第伍拾玖話 「あなたと山猫」
あなたは、してはいけないことをした。
あなたは、わたしをおこらせた。
あなたは、わたしをてきにまわした。
あなたは、ここにいてはいけない。
嚇怒が、敵意が、殺意が、すべての惆悵が満ちていた。
だからこそ、言ったのだ。
手を出すなと。関わるなと。共存するなと。
私は何度も忠告した。しかし、お前たちは聞く耳を持たなかった。
自業自得であり、因果応報である。
なぜ、お前たちはその道を選んだのだ。
なぜ、あいつらを受け入れることを選んだのだ。
あいつらは宗教の名を借りた、房事の斡旋をしている卑劣な奴らだぞ。
村の娘たちが、狙われたのだぞ。
雁首揃えて、お前たちは、我々の大事な子供たちを売ったのだ。
分かっているのか。
「なら、お前はあいつらの手練手管に屈することはなかったというのか。」
当たり前だ。私ならあんな卑劣な連中に屈することなどなかった。
私なら、あんな怪しい建物を建てさせることなどなかった。
神を祀る場所などでは決してない。
神を冒涜する場所ではないか。
「だが、神も房事には寛容だぞ。」
馬鹿を言うな。神が房事に寛容なのは子孫繁栄を願っているからだ。
決して誰彼構わずして良い話ではない。
ましてや、あいつらの唱える神は偽物なのだぞ。
あの娘はもう神にすら見放された。
あの娘はもうこの世のものではなくなった。
私はあいつらも許さないが、お前たちも決して許さない。
私の娘を山猫にしたのだからな。




