第卅漆話 「僕の祈り」
君は膝を折り手を合わせて祈りを捧げている。
何のために、何を、何に、何故祈っているのかを、僕は知らない。
ただ、君はいつも、膝を折り手を合わせている。
もう数え切れない年月を、ずっとこうして祈り続けているのだ。
その祈りはいったい何なのだろうか。
その祈りはいったい誰に届いているのだろうか。
その祈りはいったい役に立っているのだろうか。
僕には想像すら出来ない。
それでも、君はずっと祈っている。
だが、はたしてそれは本当に祈りなのだろうか。
君は本当に祈っているのだろうか。
ただ、祈るという行為をしているだけなのではないのか。
ただ、祈るという姿勢をとっているだけではないのか。
僕は変わらずいつもの日常を過ごしている。
朝起きて、仕事をして、食事をして、風呂に入り、就寝をする。
時には街に出掛け、買い物をしたり、映画を見たり、ドライブをする。
だが、そこにいつも君はいない。
君はいつもそこで祈っているからだ。
君はいったい何を願っているのだろうか。
君はいったい何を求めているのだろうか。
君はいったい僕との関係をどう思っているのだろうか。
君はいったい僕にとっての何なのだろうか。
僕はいったい君にとっての何なのだろうか。
もう僕には何もかもが分からない。
僕はひたすら孤独なのだ。
君がそこにいるというのに。
なぜ、君は僕に話し掛けてすらくれないのだ。
なぜ、君は僕を置いたまま祈ることが出来るのだ。
どんなに僕が望んでも、どんなに僕が願っても。君は僕に答えをくれない。
君は口を利くことなんてないのだから。




