を嘆き、恨み、そして呪った。

 女など、所詮そんなものである。そう、自分に言い聞かせはするものの、心に落ちた影と、身体に受けた痛みは消えなかった。


 私は、いよいよ旅立ちの時を迎える。

 人生の夜明けに向けて、櫓を漕ぎ出すのだ。

 心の準備は出来ている。

 神も見守ってくれているであろう。

 私は、神に感謝し、この世に感謝し、両親に感謝した。

 これから先、どんな人生が待ち受けていたとしても、必ず乗り越えられる。

 そんな頼もしい心の拠り所を胸に抱き、私はいよいよ櫓を漕ぎ出した。

 大海原へと向かうのだ。人生という大海原へと漕ぎ出すのだ。


 父は顔をぐしゃぐしゃにして、私の門出を祝ってくれるだろう。

 母は痛みでぐちゃぐちゃになった顔に、安堵の表情を浮かべるだろう。

 周囲には多くの人が、私の人生の門出を祝福するために集まり、私はその人たちに感謝の雄叫びをあげることになるだろう。


「おぎゃぁ、おぎゃぁ。」

「おめでとうございます。無事産まれましたよ。」

 そう言われた私は、父と母に始めて顔を合わせたのだった。



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