二十三 終
中学を卒業した。
高校はS井やK岡、Y下やN村とは違って、彼らとは自然と交流が途絶えた。いや、S井とだけは今でもlineで話すことはある。
高校に入って、新たな人たちと会った。気が合う奴も、気にくわない奴もいた。だけど僕は、もう人間関係について悩むことは無くなった。
S野先生との関りもあの生徒指導室以来、すっかり途絶えてしまって、もう新しい出会いのことしか考えなくなった。
そして高校を卒業した。
大学に進んで、再び人間関係に悩むようになった。気が合う奴が限りなく少なくなって、一気に面白くなくなった。だから自分が勝手に面白くなろうと思った。
自分が面白いならば何でもいい。世界をバイアスのかかった目で見る様に変化した。
成人式の日、僕は会場で久しぶりに会ったS井やN村と会話した。S井は相変わらず天然で、N村もあの頃と変わらずだった。
S野先生の姿は見えなかった。
中学の時は面白かった人たちが、ことごとくなんだか面白みのない奴に変わっている様を見て、僕はなんだかこの世界がつまらなく感じた。
S野先生の姿は見えなかった。
高校時代の友人とも再会した。彼らは相変わらずで、同じ大学の者もいたのでノリが合っていた。
S野先生の姿は、見えなかった。
探していたわけじゃない。でも会いたいな、とは思っていた。S野先生がどこに住んでいるのかも、今まだ生きているのかも分からない。
だから中学卒業の日、言えなかった感謝の言葉を面と向かって言いたかった。手紙で伝えるのは嫌いだったから。
だがしかし、結局S野先生とは会えずに成人式は終わってしまった。
僕は地元から離れて、またつまらない大学に通うだけの日々を過ごすことになる。
これが現実だ。そして僕は、そんな現実が別に嫌いではなかった。




