第卅伍話 「夢見たあなたの名前」
この世界が崩壊したのは何度目だろうか。
最初は、大量破壊兵器により壊滅したと記憶している。
その次は、確か地殻変動が連鎖し壊滅したはずだ。
三度目は、巨大な隕石による壊滅だった。
その後も、似たようなことが次々と起こり、そのたびに世界は壊滅した。
そうだ、全球凍結したこともあったっけ。
それでも、私は生きている。
これを生きているというのであれば、の話ではあるが。
生きとし生けるものはすべて死滅してきた。
何度も、何度も。
それでも、私だけは生きている。
なぜだ、なぜだ。
選ばれし神。
そんな者が存在するのであれば、私はその者に名を問いたい。
そんな者が存在するのであれば、私はその者に異を唱えたい。
そんな者が存在するのであれば、私はその者に私という存在理由を問い質したい。
しかし、そんな者はどこにも存在しない。
もうすぐ、この世界も崩壊する。
この世界で繁栄してきた高度文明は、破壊への道を歩み始めたからだ。
おそらく、自ら大量破壊兵器を撃つだろう。
運命はもう避けられない段階にまで来ていた。
私はもう疲れ果てた。
どんなに、この世界を上手く作ろうとも、高度な文明を持った途端に争いが起こる。
そして、その争いは止まることを知らず、自らが滅び去るまで続けられるのだ。
神よ。
全知全能の神よ。
もし、本当に存在するのであれば、この世界を救い給え。
滅びの芽を摘み、未来永劫繁栄する喜びをこの世界に与え給え。
私は一体何を言っているのだろうか。
神など存在しないのに。




