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見覚えのある真っ白い空間。
どうやら無事に辿り着けたみたいだ。
「アルさーん、いますかー?」
うーん、返事がない。
「アルさーん」
もしかしてどこかに行ってる……?
『いいえ。私はここに在るだけです』
うぉ! ビックリした。相変わらず性別も年齢も判断できない声だ。
姿も見えないし、どこから声が聞こえてくるのかもわからない。
居るってのがわかればそれでいいか。
何から聞こうか。
いや、違うな。
「言語理解助かりました。おかげで契約内容がわかって、帰還の条件も判明しました」
『あなたは契約を履行する意志はありますか?』
ミリーリアと約束したからね。
「当然あります」
『わかりました』
お礼も出来たし、色々聞こう。
「神の使徒ってご存知ですか?」
『はい』
「俺は使徒にあたりますか?」
『いいえ』
だよね。うん、知ってた。
別に期待してたわけじゃないんだからね。
『勇者が神の使徒に最も近い存在です』
……。
先回りされた。
『私は勇者を帰還させる事はできません』
また先回り……。
方法は知ってるって事?
『私はそれを教える事はできません』
方法はあると考えてもよさそうかな。
それを知ってるアルさんは本当に何者なんだろう。
返ってくる答えは決まってるか。
「どうすれば帰還方法を教えてくれるのですか?」
『私はそれを教える事はできません』
戻ってこのまま伝えるだけ、ってのは忍びないな。
「俺が召喚されている世界に危機が迫ってるらしいけど、何か知ってたりしませんか?」
ん? 答えが返ってこない。
『私はあなたを通してその世界を知る事が出来ます』
前回も似たような事を聞いた気がする。
『あなたは契約を履行する必要があります』
それも聞いた。いや、このタイミングでって事は……。
「もしかして、世界の危機ってのとミリーとの契約に何か関係があるって事……?」
え? 無言は怖い。
否定してくれないって事は、そういう事?
ちょっと待った。
世界の危機対策に勇者ってのが召喚されたはず。
それと俺の契約に何の関係があるんだ?
もしかして、世界の危機対策に俺も必要なのか?
で、俺のやるべき事はミリーと結んだ契約の履行。
こういう事?
否定も肯定もなし、か。
「俺はミリーとの契約を履行する。それでいいんですよね?」
『はい』
「それによって、世界の危機ってのを防げるって事でいいんですか?」
『私にはそれはわかりません。それはあなた次第です』
回りくどいけど、俺も関係者って事か……。
とは言っても、ミリーに協力するってのが俺に出来る事だし、何も変わらないのか。
うーん、これはエンギード大司教に伝えるべきか……。
伝えても問題ないか。勇者たちを送還する方法はわからなかったし、俺がやるべきことは変わらないなら少しでも情報は伝えた方が良いか。
後は……。
ステータス確認させてください。
『どうぞ』
〇〇〇〇
名前 :コトエダ アラタ (シュバルツ)
主 :ミリーリア
種族 :人間
性別 :男
年齢 :十七
弱点 :シュルーケル(倍)
スキル:言語理解
魔法 :【諺】
〇〇〇〇
少し変わってる。
いや、かなり変わってる!
俺もついに魔法が使えるようになったのか!
旅の途中では使えなかったけど何でだろ? 最近使えるようになったとか?
戻ったら試してみよう。
そして弱点は変わらずシュルーケルさんか……。
前回はなかった“(倍)”ってのが何とも……。
そんなに苦手意識持つような事されたっけ? されたなぁ……。
でも、あれは俺が望んでやったことであって、シュルーケルさんは悪くないんだけどなぁ。
見なかったことにしよう。
そういえば、戻る時ってどうすればいいんですか?
『送還による移動は時間経過によって戻れます』
ミリーが再召喚する必要はないのか。
そうすると俺が死んだらどこに出現するんだ?
『再度召喚主に召喚される必要があります』
「今回みたいに魔法陣を使えばいいんですか?」
『はい』
忘れずに伝えよう。
『そろそろよろしいでしょうか』
時間か。
「ちょっと色々あり過ぎて何か忘れてる気がするけど、また来ますのでその時に色々教えてください」
『はい。それでは戻します』




