表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
遊頁譚  作者: 劉白雨


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/55

第卅陸話 「まってろよ」


 交差点に差し掛かっていた。

 私は直進するつもりで、アクセルを踏む。信号は青だ。

 対向車がウインカーを出して右折レーンに入ってきた。

「まってろよ、出てくるなよ。俺の方が優先だからな。」

 私は、そう独り言ちた。アクセルを緩めるつもりはない。

「おい、待てって言ってるだろ。出てくるなよ。」

 対向車は止まる気配を見せない。

 このままでは、衝突する。私は、思わず目を瞑ってしまった。


 しかし、衝突することはなかった。

 いや、衝突する寸前で、時が止まっていたのだ。

 まるで、停止ボタンを押したVRの世界のようだ。

 私の車は対向車にあと数センチのところで停止していた。


 私は何が起こっているのか理解出来なかった。

 世界は停止しているし、身体も動かせない。

 だが、意識はハッキリしている。世界が停まっていることも認識している。

「まってろよって言ったのに、待ってないからだよ。どうすんだこれ。」

 私はこの情況に陥らせた、相手の運転手を呪った


(自分の非を認められない人間が、えらそうに時間を停止させてしまうとは。なんたる傲慢、なんたる驕傲きょうごう、なんたる尊大。)


 脳に響く声が聞こえた私は、辺りを見渡したが、そこには誰もいなかった。

 いや、居た。

 周囲にいた人々の目は私を見ていた。その目は非難囂々の目付きだった。

 横断歩道を歩く人々の目。

 自転車に乗って通り過ぎていこうとする人の目。

 交差する道路で信号待ちをする運転手たちの目。

 すべての人々が、私に向かって非難の目を向けていた。


 なぜだよ。私は青信号を直進していたんだぞ。

 悪いのは右折してきたあいつじゃないか。私は何も悪くはない。


(それが尊大だというのだ。交通法規も知らぬお前は運転などする資格はない。)

 そう、言葉が頭の中に響いた途端、世界が動き出した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ