第卅肆話 「夢の中の探検」
今、私たちは小惑星帯の中を飛んでいる。希少鉱石を探すためだ。
岩石を一つずつスキャンしては、その成分を確認し、希少鉱石があれば、小惑星帯の外で待機している母船に連絡を取り、採掘船を派遣してもらい採掘をおこなう。
私たちが追い求めているのは、コズミックストーンである。
これは宇宙船のエンジンを製造するのに必要で、エンジンの根幹をなす部品として使われるのだが、1トンあたり数十グラムしか存在しない希少鉱石である。
これを見付ければ、一般的な小惑星の重さが、およそ数百億トンにも及ぶため、相当な量が採掘出来るのである。
なかなか見つからない鉱石ではあるが、見付ければその価値は国家予算など優に凌駕する金額となり、まさに、一攫千金のお宝が眠っていると言っても過言ではない。
だからこそ、私たちはこの小惑星帯にへばりついて、希少鉱石を追い求めているのだ。
「船長、発見しました。ネビュロンエネルジャイトです。」
「本当か!それはでかした!よし。母船に連絡してくれ。」
私は興奮しながらもすぐに指示を飛ばす。
このネビュロンエネルジャイトは宇宙船のハイパードライブエンジン製造には欠かせない鉱石で、コズミックストーンよりも更に希少である。1トンあたり数グラムにも満たない含有量なのだ。そんな希少な鉱石を発見出来るのは、数年に一度の幸運である。
私たちは、まさに一攫千金を引き当てたのだ。
私を含め船員たちは色めきだった。
「船長、掘削船が到着しました。」
「よし、引き継ぎをしたら、次へ向かうぞ。」
私たちは再び一攫千金を求めて、小惑星帯の中を飛び回るのだった。
……と言う夢を見た。
などというオチはなかったが、実際の私は今、カプセルシートに横になっている。
私が体感したこれは、私が体験したものではないのだ。
私の意識は、今、現場で働いている人物とリンクしているからだ。
私はカプセルシートの中で、脳を機械に接続し、この人物とリンクしながら船長として作業をおこなっていたのだ。
こうして技術者である私は、危険を冒すことなく、安全に高度な技術を行使することが出来るのだ。終身刑を受けた犯罪者を用いて。




