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 出迎えてくれたのは、焦げ茶色の髪が頬あたりまであるショートボブヘアの女性。

 彼女が二人の母親のディーファさんなのだろう。

 どことなくセレイナに似ている。


「いらっしゃい。貴方がアラタ君ね。この子たちから話はきいてるわ。何もない所だけど、今日はゆっくりしていってね」

 

 ディーファさんは年相応の落ち着きのある声で、家に上がるように促してくる。

 俺は軽く自己紹介をし、お邪魔することにした。



「それで? 貴方はなんて?」

「わかった、協力するよって感じですね」

「あら、迷いなしなんてアラタ君はカッコいいわねぇ。それから?」

「シュルーケルさんが──」

「あの人にしては頑張ったわねぇ。それから夜は訓練──」


 家の中に案内され、ディーファさんが軽く自己紹介をしてくれたところまでは良かった。

 面談が始まると身構えていたのだが、面談というよりも俺が王都に着くまでの話を聞かれている。

 昨日のうちにミリーリアとセレイナの二人からある程度の事は聞いているが、俺の口からも当時の事を聞きたいとの事だ。


「ねぇお母さん、そろそろ夕飯にしないとアラタの帰りが遅くなるわよ」

「そうだよ。それに私もお腹が空いてきたかも」

「もうそんな時間になったの。それじゃ準備してくるから少し待っててね」


 ディーファさんはそう言い残し、食材の下準備が終わっているので仕上げに取り掛かるために台所へ向かった。


 どんな面談になるか少し不安だったが、終わってみると無駄に緊張していただけだったようだ。


「今の内にジェドスダンジョンの報酬の分配を終わらせちゃいましょうか」


 そう言ってセレイナはテーブルの上にドンと布袋を置く。


「総討伐数は七十二匹ね。魔石でもお金でも問題ないわ。おすすめはお金かしら」


 コボルトの魔石が一個五百ヴィルで冒険者ギルドに売れるらしい。

 一人あたり一万二千ヴィルの収入となるわけか。

 

 入場料を差し引いても十分な収入に感じる。

 普段の二人は一人当たり三万ヴィル稼いでいるという話だし、冒険者はかなり儲かるのかもしれない。

 

 そう思い、浅い階層の魔物からの魔石で生活している冒険者はいるか聞いたら、それは無理という答えが返ってきた。


 今回の売却額は、あくまでも学園の生徒であるセレイナが学園に魔石を売る時の値段であり、冒険者がギルドに売ると、手数料、税金などが差し引かれ、半値以下になるそうだ。

 それなら学園の生徒に高額な魔石を持たせて売ればいいんじゃないかと提案したら、高額な魔石の買取はしてくれないと返された。

 冒険者ギルドに魔石を売却する場合、今回の収入を半分で計算すると入場料を引いた利益は千ヴィルになる。

 さらに宿代などを考えると……。


「コボルト狩りだけじゃ生活はできないってわけか」

「そういう事。だからお金がおすすめね」

「魔道具の修復も学生のうちはお金で払った方がお得だから、みんなお金で払ってるよ」


 学園内にも魔道具の修復が出来る職員がいて、有料で請け負ってくれるそうだ。


「この辺のシステムは入学したら教えてもらう事だから、アラタがそう考えるのも無理はないわね」



 報酬の受け渡しが終わり、しばらくすると夕飯が完成したようだ。

 テーブルに並ぶ料理の数々。


「美味しそうですね」

「口に合えばいいんだけど」

「早く食べようよ」

「お母さんの料理は美味しいわよ」


 準備が整い、ディーファさんを交えての夕食会が始まる。


「美味しいですね」

「あら、よかったわ。合わなかったらどうしようって思ってたの」


 ディーファさんの料理は、味付けはセレイナと同じような感じだ。だが一品一品が、よりうま味を引き出されているように感じた。


「やっぱりこの味はまだまだ出せそうにないわね」

「基本は教えてあるのだから、後は経験よ」

「私もこれくらい上手に作れるようになりたいんだけどなぁ」

「ミリーは……移動中に作る事があったら練習ね。必ず私の目の届くところで作る事」

「わかった。頑張るね」

「ディーファさん譲りのセレイナの料理も美味しかったし、ミリーが作る料理も楽しみにしてるよ」

「任せて!」


 気合十分といった様子のミリーリアとは対照的に、セレイナとディーファさんは不安そうな表情をしている。

 ミリーリアって料理が苦手なのか……。


 

 夕食会が終わり、ディーファさんには王都に辿り着くまでの話を無難に伝えていく。

 俺の話が終わり、ディーファさんが口を開く。


「ありがとう。楽しい話が聞けたわ。アラタ君にならこの子たちを任せても大丈夫そうね。二人の事をお願いね」


 ディーファさんには、過去に遭遇した人型の使い魔と比べると、俺はギラつくような野心を持っているわけでもなく、無害な使い魔に映ったようだ。

 

「俺もまだまだ二人に頼ってる所があるので、信頼に応えられるよう、頑張ります」

「えぇ。期待しているわ。また機会があったら遊びに来てちょうだい。歓迎するわ」


 

 ミリーリアとセレイナに付き添ってもらい、俺は王都の門に向かう。

 門の前にはサーナさんが待っていた。

 まだ王都に不慣れな俺のために、迎えに来てくれたようだ。


 サーナさんと合流し、明日の予定を話し合い、今日は解散となった。

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