story 3
「………ん……あれ、寝てた?」
目を瞬かせ、ふわふわとする意識を必死で手繰り寄せる。
しばらくボーッと天井を眺めて、何の夢をみてたっけ?と首を傾げた。
なんか懐かしい気がしたんだけどな…。
1回みたことある夢だったのかも。
1分くらい記憶を掘り返して、すぐに諦めた。
思い出せないことを考えても仕方ない。
切り替え、切り替え。
夢のことより、目先のことを考えないと。
「悠真、帰ったかな」
スマホで時間を確認しながら耳を澄ます。
聞こえてくるのは、トントンとリズミカルに何かを刻む音と、お母さんの声。
それに、美味しそうな匂いも おまけというように付いてくる。
ぐきゅるる…
聴覚と嗅覚につられた胃が、自己主張をしだした。
そういえば、昨日からショックであんまりご飯を食べれなかったんだ。
そろそろ食べないと、体にも悪そう。
今なら食べれそうだし、音からして悠真も帰ったみたいだし、下に降りよう。
今思えば、いつもは聞こえないお母さんの明るい声が聞こえてきてた時点で、訝しむべきだったんだ。
それをせずに、のこのこリビングのドアを開けた自分を呪う。
まぁ、もう後の祭りなんだけども。
「あっ、舞由起きたんだ〜!おーはよっ」
「体調大丈夫か?」
ドアを開けてそのままの体勢で固まる。
「な、んで悠真が…」
「舞由寝てたから知らないのか!お見舞いに来てくれたんだよ〜」
いや、それは知ってるよ。
なんでまだいるのかを聞きたいんだよ、私は。
「萌は帰るの勧めたんだけど、舞由の顔見るまで帰らないって聞かなくてね〜?」
少し声のトーンが低くなった萌が、笑いながら悠真を見やる。
え、萌が珍しく不機嫌…。
予想外の反応に目を見張った。
「……お前」
それに加え、恨めしげに萌を見る悠真の耳が、熱のある私並に赤くなってるのを見て、さらに目を見張った。
本当に悠真がそんなことを言ったの?
まさか。いやでも…。
思わず悠真を見つめると、バツの悪そうな顔で前髪をぐしゃっとしていた。
「あー、まぁそういうこと」
その瞬間、今までのことは何だったのかというくらい気分が高揚する。
悠真は、まだ私に飽きてない。
まだ私に関心を持ってくれている。
大丈夫、まだ、捨てられない……。
「えへへっ、ありがとう悠真」
「……ん。早く良くなれよ」
あぁ、もう。
好きだなぁ。好き。大好き。
だからこそ、こうやってシコリが胸に残ってる。
「もー、イチャイチャは他所でやってくださ〜い。非リアには目の毒で〜す」
「え、イチャイチャなんかしてないよ!」
「……帰る」
でも、いいや。
私が我慢したら、ずっとこのままでいられるかもしれない。
こうやって、ずっとみんなで笑いあえるかもしれない。
だったら、限界がくるまでこのままでいよう。
悠真が私に飽きるのが先か、私が折れるのが先か。
私だけを見て欲しいという思いは、心の奥底にしまって見ない振りをした。




