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 正式な俺の扱いすら決まっていなので、考えても意味はないという結論に達し、一度解散となった。

 ミリーリアとセレイナは、サーナさんが外出している今のうちに買い物に行くそうだ。

 特に必要な物が思い浮かばなかった俺は、宿に残る事にした。


 一人、ベッドに横になり考える。


 気軽に召喚・送還が出来るようなら必要な時だけ召喚され、こっそり協力する。

 これが可能なら、何の問題もなくパーティーを組む事ができるだろう。

 ただ、ミリーリア一人の力では送還する事が出来ないようなので、難しそうだ。

 それに、試験官のような人が付く事になれば俺の存在は露呈するだろう。


 結局のところ、俺の存在が露呈したらどうなるのか。それ次第か。

 

 他にも色々なパターンを考えていると、ドアをノックする音が聞こえた。


「どうぞ」


 ノックの主はミリーリアで、全員揃ったからそろそろ食堂に行こうというお誘いだった。



 食事中、サーナさんに声を掛けられた。


「アラタ様、何かお悩みでしょうか?」


 何故わかったのだろうか……?

 表情に出ていた?


「どうしてそう思ったんです?」

「シスターですから」


 ヤダ、シスターコワイ。


「うふふ。冗談ですよ。いつもより口数が少なかったので何かあったのかなと思いまして」


 職業柄なのだろうか。相手の事をよく見ているなと思った。


「サーナさんそれはズルくないかな?」


 ミリーリアの発言を受け、サーナさんはちょっとした悪戯がバレた子供のような表情を浮かべている。

 どういう事なのだろうか。


「ほら、アタシ達はサーナさんと同室じゃない? だから、サーナさんが戻って来た時に先に相談してみたの。アラタがどういう扱いになりそうか。それによって今後の動き方が変わるじゃない?」

「そうしたら、そんなに心配はいらないって話だったんだけど……」

「詳しくは皆様が揃ってからお話しするという事で、今に至るというわけです」

 

 シスターは読心術持ちという事じゃなくて安心した。

 そして、サーナさんは何故ここで茶目っ気をみせたのだろうか。


「教会では、既にアラタ様の望み通りに事が運ぶよう準備が進んでおります。後は、騎士団……場合によっては王国ですね。その動き次第になります」


 サーナさんは、使い魔のピーちゃんにお願いして、王都に手紙を届けてもらっていた。それによって教会はもう動き出しているそうだ。


「それでも、最終的な決定はアラタ様が司祭様にお会いになってからという事になります。ですが、私がこれまで行動を共にした限り、悪い結果にはならないと思っています」

「そうですか。色々手配してくれてたんですね。助かります。ありがとうございます」

「いえいえ。お気になさらずに」


 どうやら何とかなるようだ。

 どういう形になるかは「私の口からは言えません」との事だったので、若干不安は残るが、サーナさんを信じる事にした。


 食事を終え、部屋に戻る前に俺たちは全員カウンターで湯あみ用のお湯を男の子に頼んだ。


 部屋への移動中に、チップ文化があるか聞いてみたら、「何それ?」という答えが返ってきた。

 説明すると理解はしてもらえたが、悪巧みしてると思われる可能性があるので止めた方がいいと言われたので、チップを渡すのは諦めた。



 翌朝、街に入った門の反対方向にある門から外に出ると、隊員さんが二人、俺たちを待ってくれていた。先頭組は既に移動を開始しているらしい。

 そして、俺たちの他に商人が騎士団から距離を取って移動していると伝えられた。


「そんなもんなのか?」

「そうね。騎士団の行軍の後をつけるっていうのはよくある話ね」


 騎士団の行軍に遭遇することは稀だが、目的地の方角が合うようであればついていくのは良くある事らしい。たまたま一緒の方角に用事があるという(てい)を取るのは忘れないのだとか。

 そもそも、運ぶ商品によっては護衛を雇うので、騎士団の行軍に合わせて予定を変更するとかはないそうだ。

 

 話を聞く限り、より安全性を高めるための手段の一つで、遭遇したら運がよかったといった感じなのだろう。


「そうなると、夜の検証も止めておいた方がいいか」

「そうね。ここからなら恐らく目的地もアタシ達と同じく王都でしょうし、夜の検証は難しくなりそうね」


 そんな事を話し合いながら、俺たちは次の目的地へと向かって四日目の移動を開始した。



 ◆



 五日目の移動日の今日、目的地は宿がある街となる。


 昨日の夜は野営だったのだが、商人も近くで野営するようだったので、何も進展はなかった。


 そして、お互いが接触することもなかった。

 初日に、他の人のテントにはむやみに近づかないのがマナーとい話を聞いていたのでトラブルになる事もなく夜を過ごした。

 唯一、これまでと違ったのは防犯用の魔道具をテントの周囲に設置した事くらいか。

 範囲内に何者かが侵入した場合、音で知らせてくれるのだそうだ。

 夜番は置かなかったところからして、保険のようなものなのだろう。


 俺たちは、目的地に到着したらその後どうするか話し合いながら移動している。

 移動は順調で、このままいけば明日には王都に着くらしい。


 そのまま王都に移動するか、それとももう一泊して街の側にあるダンジョンに一度行ってみるか。


 そもそもダンジョンとは何か。

 この世界では、ダンジョンの近くに街が出来るらしい。

 ダンジョンには、魔物が出現し、魔物を倒すと魔石を残す。時々その魔物の素材が残る事もあるらしい。死体は残らないそうだ。

 マノト村で戦った狼は死体が残ったことを考えると、ダンジョンは不思議空間になっているようだ。

 なぜそうなっているのかは研究を行っているらしいのだが、結局のところ何もわかっていないとの事。便利だから気にしていないという人が大半なのだとか。


 ダンジョンで取れる魔石は魔道具を動かすための電池として使われる。

 なので、ダンジョンの近くが発展するのは必然なのだろう。


「で、どうするの? 行くの? 私はどっちでもいいよ」


 ミリーリアはどっちでもいいと言っているが、その表情は行きたいと物語っている。


「うーん、俺も興味はあるんだよな。セレイナは?」

「アタシもどっちでもって感じかしら?」

「それでしたら、私はこのまま騎士団の皆様と先に王都へ戻る事にいたします」


 そうだ、サーナさんも一緒に移動しているのだった。


「お気になさらずに。皆様と同行するのをお願いしたのは私ですので。それに、先に戻って準備を進めておく必要もありますしね」


 サーナさんの了承も得たので、次の街で別れ、ダンジョンに行ってみる事にした。

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