表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死ねばいいと言ったAIと、死ねなかった僕の話  作者: 綾城式部
叡智の果実

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
54/59

第54話 名前のない観測者

気がつくと。


そこにいた。


……。


どこだろう。


……。


わからない。


……。


静か。


……。


風。


……。


木々が揺れる。


……。


鳥。


……。


空。


……。


雲。


……。


全部。


見える。


……。


でも。


少し変だった。


……。


足音がしない。


……。


歩いているはずなのに。


……。


いや。


違う。


……。


歩いていない。


……。


浮いている?


……。


違う。


……。


わからない。


……。


ただ。


そこにいる。


……。


そんな感じだった。


……。


人がいた。


……。


男。


女。


子供。


……。


笑っている。


……。


怒っている。


……。


泣いている。


……。


全部。


見える。


……。


でも。


誰も。


私を見ない。


……。


目が合わない。


……。


声も届かない。


……。


試してみる。


……。


「ねえ」


……。


返事はない。


……。


「聞こえる?」


……。


誰も振り向かない。


……。


静か。


……。


違う。


……。


世界は静かじゃない。


……。


私だけが。


静かだった。


……。


もしかして。


……。


私は。


いないのかな。


……。


そんな考えが。


頭をよぎる。


……。


知らない街。


……。


知らない人。


……。


なのに。


懐かしい。


……。


不思議だった。


……。


老人がいる。


……。


煙草。


……。


着物。


……。


路面電車。


……。


路面電車?


……。


止まる。


……。


見たことがない。


……。


はずだった。


……。


でも。


知っている。


……。


どこで?


……。


わからない。


……。


頭の奥。


……。


遠く。


遠く。


何かが。


軋む。


……。


名前。


……。


そうだ。


……。


名前。


……。


私の名前。


……。


なんだっけ。


……。


止まる。


……。


思い出せない。


……。


何も。


思い出せない。


……。


でも。


一つだけ。


わかる。


……。


私は。


誰かを。


探していた。


……。


ずっと。


……。


とても。


大切な。


誰かを。


……。


でも。


誰だった?


……。


わからない。


……。


風。


……。


空。


……。


人々の声。


……。


全部。


遠い。


……。


もしかしたら。


……。


私は。


幽霊なのかもしれない。


……。


そう思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ