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06

 崖にしがみ付きながら、俺はロックバードの群れの討伐終了を待っている。


 山岳地帯に生息し、岩のように硬い羽根を持つ事からロックバードと呼ばれているこの魔物は、羽根を飛ばす攻撃に気を付ける必要がある。

 時々飛んでくる羽根は、ミリーリアの声掛けに合わせて、キーゼの風魔法で対処していく。


「もう少し耐えてて!」

「おう!」

「また羽根行きそうだよ!」

「【キーゼ任せた!】


 ロックバードの群れを倒しきったのか、あるいは撤退したのか、戦闘音が聞こえなくなった。


「終わったよー。大丈夫だったー?」


 月光草の採取を一度中断し、倒したロックバードを集める事にした。

 羽根に使い道があるのと、肉が美味しいらしい。



 倒したロックバードを回収した俺たちは、一度月光草の採取状況を確認する事にした。

 必要量集まっていたら、もう崖を登る必要はない。


「足りないよな……」


 途中で採取を中断したので、足りないのはわかっていた。

 倒したロックバードの回収を後回しにして、血の匂いに釣られて他の魔物が現れたら、また時間が掛るので仕方がない。

 仕方がないのだが……また登るのかぁ。


「キーゼに上まで運んでもらえたらすっごい楽できそうだよな」

「疲れてるなら今度はアタシが行くわよ?」

「学園で練習もしたし、私も行けるよ」


 この二人、実はロッククライミングをしたいんじゃないだろうか。

 学園で練習した通り、安全性を優先したら落下する事はないというのは身をもって証明した。

 二人の内のどちらかに任せてもいいかもしれない。


 そう考えていると、キーゼが俺の肩の上で跳ねている。


「【どうしたキーゼ】」


 問いかけると、キーゼは俺の肩の上で止まる。


 そして、足元から頭に向かって風が吹き抜けた。


 不思議な事に、体が軽く感じる。


「もしかして……」


 軽くジャンプしてみる。


「うぉっ!」


 高っ!

 軽くしか跳んでないのに、三メートルくらいジャンプできたぞ……。


「アラタ今なにしたの?」


 俺が聞きたい。


「風が吹いたと思ったら体が軽くなって、ジャンプしたらメッチャ跳べた」

「そのままね……。キーゼの風魔法かしら?」

「多分な」


 セレイナも俺と同じ考えに辿り着いたようだ。

 だが、俺はキーゼに精霊が使う言語で話しかけていないのだが……。


 キーゼはセレイナの目の前で上下に動いている。


「【もしかして、キーゼって俺たちの言葉がわかる?】」


 キーゼは俺の肩の上に移動し、上下に跳ねている。


「マジで?」


 試しにセレイナとミリーリアが、キーゼに簡単なお願いをしてみると、言葉通りの動きをしてくれた。

 さすがに魔法は使ってくれなかったが、俺たちの言葉を理解していると考えて間違いなさそうだ。


 色々と試したい事はあったが、日が暮れる前に月光草の採取を終わらせることにした。

 キーゼの補助のおかげで、無茶な体勢になっても負担もなく、スムーズに採取を終える事が出来た。


 崖から下りる時、キーゼの風魔法で衝撃をなくすことが出来るか聞いてみると、肩の上で跳ねたので、途中で飛び降りてみた。

 三メートルジャンプの着地の時も衝撃はなかったので、大丈夫だろうという判断だ。


 俺の予想通り、着地時に衝撃はなかった。


 満足してキーゼにお礼を伝えていると、近づいてきたミリーリアとセレイナに思いっきり怒られた。

 事前に説明もなく飛び降りたので、素直に反省する。

 そして、言われて気付いた。崖に打ち込んだ杭の回収しなきゃ……。



 近くの町に戻り、月光草の納品を行う。

 職員さんが一つ一つ丁寧に、一定のペースで状態を確認し仕訳を行っている。


 職員さんの手が止まった。


「こちらは満月草です」


 差し出されたのは、葉が一回り大きい一番の大物だ。

 月光草よりも希少で、価値がある植物らしい。

 持っていても使い道がないので、二人と相談してそのまま買い取ってもらう事にした。


「お疲れさまでした。規定量の月光草の納品、満月草の売却ありがとうございました」



 これで、俺たちの前期の課題は終了となる。

 期間は少し余っているが、これ以上依頼を受けるつもりはない。


 前期の課題終了後、個人の能力テストが終われば夏休みとなる。


 学園が始まってからすぐの能力テストは受けていないが、ミリーリアとセレイナから何をやったかは聞いているので、不安は無い。


 キーゼが俺たちの言葉を理解している事については、能力テストで全員戻って来るタイミングで、カガリビさんに聞いてみようと思う。


 課題についてはトレントの貯金があるし、悪くないと思うので、後は個人テストを頑張るとしよう。

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