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嫌いだ  作者: 飛び出目猫
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22/24

二十二



 そして僕は全てを話した。



 K岡にゲームのチャットで告白されて付き合ったこと、絶対にそのことを口外しないという約束をしたこと、それを彼女が破ったこと、親にまで広まってしまったこと、案の定いじられたこと、修学旅行で彼女に「嫌いだ」と言ったこと、そしてその後の事も。



 どんな反応をされるのか、僕は涙を袖で擦りながら待っていた。



「……そうだね。難しいよね。」



 S野先生は静かに呟いた。その言葉に僕は、食って掛かるように言う。



「難しいって……難しいって何です?この年頃だから?テキトーな言葉でごまかさないで下さいよ!」



「二宮君、君は分かってますよ。何が難しいのか。」



 優しい声でそう言われ、僕は一旦冷静になる。そして考える。



「難しい……恋愛が?」



「いやいや、もっとその前の段階の話だよ。」



 前の段階、それを聞いて、僕とK岡の付き合う前の段階を思い出した。



「友人関係……?」



「つまり?」



 そこまで言われて、僕はやっと答えを出すことが出来た。



「………人間関係。」



「そうだね。」



 S野先生は満足したようにうなずく。僕はまた頭を働かせながら、心をゆっくりと溶かすように独白を始めた。



「……人間関係は……本当に難しいです。Y下に女心が分かってないって言われて…そもそも誰も他人の心なんて分かんないだろ……って。でも、それは恋愛に限らずに、友人関係でもありました…」



 僕は言葉を止めない。



「N村が付き合った時、あいつ、幸せだって言ってました。でも、僕にはその気持ちが理解できなくて。S木とかT村とか、そういう人たちの言う意見に形だけは同調できても、心では受け入れられなかったんです。」



「そうだね。それが人間関係だよ。嫌だ好きだがあって当然。自分が気が合うなんて思っていても、相手は合わないと思っているかもしれない。そこに良い悪いなんて無いんだよ。」



 S野先生の言葉に、僕は吹き出そうになる涙をこらえながら言う。



「でも……僕からしたらK岡は悪者なんです……合う合わないとかじゃなくて、相手の事を考えずに自分勝手に行動するあいつの事が、どこまでも嫌いなんですよ。」



「それでいいじゃないか。世界は自分が見て受け取るものでしかない。自分から見て悪者なら、K岡さんが悪者でいいじゃない。皆さん、自分の中で勝手にバイアスをかけて周囲を見ているものだから。」



 Sの先生はそこまで言うと立ち上がった。



「世界を複雑に捉える必要は無いんだよ。皆案外単純で、こうして悩んだりはしない。でもまたこうして悩むことがあれば、気軽に私に相談してね。」



 そう言って、彼は生徒指導室から出て行った。



 一人になって、考える時間が出来た。



 でももう僕は、無駄に考えることをやめた。


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